スケジュール優先・ずさんな安全審査糾弾!
福井・関西の連帯したカで
知事のプルサーマル承認を阻止しよう
ヨーロッパの新たな流れを受け止めよう
12月7日、原子力安全委員会は、「高浜プルサーマルは安全」との答申を通産省に提出した。通産省は16日、関電プルサーマルを許可した。私達は、年内許可というスケジュールのみを優先した猛スピードのずさんな安全審査を断固糾弾する。福井県知事の承認を阻止できるかどうかが反対運動の焦点になった。
何がなんでもプルサーマルという国・電力一体の巻き返しの中でも、ヨーロッパからはプルトニウム利用中止・原発廃止に向かう確かな変化の流れが聞こえてくる。ドイツに続いてベルギーも再処理委託とMOX利用を破棄することを決定した。だれも止めることのできないこの流れに確信を深め、勇気づけられながら、新たな局面を迎えるプルサーマル反対運動にのぞもう。
猛スピードでずさんな安全審査 |
安全審査を担当した安全委員会の専門審査会95部会は、わずか3ヶ月の密室審議で、12月1日に早々と報告書を取りまとめた。報告書には、プルサーマル安全審査に関する「意見募集」への「回答」なるものが付けられている。私達は、この「回答」に対し、急遽3日の安全委員会に質問書を提出した。すると、翌日の4日付で「質問書に対する回答」が郵送されてきた。この異例のすばやい対応は、7日の答申決定前に、すベての疑問に答えたという形式を単に整えるだけのものであった。
実際、それは「回答」になっていない。担当者に「回答」の内容を問い合わせてもまったく答えられないというものであった。かえってこの「回答」が、安全審査のずさんさを明らかにする証拠となっている。
必要な情報は全く公開されなかった。肝心の95部会の資料は、答申を出してからでなければ公表しない。結果を出してしまってから、さあご覧ください。自らが「意見募集」を行っておきながら、寄せられた意見に対して、どのような議論を行ったのかも公開せず、議論の場を持つことすらしなかった。一体なんのための「意見募集」であり、何のための「情報公開」なのか。
安全委員会は、プルトニウムめやす指針問題でも、「意見募集」締め切りから、わずか2週間でプルトニウム被曝の評価は必要なしと結論づけた。
3年前のもんじゅ事故は、国の安全審査のずさんさを明らかにした。まったく同じことの繰り返しである。今度は、プルサーマルで、福井県民と私達を事故の恐怖にさらそうというのであろうか。
プルサーマル推進と軌を一にするデー夕改ざん問題の早期幕引き |
国・電力・原子力産業界は一体となって、データ改ざん問題に幕を引いた。「容器の作り直しだけは何とかさけること」が至上命題であった。12月3日、国の調査会は、たった2ケ月で「最終報告」をまとめた。それに先だつ午前中に、原電工事鰍ヘ「自主解散」を発表した。電事連会長は「早く結果を出してもらってありがたい」と述ベ、早期の幕引きに顔をほころばしている。関電は、同日、「再発防止対策」と容器の安全性に問題なしとの「評価結果」を発表し、遅れた時間を取り戻そうと必死になっている。高浜4号の定期検査を延長してでも、あの改ざん容器でM0X燃料を輸送し、遅くとも夏頃までにはプルサーマルを間に合わせようとしている。
またしても国は自らの責任を棚上げにした。問題を技術者のモラルに矮小化し、データは改ざんされていたが安全性に問題はなし。容器承認書を国に返還させ、今度は設計基準の改ざんを許可し、形式的な審査のやり直しで切り抜けようとしている。
内部告発で明らかとなったデータ改ざん問題は、腐敗しきった原子力の体質そのものの象徴である。さらに、その強引な幕引きのやり方は、多くの人々の眼前に、その体質を幾重にも薄汚く上塗りする国の姿をさらけ出した。青森県民をはじめ多くの人々の中に、国と原子力に対する不信の感情が、奥深いところで生み出されている。
やっぱり、何がなんでもプルサーマル |
猛スピードのずさんな安全審査と腐臭を放つデー夕改ざん問題の早期幕引きは、何がなんでもプルサーマルという国の強引なやり方そのものである。なぜそうまでしてプルサーマルなのか。その背景には、国・電力の切羽詰まった事情がある。
国策としてのプルトニウム政策は、もんじゅ事故によってとん挫した。それを何とか立て直すには、プルサーマルしか残されていない。東海再処理工場事故によって1年引き延ばされ、やっと立てた99年開始という自らのスケジュールをこれ以上延期することはできない。プルサーマルを早期に立ち上げなければ、使用済み燃料を青森に運び込むこともできない。それができなければ、原発サイトは使用済み燃料で溢れかえり、原発の運転が不可能となる。
