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このコーナーの記事は筆者の主観に基づくものであり、これらが必ずしも一般の見解であると言うわけではありませんのでご了承下さい。
セガに示された新しき地平 〜ハード事業撤退によりセガが失ったものと得たもの〜 (2001/12/30)
2001年のセガは、今後のゲーム史において重大な役割を果たすことになるであろう方針転換をやってのけた。
いわば開き直りにも似た一連の成り行きには、絶対的な経営者である故・大川功氏の強い意志によるところが大きい。だが、最終決定に大きく関わったのは、分社化された各コンテンツ研究開発部門の今までセガの第一線にあり続けたトップたちであることを忘れてはならない。
それを受けたこの1年、セガは自らを大きく変貌させ、そのあり方を変えていった。その流れの中でセガが失ったもの、得たもの―。それは一体何なのか。
セガが失ったもの(1)――不器用ながら必死に突っ走った茨道
セガの歴史ある家庭用ゲーム機は、ドリームキャストを最後として表舞台から降りることになった。
セガはアーケードにて確固たるトップシェアの地位を築くと共に、コンシューマ(家庭向け)においても野心的に取り組んできた。ビデオゲーム創生期にあった国内のみならず、海外では任天堂としのぎを削りながらも互いに切磋琢磨し、世界の家庭用ゲーム市場における日本企業の立場固めに大いに貢献した。
しかしながら、国内においてはそのパッケージクオリティや総合的な経営力において任天堂に遅れを取り、ブランドイメージによる企業戦略でも、アーケードのアダルトな印象を拭うことができずにいた。
アーケードとコンシューマのブランドイメージをある程度分離することに成功したセガサターンでは、アーケードのイメージアップ風潮にも乗ってセガというブランドを今までより親しみやすくすることができた。コンシューマとアーケードを両立し、日本においてもゲーム業界で任天堂と並ぶ大手として認識されるようになった。
セガにとって不幸だったのは、業界に新規参入してきたソニーグループのSCEが急成長したことだった。セガのささやかな成長は、総合的な企業力で圧倒的に勝るSCEの華やかな姿の影に隠れてしまった。しかも、時をおかずしてセガサターンの投入時期判断を誤り海外市場を失ってしまった。また、セガの企業としての組織体制は効率的とは言えず、見た目の繁栄とは裏腹に組織内の各所で綻びが生じていた。また一本化された経営方針も確立できず、迷走の感を漂わるようになった。
セガの開発する家庭用ゲーム機は基本性能は高いが不器用だったり、オール7点を狙ってどっちつかずという場合が多かった。セガがコンシューマ市場におけるブランドイメージのさらなる向上を狙って開発したのがドリームキャストだった。
国内市場だけで勝負せざるを得なかったセガサターンの失速により、セガは体力を著しく消耗していた。しかし入交昭一郎氏を筆頭とする当時の経営陣の強い熱意により、「もう一度」という思いでドリームキャストは発売された。
ドリームキャストは総合的に見て非常に優れたゲーム機であり、ネットワーク機能を標準装備するなど将来性もかいま見せていた。ところが、ハードウェアを形にすることを急ぐあまり、そのコンテンツたるソフトウェアの準備が全く追いついていなかった。
見切り発車となったドリームキャストはネットワーク機能を活かせず、インターネットができる安価かつ高性能のゲーム機として一般に認知された。ドリームキャストがその方向性を一般に見せることができたのは発売して優に1年あまりあとのことであり、折悪くSCEの新型機とその実性能のみで比較されることになった。
セガの企業力は一般にドリームキャストの方向性を再提示することが不可能なほど衰退しており、ドリームキャストの成長を支えた海外市場の景気後退の煽りをまともに受ける形でそれを露呈することになった。ネットワーク機能の活用が実現して今一度の盛り上がりを見せていたが、その舞台は抗しようもなく刻々と縮小していた。
セガは自己の強力な開発力(人員規模トップ)をドリームキャストに投入し続けるか否かの判断に迫られることになった。最後まで全力をつぎ込んだ場合、倒産は免れない。経営陣が下した判断は苦渋に満ちたものだった。会社が消滅すれば、そこで何もかもが終わってしまう。存続さえすれば、少なくとも明日を待てるのだ。
