◆成恵の世界(丸川トモヒロ・作)(キッズステーション)


 この宇宙のどこかに惑星日本、惑星アメリカといった各惑星が一つの国家になっているという設定は、どちらかといえば、パラレルワールドの話ではないかと思います。
 作者もかなりのSFマニア。タイトルは、ヴァン・ヴォークトの「非(ナル)Aの世界」から採ったのだと思いますが(これは読んでない)。
 アニメを見てから原作を読んだのですが、原作の方が遥かにいい。つーか、アニメの方は、改悪しています。
 たとえば、魔砲少女四号ちゃんのコスプレのど自慢。原作は、CDデビューのためののど自慢がメインで、他の出演者は、店で売っている制服を着て歌うだけなのに、成恵・はじめコンビは手作り(以前作ったものだけど)のコスチュームで歌う。そこに勝因があった。しかし、アニメではコスプレだけのコンテスト。他者との違いは手作りか否かだけ。また、原作で和人が「成恵ちゃんが芸能人になれるワケ…」と言ったら、監察官が「人には可能性がある。我々はあらゆる可能性を考慮する。もっとも…未来を決めるのはキミ達だが−−」と、理解ある態度を取る(黙認する)。アニメではCDデビューの設定はなく、このセリフもカットされたのだが、この話で一番重要なのは、これだったのではないでしょうか。

 CDドラマは、TVとほぼ同じキャストで(こちらの方が先か)、原作での同じようなエピソード(はじめちゃん関連とか)2話分を1本にうまくまとめています。
 ところで、古本屋でのSF文庫探し。朗々と読み上げる名作リスト(ハヤカワか? 東京創元社に比べて高いのであまり買いませんでした)は、かなりマニアックでした。

                               (2004/2/12)


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