ジリジリジリジリ!!!



う〜〜ん、うるさいわねぇ。 わかったわよ・・・ 今起きるってば。



  パチ



ああ静かになった。 さて、もう一眠り・・・・

って、駄目なのよ! さあ、頑張って起きるわよ!



今日からちょっと、違うのよね。

だって、やっと新しい制服が来たんだもん。

制服でもやっぱり、新しい服を着るのって楽しみなのよね。

あ、その前に・・っと。 シャワーでも軽く浴びてこようかな。

やっぱね、ちょっと気合いを入れていかないとね。




ふんふんふふ〜〜ん

なんか、嬉しいわね。

やっと、この制服が着れるのね。

第一中学に転向してきてもう10日もたつんだもんね。 まったく、待ちくたびれたわよ。

う〜〜ん、新しい服の匂いがする。

いいね、こういうのって。







さてと、そろそろ行きましょうかね。

多分、いい時間だろうし。




じゃ、行ってきまぁす。

って言っても、誰もいないけどね。

























そろそろあの交差点ね。

あの時はびっくりしたなぁ。

いきなりゴッツンコだもんね。

スカートの中まで見られちゃうし・・・

でも、相手がシンちゃんだったからいいかな?



やだ、私ったら・・・ でも・・・













あ、あのにぎやかな声は・・・・





   『ほら、ばかシンジ! 早くしなさいよ』

   『待ってよ、アスカぁ。靴の紐くらい、ゆっくり結ばせてよ』

   『あんたのこと待ってたら、ほんとに日が暮れちゃうわよ。 ほら、貸しなさいよ』

   『え、いいよ。自分でやるよ!』

   『いいから! ほら!!  ・・・はい、終わったわよ』

   『ありがとう・・ アスカ』

   『そんなのいいから、急ぐわよ』

   『うん』





間違いないわ。シンちゃんとアスカね。

相変わらず仲のおよろしい事で。





   おっはっよ〜〜 シンちゃんにアスカ!!

   相変わらず、仲睦まじいわねぇ



   『『な、何を言ってるんだよ(のよ)』』



   ほら、息もピッタリ。

   まったく、朝から目の毒よねぇ。 ふふふ。



   『『うっ』』



   それより早く行きましょ。 遅刻するわよ。



   『そ、そうね。 ほら、ばかシンジ、急ぐわよ』

   『何だよ、自分だって・・・』

   『なんか言ったっ!』

   『な、何でもない』

   『それなら早く行くわよ!』

   『わかったよ、アスカ。 ほら、綾波も早く行こう』



   うん、そうね。

   じゃ。



   『あ、綾波・・・ その手・・・』

   『ちょっとレイ! なに手なんか握ってるのよ!』



   だって、急ぐんでしょ? だったらはぐれないように手を繋いでおかなくちゃ。



   『あ、あんたねぇ・・・』



   だってシンちゃんったら、せっかく私が新しい制服着てるのに、何にも言ってくれないんだもん。

   だからこれは、お・仕・置・き。



   『ご、ごめん・・・ 僕、そういうの、気が利かなくって・・・』



   ふふふ、解ってるわよ。 でも一言くらい、何か言ってほしかったな。



   『あ、綾波・・』



   なぁに?



   『その・・・ 良く似合ってるよ・・ その制服』



   ・・ありがとう!! 嬉しい、とっても!!











   『・・・お熱いところを大変申し訳ないんですけど、ほんとに遅刻するわよ』



   あ、ほんと! 急ごう! シンちゃん、アスカ!!









私はそう言って、駆け出した。

当然、シンちゃんの手は握ったままね。

細そうに見えるけど、やっぱり男の子なのね。 私とは全然、手の感じが違うもん。

大きく、暖かくて、気持ちいい・・・











・・・なんだ、しっかりアスカもシンちゃんの手、握ってるじゃない。

まったく、素直じゃないのよね〜〜





でもシンちゃん、ちょっと走りづらそうかな?

ごめんね、シンちゃん。

ちょっとだけ、許してね。









































































冷たい、コンクリートの打ちっぱなしの部屋で、真紅の瞳の少女は目覚めた。




















    なに・・・ いまの・・・・



    いまの不思議な感じは・・・ なに?



    私、寝ていたはずなのに・・・ なぜ、こんなことを覚えているの?



    いまのは、なに?





    なんなの?





    ・・・・









    もしかして・・・・





    いまのが・・・  夢・・・  なの・・・  ?





    これが・・・ 夢・・・・ なの?

















    ・・・・





    私も、夢を見ることができたのね・・・





    あの人と同じように・・・





    碇くんと同じように・・・









    ・・・・













    なに・・・ これ・・・





    目から、溢れてくる・・・





    これは、なに?





    とても熱い・・・





    これは・・・・
















    これが・・・ 涙・・・ なの?









    涙・・・

















    私も、涙を流せるのね・・・





    ・・・・









    嬉しいの・・? 私・・・





    嬉しいの・・・・?





















    ・・・・





    ・・・・





    ・・・・





    なんだろう、いい匂いがする・・・・





    ・・・

















    ああ・・・ この匂いなのね・・・・





    碇くんがくれた、桃色のお花の匂い・・・





    確か、スミレって言ってた・・・





    ・・・・ いい匂い・・・





    心が、軽くなる・・ 暖かくなる・・・





    ・・・・

















    そう・・・ このおかげね・・・ きっと。





    夢を見ることができたのは・・・





    碇くんのおかげね・・・・





    碇くん・・・・





    ・・・・

















    ありがとう・・・ 碇くん・・・





    ありがとう・・・





    ・・・・





    ・・

































    そろそろ学校に行こう。





    ・・・・ 碇くんのいる、学校へ。





    碇くんと逢える、学校へ・・・





    ・・・・





























         行ってきます。





























少女はそう、桃色のスミレに声をかけて、部屋を後にした。























スミレの向こうに、少年の笑顔を見ながら―――――

























































    ―――綾波レイ 14歳

       マルドゥック機関のの報告書によって選ばれた最初の適格者

       ファーストチルドレン

       エヴァンゲリオン試作零号機専属操縦者

       過去の経歴は白紙

       すべて抹消済み―――















































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