セガが失ったもの(2)――業界の担い手としての象徴と求心力
セガが失ったもの、それは単にドリームキャストというものだけの話ではない。ゲームを遊ぶのに必要とされる地盤を自社で用意し、そこに自社の色付けがされた世界を展開させる力。ゲームを開発する幾多の存在と手を取り、ゲーム業界を引っ張って行くリーダーシップ性。ハードウェアとしての、自社の名前が刻みつけられたゲーム機はまさにその象徴となる。
アーケードにおいてその地位は健在だが、コンシューマのセガはモノづくりの能力を失った。ある見方をすれば、セガは能動的な存在から受動的な存在に変わったといえる。自ら未開地を切り開くことを辞め、切り開かれた土地に種を撒くことを始めた。
これにより、セガのゲームユーザーはセガの切り開いた土地でセガの育てた穀物を食べることができなくなった。セガの穀物を食べるには地主(開拓者)という第三者の存在を介さなければならず、ここにセガの存在感を感じることができなくなってしまった。
セガという世界が消滅することにより、今までセガの土地で生活していた者に対するセガの存在は薄くなった。一国の王が一地方の領主に成り下がることで、その人物が臣民にとって前ほど特別な存在ではなくなってしまうという現象がセガとセガユーザーに起こっている。
セガの持っていたゲーム機メーカーとしてのカリスマ性のようなものが失われ、巨大であるとはいえ一介のゲーム開発会社になってしまったことは、セガに強い愛着を持つユーザーのアイデンテティを失わせることにもなった(過剰な表現ではあるが)。
セガが得たもの ――芽づけされていない新天地と公平な太陽の光
DCまでのセガは、内輪でいくら背伸びをしてみせようとも、一般からすればどう見てもマイナーなメーカーだった。それが今回のコンテンツ事業への特化によってようやく多方面から注目されつつある。
大多数の人々からマニア向けゲーム機のメーカーとしてしか捉えられてこなかったセガ(小学生に至っては任天堂と同業という認識すら危うい)が、そのマニア向けのゲーム機を取り払って中身(コンテンツ)のみでやってゆくことによって、最も独占的かつ閉鎖的なコンテンツだったセガのゲームというものが、初めて一般に広く意識されるようになったのだ。
ハード間の垣根というものは想像以上に高いもので、任天堂やSCEのゲーム機に親しんできたユーザーの大多数は、今まで触れることのなかったセガのゲームというものをはじめて「遊べる対象」として捉えるようになった。例えば、小学生に聞くとソニックアドベンチャーやチューチューロケットの認識率は驚くほど高い。しかし、ドリームキャストにてすでに発売されていることはほとんど知らない。ましてやドリームキャストそのものを知らない子も、高学年でさえ普通にいる。
私の家で開くスマッシュプラザーズDX大会では、順番待ちの子にゲームギアのソニックをやらせたりDCのソニックアドベンチャーをやらせたりすることがある。DCのソニックではスマブラを放り出して数人が殺到する有様で、「ソニック」という名前が彼らにとって身近になったことの効果を実感することがある。
先日私の家に遊びに来た小学生の1人は、クリスマスにプレゼントしてもらったゲームボーイアドバンスを携えていた。そしてそこに入っていたソフトは、ソニックアドバンスだった。そしてその子は「面白い」と楽しそうにプレイしていた。
スーパーモンキーボールを持っている子も意外と多い。持っていない子でもやはり友達の家に行き遊ぶことが多いようで大抵の子は中身を知っている。スマブラに一段落つくと、モンキーボールのパーティーゲームで盛り上がったりもしていた。
セガサターン以前からのセガユーザーにはお分かりだろう。こんな些細なことでも、今までならあり得ないことだった。セガがこれから得ることのできるものは、今まで確保してきたものよりもあまりにも大きい。
セガはゲーム機という業界の担い手としての象徴を失ったが、その存在感は以前に増して大きくなっている。それは、自社製ハードという高い柵の中に無理矢理押し込められていた業界随一の開発力が、一斉に解き放たれたことへの大きな期待の現れなのだ。
方針の転換から1年も経たぬうちに、ドリームキャスト以外のゲーム機に大手並みのラインナップを並べたセガの開発力。ゲームキューブに至っては、開発子会社2社の参入により主力サードパーティーとも言える地位を占めてしまった。
