▲侘 寂 萌 インデックス



ヤマザキ 山の行動食

 とにかくまあ山パンはうまい。ヤマザキのパン。
 高校時代、近くにあった山パンの工場にみんなでバイトに行ったりしたこともあって昔からの山パン贔屓だ。
 ほんとは1体1万円という噂の死体洗いのアルバイトがしたかったんだけど、職員室の公衆電話から千葉大の大学病院に「死体洗いのバイトしたいんですけどー」と電話したら、向こうのお姉さんに「そういう仕事はないのよお」と恐いくらい優しく教えられたので、しかたなく山パンでミニどら焼きとか作ってた。

 まったく山パンの商品開発力には感服往々、脱帽至極。マロン&マロンなんて傑作だよね。薄皮つぶあんぱん、あのボリュームにあの美味さ。これで120円ってマジですか!?って感じ。ロッテのガーナとともにコンシューマ・スウィーツの世界品質だね。ニッポンの誇り。

 山ノボラー定番の行動食としてはビスコとか東ハト・オールレーズンとか色々あるけど、うまい、やすい、高い(カロリーが)の三拍子揃った行動食としては結局山パンがベスト、というのが俺の結論だ。
 高カロリー(質量&値段あたり)ってことではオレオが突出している。なにしろ1袋990kcal。すげえ、砂糖の塊より高カロリーときた。しかし難点は、とにかくまずい。標高2000mを超えると食えたもんじゃない。やっぱり連中(米人)は味覚と萌えのセンスがからっきしだ(もっとも邦版オレオはヤマザキナビスコ製ではあるが)。

 標高が上がると気圧の低下と共に気温は100mにつき0.6度下がるが、味覚もまた標高により劇的な変化をみせる。
 下界では別段食べる気もしないのに、山で食べるヤマザキのアップルパイがなんとも美味い。標高100mにつき3割方くらい美味くなってるね、確実に。しかし残念なことに、かさばる・潰れると携行性が悪いので、4泊5日の縦走とかでもアップルパイと薄皮つぶあんぱん1袋ずつしか持っていけない。2日目の昼下がり、最後の一口を食べる時の侘びしさといったら……。

 山パン以上に高度良化するのがカップヌードル(日清の元祖・カップヌードル)。
 標高1500m以上で食すカップヌードルのなんと美味なることか! 一時期はむしろカップヌードルを食べるために山に登っていた観もあったが、結局一番うまいのは断然、日清の元祖・カップヌードル。あのコショウの辛みが絶妙。

 バイク乗りはよく、一番うまいコーヒーを知っているのは俺たちだ、なんてことを言う。
 厳冬期のツーリング、峠を越えた先にポツンとあらわれた自販機、熱い缶コーヒーでかじかんだ手を温めながらゆっくりと飲むその味。連中の言うとおり、世界一うまいコーヒーを知っているのはツーリング・ライダーかもしれない。

 ――ということをこんど三毛別の羆と話してみたいものです。あるいは清少納言。



ネイキッド

 欲すぃ…。れりぴーネイキッド。あとダイハツのネイキッド。
 でもユニクロの限定マイクロフリースも買えねいってのに、こんなもん買ってる場合じゃないぜー。

 人気の絶頂期、キリストなんかメじゃないぜ、と大言したジョン・レノンは「弟子がドキュソ」とまで口を滑らせたが、ビートルズもまったくその通りだぁね。弟子(周囲)がダメプンチン。
 いつまでもチマチマチマチマ、インチキ新作で小金稼いでんぢゃねー。
 インターネット・ラジオでチラと聴いたが、まったく歴史的価値のみの代物ではなかろうか。ビートルズとメセニーは全部買うと決めてるので俺は買う(買わざるをえない)が、初日40万枚完売?ってのも、なんともまあ病的なものを感ずるな。

 クラシック音楽と同様、ビートルズも「お作法」になりつつあるね。音楽的価値とは無関係に、単なる「オサレな知的アクセサリー」として消費されている。
 SFの90%がクズ(スタージョンの法則)なら、クラシック(音楽に限らずあらゆる古典)の90%もクズだし、ネイキッドもクズだわな。

 甘さ控えめという一方で、すべての食い物が半端に甘いというコンビニ・テイスト・シンドロームがマーケットの論理の行き着く先だわね。





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