内部告発は、この切羽詰まった事態に拍車をかけた。青森への使用済み燃料搬入と来年春からの関電プルサーマルのスケジュールをくるわせかねないとして国・電力を窮地に陥れた。輸送容器は作り直せば2年はかかる。そうなれば、当然M0X燃料の輸送は間に合わない。また、福島第U原発では、あと2年でサイト内の使用済み燃料プールは満杯となり、原発の運転そのものが出来なくなる。
既に伊方原発では、形だけの輸送容器再審査とはいえ、使用済み燃料の構内移送ができなくなった。そのため四国電力は、輸送容器の借り入れに右往左往している。伊方原発2号機の満杯になった使用済み燃料を3号機に移送しなければ、2号機は定検で燃料取り替えができず、運転は不可能となってしまうからである。
国・電力はそこまで追いつめられた状態にある。だからこそ、何がなんでもプルサーマル。何がなんでも容器の作り直しだけはやらないという強硬姿勢に出る以外に道がない。そのためには安全性の根拠も責任問題も全てほおかむりする。これがプルサーマルの真の姿である。
福井県知事の承認を阻止しよう |
福井県知事の承認を阻止できるかどうかが、反対運動の焦点となった。12月県議会(12/2〜18)でー挙に決着をつけたいという国の思惑は、データ改ざん問題、「地域振興策」、統―地方選等も絡んで、ストレートには進んでいない。福井県知事は、来年4月の知事選に向け、自民党福井県連との間で、プルサーマル積極推進、敦賀増設積極推進の選挙協定を結んだ。自らの政治生命のためには、「県民合意」も増設反対2O万署名もいとも簡単に踏みにじった。県民を愚弄するのもはなはだしい。しかし、福井新聞アンケートに現れた多くの県民の不安が消えたわけではない。
運動は、住民の不安に依拠するという立場を再確認し、改めてプルサーマルの危険性について議論を広げていこう。国策の失敗を福井県民に押しつけるプルサーマル、若狭を使用済みM0X燃料のゴミ捨て場とするプルサーマルに反対する声を広げていこう。改ざん輸送容器でのM0X輸送に不安・不信をもつ声を汲み上げていこう。
福井とならぶ原発集中立地点の柏崎市・刈羽村で、市民グループが行った住民アンケート結果が公表された。プルサーマル計画反対75%、住民投票賛成80%(表参照)。民意は圧倒的にブルサーマル反対であり、住民投票で決定するという強い意志を表してる。
福井・関西の連帯した力で、知事の承認を阻止していこう。新潟・福島・青森等の運動と連帯しプルサーマルを阻止しよう。
【柏崎・刈羽村でのアンケート結果】(12月7日福井新聞より)
プルサーマル計画 | 反対 75% | 賛成3.4% |
住民投票を |
絶対に行うべき(過半数超)+行った方がよい 無理に行う必要なし 行うべきでない |
80% 6.3% 3.3% |
ヨ―ロッパの新たな流れを受けとめて! |
ヨーロッパからは、ブルトニウム利用中止と、原発廃止へ向かう力強い足音が聞こえてくる。その大きな流れは、まったくラジカルで、不可逆的で、構造的な変化を示している。
ドイツは英・仏への再処理委託を中止し、プルトニウム利用を最終的に放棄しようとしている。さらに、原発そのものを段階的に廃止していく方向に歩みを始めた。ドイツのねばり強く果敢な反原発闘争が勝ち取った成果である。
ドイツの流れは、わずか2ケ月のうちに西ヨーロッパに波及している。12月4日ベルギーのエネルギー大臣は、再処理とMOX利用の終焉を発表した。「経済的にも生態学的にも再処理技術を用いる正当性はなにもない」と述ベている。1991年にコジェマと結んだ225トンの再処理委託契約は破棄される。さらに、原発そのものからの撤退までが問題となり始めている。フランスにつぐヨーロッパ第2の原発大国ベルギーでの根本的な変化である。
スイスでは新規立地は住民投票によらねばならず、実質的に新規立地はなくなった。
フランスでは、12月9日「核燃料サイクルを全て経済性の観点から評価しなおす」との政府文書が発表され、転換点を迎えようとしている。ドイツ・ベルギー等の再処理中止により、コジエマは現時点で、20O0年以降の再処理契約がゼロという事態に陥っている。フランスの国営電力会社EDFでさえ、2000年以降の再処理契約を未だ結んでいない。
原発先進国に湧き起こるこの確かな変化の流れに確信を深め、勇気づけられながら、新しい局面を迎える高浜プルサーマル反対運動にのぞんでいこう。