セガがここから得られるもの。セガに親しんだ子供たちが任天堂のゲーム機から他社のゲーム機に興味を示すようになっても、そこにもその世代をターゲットにしたセガのラインナップが用意されている。いわばセガは、制限のなくなった土壌を活かしてあらゆる世代にアピールできる能力を備えることができたのだ。
これからのセガが得られるもの。それは今までにはどうやっても得られなかったものであり、新しい挑戦の連続である。
来年以降のセガは希望に満ちている。私らセガユーザーは、今までのセガを大切にしつつも、これからのセガを暖かく見守るべきであろう。
セガとドリームキャストとゲーム業界 99.2.17
今年はドリームキャスト元年と呼ばれる。去年発売されたドリームキャストが業界の注目を集めている。
セガにとってドリームキャストの状況は、良いものであると断言することができる。かつてメガドライブが発売された時、サードパーティーの数は13社であった。それが、セガサターンの時は131社である。そして今回は321社。発売されるソフトもセガサターンの同時期(4ヶ月間)より本数が多く、質も高い。
ハード普及台数に関しても、大雑把ではあるが国内にてメガドライブは300万台、セガサターンは600万台である。セガサターンの時はハードが売れると赤字になるという様であったが、今回はより低価格なうえに黒字を確保している。ドリームキャストに関しては、ひとまず600万台を超えれば、少なくとも「失敗」ではなかった、と後に言うことができよう。
また、プロモーション、流通事業に関しても改善されている。メガドライブ、セガサターンと続いてきたセガのシステムを、ドリームキャストに備えて変更している。プロモーション、流通は共に独立した組織を立ち上げ、効率化を図っている。いまだぎこちない部分も見受けられるが、概ね改善されつつあると評価することができるだろう。
さらに、セガにとってかつてのソニーのように海外市場を見れることは非常に大きい。セガサターンの普及にあたって、最大の障害となったのはメガドライブであった。いわゆる「買い換え」が上手くゆかず、セガサターンは撤退せざるを得なかった。しかし、今回はそれがない。現在海外で普及しているハードはあくまで「別のゲーム機」であり、ハードを普及させること自体はセガサターンの時ほど困難ではないだろう。なによりも、かつて栄華を誇ったことのあるセガブランドである。事前にプロモーションする必要がないうえに、ドリームキャストは海外にとっての超大作ソフトを何本もひっさげて発売されることが発表されている。
対して国内では、ドリームキャストは他ハードの動きにいちいち影響を受けてしまうことは否めない。この1年間のアドバンテージをどれくらい有効に活かせるか、これが今後の同ハードの展開を大きく決定づけることは間違いないであろう。マイクロソフト曰く、「ネットワークは先に手を付けたもの勝ち」。少しずつではあるが、これが形になってきている感もあるのだが・・・。
ソニーは今年がプレイステーションを全力投球する最後の年になると思われる。ポケットステーションがチップ不足で躓いたままなのは以外だが(私的には、ソニーはひょっとしてポケステと後継機との連動なぞ考えておらず、皆が互換性があるだろうと当たり前のように騒ぐのを重く見て、敢えて流通を抑えているのかなと思ったりもする。または後継機と共にモデルチェンジか?互換性はあるだろうというのが私の基本的な考えではあるが)話題の後継機に関しては、とんでもないほどの進化、正に次世代への変身をして姿を現すことは確実であろう。だが、今年は発表だけなのか、発売もするのかが問題である。私は発表のみ、発売は来年と見ている。そして海外へは再来年になるのではないだろうか。なぜならば、海外では未だにプレイステーションの売り上げがぐんぐん延びているからである。
さて、今年の発表であるが、これまたその時期については微妙である。プレイステーションはバイオハザード3、グランツーリスモ2、ときめきメモリアル2、ドラゴンクエスト7などの話題作を残している。べつに後継機が発表されたからといって売り上げが減少するわけではないだろうが、市場の勢いを成長段階のまま保つことはできないだろう。今年上半期の発表が濃厚だが、ぎりぎりまで引っ張るとするならば、後継機発表に衝撃を受けるユーザーがかなりの数に上ってしまうことになる。
