十七. ホントに



 東の空が、ほのかに明るくなってきた。

 「あのさ」
 「なによ」

 努めて無愛想に、彼女は答える。

 「綾波のメールって、ホントに偽物だったのかな」
 「はぁ?」

 思わず彼女は、彼を振り返る。

 「本当は、ホントに綾波からのメールだったんじゃないかな、って思ってさ」

 微笑を浮かべる彼に、彼女は呆れ顔で。


 「……アンタばかぁ?」


 彼女のその言葉に、彼は苦笑いを浮かべて。
 そうして、夜空に浮かぶ月を見上げる。

 「満月、か」

 レイの微笑が、月に見えたような気がした。



 彼は呟く。

 「でも僕は、もう一度会いたいと思った。その時の気持ちは本当だと、思うから」

 二人の想いは、いずこへ。




十八. エピローグ




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