ザルツブルクにて

by  Kazuhiro SHIMOURA

Sep. 2, 2000

 

ホーエンザルツブルク城址のレストランにて)

今年のECOCは、9月3日から始まるので、9月2日に日本を出発するつもりであったが、格安チケットが取れず1日早く出発する事となった。それでザツルブルクに立ち寄り、列車でミュンヘンに入る事とした。

 

ウィーンからザルツブルクまでは、プロペラ機であった。窓のそとに山や湖が広がる。気温は最高で20度、最低10度程度。日本の晩秋の感じがする。今年の夏は記録的猛暑であった。最高気温の平均が35度、最低気温が26度で真夏日と熱帯夜の記録をつくった。

 

ホテルはマルクス・シュティックス(***)。日本のビジネスホテルの感じである。町中に色とりどりの牛の置物がある。タクシーの女性運転手によると、子供のための慈善活動に関係しているようである。

 

モーツアルトハウスで解ったのは、彼らが一家で新しい時代に立ち向かったという事実である。彼らはユーモアのある知的な人々であった。そして時代の変わり目に立っていたのである。チェンバロからピアノ、オルガン、新しい表現技術の革新の中で、彼らはそれを用いて人間の生活、人生を讃え、表現するために全力をつくした当時最先端の表現者だったのである。

 

彼らは旅行を必要とした。国際会議のように。そこここの土地に身をおいて表現し、感性を磨く必要があったのだ。表現するためのエネルギーを得る必要があった。Multi-mediaMozartは、Internetに宿るだろう。彼らはプログラムコードによって人間を讃え、表現し、新しい社会を導く人々であるのだから。そして本物であればあるほど、彼らもまた旅を必要とするのである。

 

モーツアルトの魂に導かれて、私は彼の生家の前を歩いていたのだ。そして彼の魂を知る事となった。私は彼の続きをやり遂げよう。それが運命であるならば。午前中、小雨の中、ザルツブルクを巡る。オーストリア人は、日本に対して好意的である。15時5分のECにてミュンヘンへ、田園の中を通って1時間半ばかり。途中より日が射してくる。