ここで問題になるのは、ドラゴンクエスト7である。この話は比較的古い部類に当たるが、本来セガサターンの開発環境で開発されていた(これは確認されているようだ)本作は、ソニーの説得とスクウェアの後押しでプレイステーションに移ったと言われている。その際にエニックス側が提示した条件のひとつに、ドラゴンクエスト7の発売前に後継機を発表しないこと、それが守られなければそれ以後エニックスはソニーのハードでゲームは出さないというものがあると言われている。この話は結構有名であるが、このところの話によればソニーはこの約束を反故するつもりでおり(後からどうにでもなる、ということらしい)、エニックスはこの約束は活きていると判断しているようである。そのことから、もしこのような事態が起こるとすれば、日本における近い将来のハードシェア争いは非常に興味深いことになるであろう。
一方、最近は特にゲームボーイ、同カラーの躍進が著しい。私が思うに、かつて子供たちがファミコンで遊んだ、システムがある程度単純なゲームを、ゲームボーイが表現できるようになったことが大きいのではないだろうか。そしてこれは、ゲームボーイカラーの登場によって更に顕著になるのではないだろうか。つまり、かつてのファミコンの役割をカラーゲームボーイがそのまま受け継ぐのである。私達がテレビの前に座ってコントローラを握っていたのと同じ感覚で、今の子供たちはゲームボーイを遊んでいるのだろう。すでにそれは、かつてから言われてきた「携帯ゲーム機」として括れるものではなくなってきている、というのが私の考えである。
また、NINTENDO64は「オウガバトル」や「ファイアーエムブレム」、「MOTHER」などのタイトルを有している。ハード普及数が「ゼルダ」効果にて増加した現在、今後のソフトリリースが活発化する可能性があるだろう。注目の64DDであるが、完成から2年経った今、性能的に見てあまり目新しいものではなくなってしまった。発売を前にして、モデム搭載に加え、多少のモデルチェンジの発表はあるのかもしれない。また、ゲームボーイソケットと呼ばれる新しいハードも発売される見通しであり、海外に比べるといかにも寂しい国内の現状をいかに盛り上げるかが注目されるだろう。
いずれにせよ、毎年毎年「今年は激動の年」と呼ばれるゲーム業界だが、今年こそが激動の年であろう。まったくユーザーとして非常に興味深い。何が起こるか、とりあえず春のゲームショウが楽しみである。
任天堂は今・・・ 98.9.20
NINTENDO64の国内不振が言われ続けて久しいが、先日発表された64DDの発売延期はそれに拍車をかけることとなった。
64DDの発売延期にはソフトの開発遅延が原因であると言うが、これに疑問の余地はないだろう。そもそも「MOTHER」シリーズの開発が短期間もしくは予定期間で終わるなどとは到底思えない。「ポケモンスタジアム」「ゼルダ」「F−ZEROX」「OgreBattle3」などのタイトルがカートリッジ単体での発売に切り替えられた、またはDD版と分離されたのは非常に残念で仕方がない。この特殊でとてつもない可能性を秘めるDDは、最初はDD自体の事情、いまはソフトの事情でこれらの変更が余儀なくされたという。
任天堂自体は非常に安定している。海外でのN64の売り上げは最近PSをうわまり始めているという。GBも日本を含めて好調な売り上げである。発売10年を経てもなお売れているGBは、ある意味ではFCを超えたであろう。さらにカラー版GBがカラー版ゼルダの後押しを受けることは間違いないだろう。日本でもポケモン特需が当分続くと思われる。
さて国内のN64に話を戻すが、ブランド志向が非常に強い日本では相当な苦戦を強いられていることは間違いない。本体1台当たりのソフト売り上げは非常に高く良質なソフトが多いことは確かなのだが、本体外観からイメージさせられる「子供のおもちゃ」的な感覚とそれを裏付けるような本体CFは売り上げに影響していると思われる。ソフト自体には硬派なソフトが多いのであるが、そのアンバランス感はN64を捉える時には障害となる。つまり、よく判らないハードだしソフトも少ないという印象が強いのである。
また、ゲーム業界自体がFC、SFC時代からそうとう一人歩きしてしまったので、旧態依然たるソフトプロモーションではソフトは売れなくなってしまっている。「実況ワールドサッカー」に然り、「スターソルジャー」然りである。さらにそのソフト自体でも、「ピカチュウ元気でチュウ」が思わぬ欠陥で発売延期になったりとやきもきする事態が頻発している。既に発売されたソフトでも、SSと同じようにソフトの潜在力を活かしきれないままにいるものが多い。この傾向には、一方的に与えられる情報にしか興味を示さなくなってしまった日本人の無関心化も一役買っていると思われる。
