ピサにて1

by  Kazuhiro SHIMOURA

Sep. 11, 2000

 

今日は巡礼の日である。理科系の人間にとって実験科学を確立したガリレオの故郷は聖地である。彼がピサの斜塔から鉄球を落とした時から近代科学は始まったのである。それまで1000年もの間、人々は重い物程、速く落ちると信じていた。

 

1986年に神戸で開かれたBEAMS’86という会議の後で、コーネル大学のスダーン先生が科学研究におけるシミュレーションの方向性について講演されたテープを、その後、私は何度も聴き直した。インターネット時代を予見したもので現在の私の出発点となった。

 

ピサもかつて地中海を支配した共和国であったが、ずっと落ち着いた学生の街、と言った感じである。ホテル(HOTEL TOURING *** 050-46374)は裏通りにあり、場所を聞いた学生は親切であった。ただ英語は今ひとつ通じない。部屋は奇しくも同じ303号室。

 

ベネチアからフィレンツエまでは列車の予約が必要である。12時28分の列車は満席で、15時54分となる。ゲーテに合わせたわけではないが、フィレンツエには乗り換えの30分弱滞在。列車からは郊外まで住宅が続き大都市の印象。ピサまでは1時間あまり薄暗闇の中を突っ走る。阪和線に似た感じ。

 

ピサでは朝、昔の日本の漫画をやっている。巨人の星とか、名前は忘れたが下駄をはいたおてんばな女の子が活躍するやつ(ジャリンコチエではない、コチネーラという名前になっている)である。イタリア語で台詞をしゃべるので面白い。日本ではもう流行らないだろう。