「美浜の会ニュース」No.46(1998.10.12)より



福島での集会に参加して

 県議会・知事に届け!プルサーマル反対の声

  

ひさびさに晴れわたった福島の秋空に、プルサーマル反対の声が高く高く響いた。
プルサーマルに反対する福島県内の市民グループ・労働組合でつくる実行委員会が主催しての「やめよう!プルサーマル県民集会」が10月4日、福島市中の県庁を臨む会館で行われた。定員200名の会場はそれを超えた人であふれていた。
特別報告では京大原子炉実験所の小林圭二さんが、プルサーマルの安全上の問題について大変わかりやすく話された。福島県が「プルトニウムを燃料に使うMOX燃料も危険性はウラン燃料と同じだ」として、東電の申し入れを受け入れようとしていることに対して、「ウラン燃料とMOX燃料では炉内での振る舞いが全く異なり、これを安全上同一視することはできない」と指摘した。プルサーマルでは、ウラン燃料とMOX燃料の二重炉心になることから、MOX燃料の近傍で制御棒の効きが悪くなること、MOX燃料とウラン燃料の燃え方の違いから、出力のアンバランスが生じ、燃料の一部に熱が集中し知らぬ間に破損に至る危険があることが強調された。特に福島原発のような沸騰水型原発では、炉内の圧力が上がると炉水中の気泡が潰されて、核暴走を起こす危険が指摘されているが、これがウラン燃料の時よりも激しくなる恐れがあるという。小林さんは、さらにこれが商業炉で、実績もなしにいきなり本格運用されることに問題があると指摘された。商業炉では経済性が優先される。現在軽水炉では、運転コストを下げるために、燃料を濃くして長時間使えるようにする燃料の高燃焼度化を進めている。ウラン燃料の高燃焼度化が進めぱ、それに入れるMOX燃料もプルトニウムの濃度を濃くして、燃焼度を上げる必要が否応なく迫られる。「プルサーマルは始まることが怖いけれど、始まったその後もますます怖くなる」と述べられたことが印象に残った。
主催者あいさつでは「ストップ・プルトニウムキャンペーン」の佐藤さんが10月2日に福島から青森に使用済核燃料が移送された問題に触れ、「プルサーマルというのは結局、核のゴミをどこが引き取るのかという、これまで先送りしてきた問題にすぎず、青森が核のゴミ捨て場となる一方で、福島では行き場のないMOX使用済燃料が溜まることになるだけだ」と発言され、知事の「福島からどこかへ持っていってくれればいい」という態度を強く批判した。また、福島での動きについて、県議会では10月8日に全員協議会でプルサーマルについての集中審議を行い、さらに会期後にもう1回行う動きがあるとのこと。一方で県議会に出している「プルサーマルに同意しない請願」の扱いが焦点であり、翌日の県議会で採択を求める申し入れ行動への参加呼びかけもなされた。
集会後、駅前まで気持ちのよいデモ行進とビラまきを行った。(ふくろうの会 S)


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