すっかり芸能界・歌謡界じみてしまったゲーム業界であるが(もっぱらソニーのせいで)、これは本来実力主義であるはずのゲーム業界にとって喜ばしいことではない。任天堂はその実力主義を守り貫いている職人である。任天堂がそれを捨ててしまえば、ゲーム業界、ゲーム文化そのものに深刻な打撃を与えかねない。任天堂はハリウッドと化してはならないのである。
「OgreBattle3」の発表は、N64に安心感を与えた。しかし、いまだに任天堂の自社ソフト専用ハード的な印象は拭えない。断続的な他社の意欲的なソフトが発表されるようになることを望むばかりである。
97年コンシューマ業界分析 97.12.12
今年の家庭用ゲーム業界は、プレイステーションとスクウェアの年であった。その要因には昨年末から始まった、プレイステーション本体購入ラッシュがある。これは年末商戦にファイナルファンタジー7の前人気を、双方の売り上げを伸ばす為に利用した事によるものだと思われる。
本来なら年末商戦にソフトを投入する予定だったが、前人気が予想以上の熱さだったのでソフトを引き延ばし、ソフト自体はお年玉で買わせるという手順である。発売延期が開発の遅れであったとしても、結果的には同じ事であろう。ソフトの増産に伴う延期であったとしたら、正しく狙い通りだ。
さらに、ファイナルファンタジー7だけでは今一歩購入に踏み切れなかった人々に、ドラゴンクエスト7の製作発表が舞い込んだのである。これはトップスピードで疾走するレーシングカーがニトロに点火したような効果をもたらした。だめ押しである。これにより、ファイナルファンタジー7の発売直前になってプレイステーション本体を探しに街中を奔走する人々が続出したのである。
ともあれ、ファイナルファンタジー7効果は絶大なものがあった。「あまり影響ない」としていたセガでは、予想以上の事態に戸惑ったことだろう。ソフト発売にまで本体を購入できなかった人々がプレイステーションの売れを持続させる源になった。この結果、ファイナルファンタジー7の売れ線グラフはふたつの山を描くことになった。さらに伏兵I・Q(インテリジェント・キューブ)が好評で、それを後押しした。このころからテレビ・一般誌などで盛んにプレイステーションが採り上げられるようになり、大衆機としての立場が確立したと思われる。
ここまでの流れはとても偶然とは思えず、予め描かれたシナリオだったという感が拭えないのであるが、それだけに感心せざるを得ない。
これらの影響が収まるころになると、SCEは「プレイステーションの歌」のCFで「ラララプレーイステーション」を定着させた。これにより一種の流行が生まれ、それに乗る形でI・Qやパラッパラッパーのロングヒットと共に本体の売れが持続した。
そしてみんなのゴルフ、ダービースタリオンの発売となった。今年後半の勝負はここで決まったと言っても過言ではない。特にみんなのゴルフのCFは実に購買意欲と好感を持たせるものであり、ソフト自体の出来の良さも相まってプレイステーション自体にも非常にプラスの効果を働かせた。
一方セガと任天堂であるが、セガサターンとNINTENDO64共に消費者の購買力をプレイステーションに奪われた結果となった。NINTENDO64はソフトの少なさが最大の原因かと思われるが、セガサターンはプレイステーションにあからさまに対抗していたために、どちらを買うか考えていた人々に「敗者」の判定を下されることになった。
年末年始でプレイステーションがどの店も商品棚から消え、「プレイステーション品切れです」と書かれている横にセガサターンが積まれている光景には、訪れた者の目に「人気がないんだな」と思われても仕方がないものがある。それは同時に「プレステ売れているんだな」とも思わせるわけである。
セガ・バンダイの合併発表は確かに世間を騒がせたが、それがセガサターンの購入に結びつくことは有り得ず、解消劇はそれまで以上に周囲を冷え込ませる結果になった。
ソフトの売り上げに関しても同様で、ファイナルファンタジー7を購入したスクウェアファンは立て続けに発売されたスクウェアの大作を購入し、購買力を失った。その影響はセガサターンに如実に現れた。対抗できるソフトの発売日がいずれも後半にずれ込んだことも大きかったが、この影響の方が大きかった。
