ラアーグからの警告

再処理工場による海の放射能汚染が
白血病の多発を引き起こす

〔資料集〕


はじめに

 フランスのラ・アーグ再処理工場周辺で小児白血病が多発しています。子供や妊娠中の母親が海岸でよく遊んだり、子供がよく魚貝を食べたりすると白血病になりやすいとの調査結果が1月にイギリスの医学雑誌に発表されました。イギリス・セラフィールド再処理工場周辺でも子供の歯からプルトニウムが検出されています。再処理工場から海にたれ流される放射能が人体に被害をもたらしていることが明らかになってきています。
  そして、今、フランスではラ・アーグ再処理工場による海の放射能汚染が再処理工場の運転そのものをも左右する重大な問題となってきています。今年7月には工場周辺海域の立ち入り禁止がボワネ環境相によって命令されました。さらに、コジェマ社が工場の排水パイプの洗浄作業で、放射性物質を海に放り出すという違法行為を行ったため、海の汚染はさらに深刻になり、9月、ボワネ環境相はコジェマ社に洗浄作業の中止を命じました。10月には、コジェマ社による海の汚染が洗浄作業という一時的なものだけではないことがグリンピースの調査によって明らかになっています。コジェマ社が自ら決めた排出基準を越える放射性粒子を日常的に何十年にもわたって、違法にたれ流し続けていたのです。
  高速増殖炉スーパーフェニックスの閉鎖・放棄に次いで、ラ・アーグ再処理工場の放射能汚染・放射能被害がフランスの核燃料サイクル政策を挫折へと導くかもしれません。
 ラ・アーグの被害は六ヶ所村の将来の姿です。六ヶ所村、そして日本でこの悲劇をくりかえさないために六ヶ所再処理工場の建設を何としても中止させましょう。それとともに、ラ・アーグ再処理工場で処理される使用済み燃料のうちの大部分が日本の原発から送られていることを忘れてはなりません。日本の原発がフランス・イギリスに放射能汚染を輸出し、白血病をもたらしていることの責任をどう取るのか、私達は問われているのではないでしょうか。
  私達はラ・アーグ再処理工場周辺の放射能汚染・被害の実態を通して再処理工場の危険性を広く知らせたく、資料集としてまとめました。日本でも相次ぐ事故・事件でプルトニウム政策は行き詰まり、動燃・科技庁の無責任ぶりが人々に彼等への怒りと不信を生み出しています。多くの人がこの資料集を各地の様々な運動の中で活用していただけることを期待します。

1997年10月


発行:199年10月
B版29ページ
頒価:500円
発行:美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
連絡先:大阪府堺市大美野133−6 小山 英之 FAX 0722−35−5931