高浜原発プルサーマルに関する原子力安全委員会への質問書

原子力安全委員長 佐藤 一男 様

1998年12月2日 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
代表:小山 英之(堺市大美野133―6)

12月1日の原子炉安全専門審査会に、第95部会から「意見反映状況報告書」が提出され、そこに高浜原発プルサーマルについて募集した意見に対する「回答」が記述されています。
この「回答」には、納得しがたい点が多くありますが、端的な点に限って質問します。この新たな質問に対する回答は、文書で出して、公開の場で説明してください。少なくとも、このような場が実現するまでは、高浜原発プルサーマルの安全審査について結論を出さないでください。
以上要望します。

質 問 事 項

1.被覆管酸化量の15%制限について

この問題は、「意見反映状況報告書」の項目9でおもに扱われていますが、項目1の「回答」の中で「今回はこれに加え、通常運転時の酸化量も考慮して問題のないことを確認しております」と書かれています。
つまり今回、原子力安全委員会として、NRCと同じように、事故前と事故中の両方のトータル酸化量を考えるベきだという立場を表明されたものと理解します。
ところが、通常運転時の酸化量を具体的にどのように考慮したのかが明らかでありません。このような解析には、高浜3、4号について通常運転時の酸化量分布データが必要なはずですが、関西電力の今回申請書では、この問題は完全に考慮外になっています。
それにもかかわらず、いったいどのように考慮したのか、「回答」のような一般的説明では回答になっていません。高浜3・4号炉に即した具体的な定量的資料を含む回答を示してください。

2.制御棒飛ぴ出し事故での炉心冷却性の評価について

「回答」の項目11で、「高浜3、4号においては、・・・破損燃料堆積物の量は約73kg」と書かれています。しかし、関西電力の今回申請書にはこのような数値はどこにもありません。
RIE報告書添付5で採用されている、PCMI破損の場合の放出率2O%という「保守的な手法」に従って計算すると、高浜3、4号では必然的に約164kgになってしまうわけで、このような場合の冷却性が検討されていないことは明らかです。しかもこの164kgは、浸水燃料の破損は含めない揚合の控えめな数値でさえあるわけです。
RIE報告書添付5の手法を用いて、どうして73kgがはじき出されるのか、その計算のプロセスを示してください。

3.プルトニウム目安線量の適用について

Γ回答」の項目13で、高浜3、4号については「決定核種判別法」を用いて具体的に評価したという趣旨が書かれています。その場合、仮想事故では気象指針を適用することになっていますが、高浜3、4号に関する気象データを具体的にどのように用いたのかを示してください。

4.安全審査の性格について

上記の3点の内容は、いずれも関電の申請書には書かれていません。このような不備な申請書についてなぜ安全審査ができるのですか。関電がまともな申請書を出すよう求めてから安全審査をするのが本来の筋ではないのですか。