私のマツダ車ランキング

 

第4位 EUNOS Roadster

 「マツダMX−5」としてアメリカで先行発売されたユーノス・ロードスターは1989年7月に国内デビューを果たしました。おりしも国産スポーティーカーの馬力競争の華やかりしころ、一見シンプルなこの小さな正統派ライトウェイトスポーツカーが与えたインパクトは大きいものがありました。「人馬一体」という開発コンセプトに代表される、ハンドリングと動力性能との絶妙なバランスの良さが、キュートなスタイリングと相俟って、世界各地で絶賛を受けたのは記憶に新しいところです。

 私もこのロードスターで本当に「目からウロコが落ちる」という経験をしました。
 学生時代にエチュードに乗ってサーキットを走り始めていた頃、友人が「Jリミテッド」という限定仕様の黄色いロードスターに乗っていました。ある夜、その友人の誘いで山道に出かけ、私はそこで初めてこのロードスターのステアリングを握ることになりました。「同じB6エンジンを積むクルマだし、そんなに変わらないだろう」、そんな私のはかない予想は、低いコクピットに身を沈め、2ndギアにシフトアップするまでのほんの十数メートルで完全に覆されることになりました。
 「
お、おもしろいよ、これっ!」「このハンドリング、スゴイねっ!」 助手席でニンマリとしている友人の反応を無意識にうかがいながら、私はひたすら一方的に話しかけていました。クイックでストロークの短いシフト、反応のよいステアリング、心地良いサウンド、すべてが快感でした。まさに意のままに操れて、公差点ひとつ曲がるのも本当に楽しい。退屈や妥協とはまったく無縁の底知れぬ面白さ。
 帰りに乗り込んだ自慢のエチュードが、まるで普通のセダンのようにカッタるく感じてしまったのは言うまでもありません。

 このクルマが全世界で大ヒットし、たった一代で40万台を超えるという、オープンカーとしては記録的な生産台数に達したのも、見て楽しい、乗って楽しい、とまさに一粒で2度おいしいクルマであったからだと思います。ハイテク車ばかりのこのご時世に、「クルマの楽しさ」を一から教えてくれる不朽の名作だといえます。
 より安全になり、より快適になった新・ロードスターもいいですが、やはり私は愛くるしい顔をした初代の1600モデルが大好きです。(カラーは絶対に
マリナーブルー!

 いつもこのクルマを横目で見ながら、私が購入までに至らない理由はただひとつ。この楽しいクルマにハマってしまうと、きっと次に買うクルマに困ってしまうからです。


<主要諸元> '89 ロードスター(標準車)

寸法:3970×1675×1235mm ホイールベース:2265mm
車両重量:940kg (5MT)
エンジン:B6-ZE 直列4気筒DOHC 1597cc
 (最高出力)120ps/6500rpm (最大トルク)14.0kgm/5500rpm
懸架装置:ダブルウィッシュボーン(前/後)
ブレーキ:Vディスク(前)/ディスク(後)
タイヤ:185/60R14 82H (5.5JJ-14)