これにより、両ハードを持つゲーマーはしばらくの間セガサターンを触らない期間を持ってしまったのである。さらに注目作の狭間に上手く埋もれていた美少女・アニメ系ソフトが浮き彫りとなってしまった。「しばらくサターンやってなかったけれど、ギャルゲーばっかだからいいや」となるわけである。後継機種の噂も横行し、この期間に「ゲーム機買おうか」と思った人はハード選びにあまり苦労しなかったであろう。
そして中古市場の存在はこの悪影響をさらに深刻なものとした。購買力を回復した消費者は、中古買いに走ったのである。ソフトの売れが伸びないはずである。結果、ソフト売り上げランキングにはその影響がはっきりと出たのである。
さらに今年のセガサターンの特徴として、主力ユーザーの入れ代わりがある。上記の期間はこれにうってつけだったわけであるが、この証明としてデッドオアアライブ、全日本プロレスファイティングバーチャ、ラストブロンクス、X−MEN VS S・FIGHTERなどの対戦格闘ゲームの売り上げがかなり低下している(単純計算で前年の3〜5分の1)ことが挙げられる。その代わりに新世紀エヴァンゲリオン、同セカンドインプレッション、下級生、スレイヤーズろいやるなどのソフトが対戦格闘ゲームの2倍から3倍近く売れるという状況になっている。96年は、ほぼその逆であった。
何故こうなったかと言えば、今までに述べた要因とそれに伴う発売当初からのユーザー離れが原因であると言える。これにはエヴァ、サクラ大戦関連の発表ばかり(他にナデシコ)で一向にバーチャファイター3の情報を出さず(さらにデジタルダンスミックスでバーチャ3開発中の期待を裏切られた)、挙げ句には後継機種ときたセガに発売当初からのユーザーが興味を持たなくなったことがある。「そんななかでラスブロなんか発売されても…」という声も聞こえそうである。彼らは、今のセガサターンを一歩引いたところから冷めた目で眺めているのだ。かもすれば、鉄拳3が彼らに手招きしかねない状況である。
これらの動きは、セガサターンをさらに閉塞された状態に追い込んでいると言える。
一方ゲームボーイであるが、これは消費者層が他ハードとは別の次元にあるので、違う世界を生きている感覚である。子供達にとってゲーム機とはゲームボーイであり、ゲームとはポケモンなのである。今のロールプレイングやシューティングなんて、子供達には文系の学生が理系を見る(逆もあり)、サラリーマンが官僚を見るような感覚であろう。つまり、自分たちには関係のないものなのだ。首を突っ込んでも解らないし、だから興味もない。
しかも子供達は自分に購買力が無いために、1年に3本もゲームを手に入れられれば良いほうだと思われる。ゲームボーイとそのソフトは安いし、第一長く遊べる。しかもポケモンはみんなで遊べるし一石二鳥であると言うわけである。
任天堂はNINTENDO64に彼らを少しずつ引き込むことに成功している。ソフトもそのためのものをいくつか用意している。これは今のゲームに慣れた大人達には雰囲気的に懐かしいだけであまり興味を持たせない。これも本体の売れが伸びない原因のひとつである。
つまり、NINTENDO64が売れる売れないの本当の部分は子供達とその親が握っている。従ってプレイステーションがいくら売れても関係なく売れを伸ばすことも可能である。今現在SCEが行っている「お願いして良かったー」等のCF及び「ごほうびに」のキャッチフレーズは、これを理解しているがうえに、彼らを引き込もうと行っているものであると考えられる。もはやツインビーやゴエモンは子供にとって昔ほど有名な存在ではない。そこで同時期CFにロックマンの出番(ロックマンDASH)となるわけだ。
ポケットモンスターによるゲームボーイの売れはプレイステーションに匹敵し、しばしばそれを上回ることもある。最近になってコナミ、ハドソン、エニックスなどの主力会社が再びソフトをリリースし始めた。それに伴い、ゲームボーイ専門誌も復刊するに至った。NINTENDO64の海外の売れは驚異的で、日本市場の任天堂にとって今年は潜伏期とでも言うべき期間であったと言える。
さて年末商戦であるが、年末に入ってセガサターンが健闘していると言えるだろう。特にJリーグプロサッカークラブを作ろう!2は岡田ジャパンの偉業と共に売りを伸ばした。デビルサマナーソウルハッカーズなども一役買っている。
