(...前回の続き)
(中略)
(さらに面倒なので、萌えの正体の結論省略)
てわけで結局、あの可愛い絵。なんつうか常軌を逸しているほど可愛い絵。
あれでは駄目だ。目的に添わないってことに気づきました。
目的というのは当然、ヲタの少年諸君が渇望するところのもの。
ヲタクの諸君(一般にオタクと呼ばれる若者ら)というのは、都市住民(オイラがオタクと呼ぶ人々)なわけで、自分の意識と身体感覚が大きく乖離しているわけであります。
例えばマヨラー。マヨネーズ過剰摂取症候群の人々。
なぜ彼らが異常なほどマヨネーズを欲するのかといえば、彼らが普段、自分で自分の食べたいものが分かっていないからなのである。
彼らの意識は自分の体が欲しているものが分かっていない。
普段、どれほど満腹に食べていようと、美味しいものを食べていようと、本質的に貧しい食生活を送っているから、その足りないものを補うために体がマヨネーズを欲してしまうのだ。
(できれば自分で採った)フレッシュな食材を、(可能な限り自分で)調理してすぐに、偏りなく食べていればマヨラーになるわけがない。
現代人は食い過ぎですよ。我々は世界中の美味いものを、いくらでも、すぐに食べられる。
しかし、自分の体が欲しているものを食べていない。そんな簡単な、基本的な生きる力が不足しているわけであります。愚かもいいところだ。
オイラは自分の食べたいものをちゃんと知っている。
なぜなら山をやるから。
1日あたり700gに制限された食料で7泊8日、南アルプス全山縦走をこなす。
時には3Lの水を含む20kgのザックを背負い、標高差1700mの急登を一気に登り3000mの頂を越えなければならない。
この過酷な状況では、4日を過ぎるとプチ飢餓状態となる。
で気づくわけです。自分が好きなものと、自分の体が欲しているものは違うのだ、と。
冷たい雨に濡れながら、朝からなにも食べずに、3047mの岩峰、塩見岳のピークを踏んで下山する途中、風のない岩影でマヨネーズをつけてなにか食べている若者がいた。
すげぇ、うまそう!
私はそのマヨネーズがあんまり美味しそうでたまらなくなった。この悪天だ、幸い周囲には誰もいない。
そこで「ちわーす」と挨拶した途端、右手に持ったレキのストックを若者の側頭部に思い切り叩きつけ、赤い格子縞のキューピーのパックを奪い取った――。
と、ホントにそうしたくなるほど飢えてたッス。マヨネーズに含まれる酸味と脂肪分に。マヨネーズは、どちらかといえば好きではないにも関わらず。
マヨラーってのは潜在的飢餓状態の病なんですよ。
さて、余談が長くなったが萌えに戻ろう。
コミケ会場に溢れていたあの過剰に可愛い絵。
確かに可愛いですよ、ええ。いやマジで。
あの会場にいた少年諸君の切実な気持ちは痛いほどよく分かる。
だけどね、キミ(ヲタの諸君)の好きなものと、キミの体が欲しているものは違うんですよ。
だから、いくら10万円分、同人誌を買い込もうが魂の酸欠状態(©山田風太郎)は決して癒されない。
ヲタク諸君およびオタクの人々の体に必要なのは本物なのだ。
体が求めている、本物の食べ物であり、体が求めている本物のエンタテインメントである。
ほんの20年前まで、本物はゴミに埋もれることなく我々の視界の届くところにあった。そして良き先輩が、その存在を教えてくれた。
だったら、そういうオレ自身が良き先輩として若者を導けばよいのではないか?
んーと、でも、まったく興味ねえので...。(w
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