河童橋をすぎて、遊歩道に沿っていくと、前穂の登り口が出てくる。河童橋から、一時間ほどで風穴に着く。ここは、冷気が出てくるところで、休むにはちょうど良い。休んで、水を飲んで、出ようとしてリュックを担いだら、水がざーっと出てきた。あれ、おかしいなと思って、リュックを開け、ポリタンを見たら、蓋が完全に閉まっていなくて、半分以上なくなっていた。中身のものを取り出してみたら、リュックのそこに水がかなり溜まっていて、このリュック、結構防水が利いているなと思ったくらいである。あれこれしているうちに、再び出発するのに10分ほど時間がたってしまった。岳沢ヒュッテまでの道は、整備されていてとても歩きやすい。今回の登山で感じたのは、道が本当に整備されている。これには、驚く。
小屋には、14時22分に着いた。宿泊の手続きをして、天気が良かったので、濡れたものを干したりした。小屋の前のテラスで休んでいると、前穂から下ってきた登山者が下りてきては、もう大変な下りだという。
明日は、私、そこ登るのですけど。その中で印象に残っているのは、関西から来た親子3人づれである。父親、息子、娘の3人づれで、小屋に着いたとたん、もう、かんにんや、あーしんど、あと、おりるのにどれだけかかるねん、あー、おにいちゃま、サンダルとってんか、と娘は言うのである。(ほんまかいな?)感心したことに、兄は、優しい性格なのか、妹にサンダルを渡した。この兄妹、ほんと顔が似ている。父親の方と言えば、ここで大休止や、と言っている。今日は、天気が良く日焼けにはなるし、とにかく、下るのが大変であったというのであるが、ホントに大変だというのがこの親子からわかったのである。この親子、30分ほど休憩して、下っていった。しばらくして、今度は、韓国人のグループが下りてきた。中年のグループである。小屋の掲示にもハングルで立入禁止と書いてある。(どうしてわかるかというと、上に日本語で立入禁止とある。)韓国人の日本アルプスツアーが人気があるのだろう。ただ、東洋人だからなのか、それとも中年だからなのか、結構、うるさいのである。主におばさんなのだが、これが大声で良くしゃべるしゃべる。日本のおばさんグループと変わりはしない。ここに、静けさを求めて、山に一人で入っている人もいるのですけど。
うるさいうち、日は暮れ、夜となり、いつしか、静寂につつまれるのであった。
穂高山荘に下る最後の梯子のあたりで、ゴミを燃やすにおいがする。なーんだなあ、これじゃ、だいなしだね。小屋に12時18分に着く。ラーメンを作って食べて、珈琲を入れているときに、雨が降ってきた。大したことはないと思っていたら、激しく降ってきたので、小屋に避難。昨日、天気予報で、台風が九州の沖を通過して朝鮮半島に向かっており、長野地方は、晴れ時々曇りと言っていたが、この天気は台風の影響であろう。今日は、ここ穂高山荘で宿泊の予定で、明日、北穂を目指すつもりであったが、明日も天気は回復しそうもないので、帰ることにした。雨が小降りになったのを見計らって、涸沢に向かってザイデングラードを下りる。途中、警察学校の訓練若者たちが集団で下りていて、けっこう、じゃまなのである。普通、早い人はぬかさせるのであるが、全然、気にしていない。それに、ここで具体的には書けないけれど、この人たち、けっこう、ひどくて、聞いていたら、セクハラをへーきでやりかねない。あぶないね。
小屋を13時15分に出て、涸沢小屋に14時30分に着く。最初、上高地まで下りようと思ったのだけれど、とても下りられないので、涸沢小屋に宿泊。小さな山小屋で、雰囲気は静か。夕食の時、おねーさんが登場して、食事の際の注意と明日の天気を言う。台風も朝鮮半島に向かい、明日は、晴れ時々曇りです。天気は良くなるでしょう、と言った。じゃーん、次の日に続く。