しかしこれは今年前期・中期と比較してのことである。96年の方がよっぽど力があった。最強のラインナップと唄ってはいるが、バーニングレンジャーや街、センチメンタルグラフティなどが来年へずれ込んだ。それでもお年玉効果はあるであろうが、実際盛り上がりに欠けている。そしてSONIC Rの販売本数は、先に挙げた数々の要因を証明する形となった。
対するプレイステーションは、セガサターンを圧倒するに足るラインナップを揃えた。グランディアと同日には電車でGO!とフロントミッションオルタナティヴ、さらに次週にはテイルズオブデスティニー、チョコボの不思議なダンジョン、グランツーリスモ、桃太郎電鉄7を発売する。どう見ても、セガサターンにこれらのソフトに対抗できるソフトは見当たらない。それどころか、グランディアの購買力を逆にもっていかれる可能性の方が高い。
CFでは電車でGO!のアピール度が群を抜いている。幾つかの番組でも採り上げられ、購買意欲を煽るには充分である。チョコボの不思議なダンジョンのCFも盛んで、テイルズオブデスティニーはその必要もない程前人気が高い。セガサターンはせがた三四郎のCFを頻繁に流しているが、面白いだけで訴買力に欠けている。「ごほうびに」のプレイステーションのほうが購買につながる効果は高いと思われる。直接「買う」という行動を結びつけ、実際に買ったという場面を家族ぐるみで視聴者に印象づけているからだ。これはSCEが一貫してCFで行っていることでもある。
これらのことから、今年はプレイステーションとスクウェアの年と改めて言うことができる。もっと簡潔に言えば、プレイステーション躍進の年、プレイステーションの成人元年である。とにかく効果的なCFやあらゆるメディアや機会を利用した促販にはただ感心するのみである。グローバルな視点でみれば、世界市場における日本の優位を更に強化したものとして評価したい。SCEの海外のおける海賊版の取り締まりなどは、率直に応援のエールを送りたい。
プレイステーションのソフトは、TVでのCFや番組で採り上げられたソフトが実に良く売れる。しかし逆を言えば言わずもがな、全く売れていないソフトが多数ある。つまり、「売れるソフト」「売れる予定のソフト」と「売れない予定のソフト」に予め分けられてしまうのである。I・Qなどは「売れる予定のソフト」の筆頭であろう。まるで芸能界のプロダクションさながらの業界である。
この大手メーカーの温床となったプレイステーション、今後発売されるソフトの数は確実に減少するであろう。さらに最近は美少女、恋愛、アニメ関係のゲームがセガサターンを優に勝る数と勢いで増加の一歩を辿っており、雲の下のソフト展開が変わってくる可能性がある。
更に値下げが可能と言われる同機であるが、国内2000万台を目指してこれからもいろいろと手を打ってくるであろう。個人的には、値段を下げるだけでなくRAMを増設して欲しいものである。
セガサターンは、方向転換を迫られた年であった。両ハードはプロ野球と高校野球(甲子園)、それぞれを取り囲む人々のような感覚である。半ばから競争を中止して独自路線を踏むに至ったが、ソフトメーカーはよくこれに対応したと感じている。
しかしセガサターンにとって、このままでは年末年始と来年は今年以上に厳しいものになることは想像に難くない。しかし中古問題を除けば実際重大な問題はない上に、面白いゲームという点では全く引けを取っていないのも事実だ。ドラゴンズドリームなどのモデムを使ったネットワークRPGなど革新的なソフトや技術は確実に養われている。
安易なソフトや質の悪い美少女ソフトが減少し、大手以外の会社からカルドセプトなどの質の高いソフトが発売されるようになったことは歓迎すべきことである。セガサターンは奥深いゲームを楽しむ場に少しずつなりつつあるのではないだろうか。
今年を良い意味で捉えればアーケード移植ハードからの脱却の年、と言える。それが過剰であったのが欠点であるが、ザ・ハウス・オブ・ザ・デッドのようなソフトも見られ、今後は離れてしまった初期ユーザーを如何に連れ戻すかが課題のひとつとなるであろう。
任天堂は、6月のディスクドライブ発売時が山場であるので、年末商戦にはあまり参加しないと思われる。牽引するソフトに乏しいからだ。そのぶん発売時は総力を上げたものになることは間違いない。
今年は最後までプレイステーションの年であることに間違いはなさそうだが、来年はNINTENDO64と良い勝負をするであろう。それだけディスクドライブを得たNINTENDO64は三顧の礼を終えた劉備元徳なみの躍進を遂げるはずである。
ナムコ、カプコン、クエスト、コナミなどのソフト展開、スクウェアの動向(可能性は低い)など見るべき点が多々あり、来年は今年とうって変わってたいへん楽しみな年になりそうである。
カプコンの理想的なソフト展開 97.10.19
最近のゲーム業界各社のソフトリリース状況には、一定の傾向が見られるようになってきた。それらは概ね4タイプに分けることができる。そのタイプとは、ひとつのハードにのみリリースする会社、ひとつのハードに重点をおきリリースする会社、複数のハードに同タイトルをリリースする会社、複数のハードに異タイトルをリリースする会社である。始めにはスクウェアやナムコ、ゲームアーツといった会社、2番目にはNECインターチャネル、アスキー、ヒューマン、ワープ、バンプレスト、3番目にはコナミ、光栄、カプコン、SNK、4番目にはアトラス、エニックス、バンダイ、ハドソンなどが大別して当てはめられるであろう。
これらの傾向で、最も多いのがPS・SSの両ハード間に於ける3番目であろう。大抵の中小ゲーム会社はこの方法を採っており、両ハードの個性を失わせるひとつの要因となっている。このような状況の中で、当初のイメージを発展させる形で展開してきた両ハードでそのイメージを先に確立させることができたのは、スクウェアとナムコが独占参入したPSであった。コナミも当初PS寄りのソフトリリースを行い、さらにエニックスの「ドラクエはPS」発言があり、SSは決め手を失った。この時期SSでは購買対象が限定される類のオリジナルタイトルが既購買層によって盛り上がることにより当初のイメージを失い、さらに18禁ソフトのリリース停止もあり、イメージ戦略でPSに大敗した。その後事態は沈静化したかに見えたが、前述した1番目と2番目のソフト会社の一般認知度と数でSSはPSに負け、3番目の要因も重なって購買層はPSに流れた。
現在の状況では、両ハードにおける1番目と2番目は、一般認知度から見て大勢は決している。しかし、最近のSSのイメージは好転の兆しを見せている。その原因となっているのが、4番目の会社の動きである。そのなかでも、現在はまだ3番目に分類されるが、近いうちに4番目となるカプコンは重要な地位を占めるであろう。
これまでのカプコンのソフトリリースは、完全に3番目のタイプであった。片方のハード、特にPSで事足りるタイプである。カプコンが新しく打ち出してきて成功を収めた3D、今までのカプコンを強力に支えた2D。3DはSSよりPSの方が都合が良く、2DはSSの方が都合が良かった。3Dのバイオハザードは当初PSのみの予定で、2Dはだいたい両ハードでリリースしていた。しかしここにきて、カプコンはアーケードで好評の2Dタイプ対戦格闘アクションゲームをSS専応にする発表を行った。それに平行するかのように、PSのみのタイトルも数多く発表されている。これは、非常に好意的に受けとめられる、評価すべき展開である。
2D、3DはSS、PSの方が都合が良いなどの技術的な面はさておき、無理に両ハードにリリースしないことは喜ばしい。無理に移植すれば当然内容にしわ寄せが来るし、そうしてできた不得意ハード版を得意ハード版と同じ値段で購入することになった購買者は不平等である。むしろ完全なものを片ハードのみで発売することにより、前述のハードの購買に足るべきイメージの促進にも繋がる。
現在の状況からすれば、共通ハードは夢である。どうせ統一できないのであれば、現在出ている別ハードのどれかを新しく買っても、既に持っているハードとダブらないことが望ましい。3番目の要因は、現在出ている別ハードのどれかを新しく買っても、既に持っているハードとダブらせてしまう、つまりお買い得感が少ない結果にさせる。この要因を取り除けない限り、1・2・4番目のタイプの会社が増えることが解決策となる。その意味で、カプコンのソフト展開は購買層にとって歓迎されるべきものであると言えるだろう。
最近、カプコンの岡本氏が設立した株式会社フラグシップは、持ち株がカプコン60%、セガ20%、任天堂20%である。同社はまずSSとN64にビックタイトルをリリースする構えである。同一タイトルのリリースはまずあり得ないと予想されるので、4番目に分類される。実に喜ばしいことだと言える。
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