32.WW2、今年もS耐岡山戦を強力サポート!(現地編・2) 






 金曜日は久々に深夜までの作業を強いられたチームテスタスポーツ。
 0時過ぎに宿へ帰り着くなり、冷えたコンビニ弁当でとりあえず食事を済ませましたが、ユニットバスのシャワーで汗を流して床に就く頃には、とうに時刻は午前1時を回っていました。
 しかし、翌朝7時前には再びサーキットへ舞い戻り、土曜日早朝からの公式車検に備えます。


 ◆絶好のPIT位置◆

 今年チームテスタスポーツに割り当てられたPITは「4−A」。S耐参戦チームのPITでは最も最終コーナー寄りで、いうなれば「最後尾」の位置にあたります。

 岡山国際サーキットでこの位置となった場合のメリットは、なんといっても
公式車検場ガソリンスタンドが近いことです。車検場への行き来はせいぜい1〜2回しかありませんが、台車に20L缶を積んでガソリンスタンドまで往復する機会は結構あるので、その際の移動距離は短いに越したことはありません。
 一方のデメリットといえば大会事務局やブリーフィング会場が遠くなることですが、こちらは参加メンバーが限定されるので、マシンのメンテナンス作業を中心に考えるとまずまずの好位置といえます。

 それにも増して良かった点は、すぐ左隣りの3番PITがサポートレースのインテグラのワンメイク用の共同PITで、S耐の決勝レース時には使用されないということでした。
 これはPIT間隔が狭い岡山国際サーキットではとても有利なポイントです。

 下流側に他チームのPITが隣接していないのはPIT作業上大変有利であるばかりでなく、PITインしてきたドライバーにとっても、自PIT位置を間違えることはまずなくなります。
 例えば私達の右隣りのファーストレーシングチームの場合、PITの左右を他チームに挟まれた位置となるため、隣りのPITのマシンの何れかが停車中だと、自陣前の正規位置に停車することが難しくなります。
 実際に金曜のフリー走行中のシーンでも、マシンの後ろ半分を私達のPIT前へはみ出して停車せざるを得ず、不自由な作業を強いられていました。

PIT手前から余裕のアプローチ 隣りの#16は自陣前で作業


 そんな隣りとの取り合いの心配をしないで済むだけでも、決勝レース中の不安要素は確実に減ってくるので、本当に有難い今回のパドック配置でした。
 たしか数年前のF1では全盛期のフェラーリチームが好んでこのPIT位置を占有していたような気がするのですが、有力コンストラクターならまだしも、スポット参戦の私達がこんなメリットを享受して良かったのでしょうか(笑)・・・ここは7年連続エントリーへのご褒美だということにしておきましょう。


 


●9月1日(土)
    公式車検

 8時50分から10時50分の2時間が、土曜のS耐公式車検の時間です。

 今回のように車検場が近いとかえって動き出すタイミングを図り辛いものですが、8時少し過ぎに早くも私達のPIT前を通り過ぎて車検場に向かうマシンが現れたため、78号車もすかさずその動きに追従。
 この結果、車検開始の40分も前のことではありますが、78号車はST2クラスのマシン4台に次ぐ総合5番手の位置をGet(笑)。

 さすがにこの時間帯ではすぐさま私達の後方に続くマシンはなく、だだっ広い待機場はほぼ78号車の占有状態。マシンに付き添ったメンバーはここぞとばかり、デジカメや携帯カメラを手にして思い思いのアングルでパチリパチリ。期せずして新カラーリングのマシンの記念撮影大会が始まりました。

 もちろん、S耐の車検場でこんな光景を展開するのは後にも先にも私達くらいのもの。
 レギュラー参戦チームにとって、土曜朝の公式車検など毎度のことで、特別な意味合いなどどこにもないでしょうが、スポット参戦組の私達にとっては大会プログラムのひとつひとつが1年ぶりのイベントとなるわけですから、無理もありませんよね(笑)。



車検場裏の待機スペースで記念撮影



 やがて8時半頃になると次々に車検場にマシンが押し寄せ、待機場やそこに続くパドックの通路もS耐マシン達で次第に埋め尽くされていきます。
 そんな中、公式車検は予定通り8時50分から開始されました。

 ほどなく私達の78号車の番が回ってきて、現地メンバー全員でマシンを押しながら検査エリアへ進入。
 下回りの点検、灯火類の作動確認、車内の装備確認、そして重量測定と、車検場の中を少しずつ移動しながら順調に検査が進んでいきます。

 公式車検の立会いはいつも緊張するものですが、とくに私達は2年前の「斜行ロールバー不備事件」のあの衝撃を未だに忘れられずにいるので、場内の検査員や技術員の表情や言動には人一倍敏感になってしまいます。
 もっとも今回は、2本の斜行バーを中央でクロスさせた新たなレギュレーション対応をきちんと施行しているので、事件が再発する不安はないのですが。


マシンの下回りの点検

灯火類の作動確認

 前日の金曜、重量計測サービスが終了する17時半直前に車検場に駆け込み、事前計測をしておいた甲斐あって、ウェイトを積んで調整した車両重量は規定ギリギリの絶妙な数値でした。


 結局、特に大きな指摘事項もなく78号車は公式車検を無事にパス、僅か10分足らずで検査完了となりました。
 例年のドタバタ劇に比べるとやや呆気ない感じも残りましたが、まずは無罪放免(?)ということで一安心。これでチームは、午後の公式予選に向けて意識を集中することができます。

 その後78号車には通算10枚目の車検合格ステッカーが配布され、右フェンダー上の"定位置"に貼り付けられることになりました。
 2001年のデビューレース以来の車検合格ステッカーが一堂に会している様は、まさに78号車とチームの歴史をそのまま物語っているようで、ある意味壮観ですね。





●9月1日(土)
     13:15〜13:30(A)
     14:00〜14:15(B)
 公式予選


 今年のS耐の予選システムには大きな変更があります。
 ドライバー予選30分とグリッド予選30分とに分かれていた昨年までの方式を廃止し、Aドライバー予選15分、Bドライバー予選15分とに分け、かつ、双方のベストタイムを合算したタイムでグリッド順位を決定するという新方式が採用されました。

 アタッカードライバーの一発の速さでのみグリッドが決まっていた従来と比べると、両ドライバーの総合的な速さが反映される、より実態に即した順位付けといって良いでしょう。
 依然として「Cドライバー」という隠し技は残されてはいるものの、A/B両ドライバーのベストタイムの合算であれば決勝レース中の各車のタイムペースがかなり読み易くなるので、今回の公式予選結果は大変注目に値しそうです。



新宅選手がスタンバイ中(Aドライバー予選)


 まずは13時15分、新宅選手がマーキングタイヤを履いてコースイン。
 前日に深夜まで及んだデフとタービンの交換作業の結末も知れないまま、15分間のAドライバー予選に臨みます。

 本来であれば、僅か15分間でいかにアタックラップを決めるかに神経を集中したいところですが、病み上がりのマシン、しかもサスセッティングを前日から一変した状況とあってはそうもいきません。
 新宅選手は1周目に1分45秒507、そして2周目に
1分44秒837と、前日までと遜色ないタイムを刻んだところで早々と走行を切り上げPITイン。伊藤選手やチームメンバーとの情報交換に多くの時間を割きます。
 幸い、部品の交換作業に起因する不具合はなかったようですが、足廻りのセッティング変更の成果についてはどうやら疑問符が付いているようです。


 続いて14時00分に伊藤選手がBドライバーの公式予選に。
 伊藤選手は最初のアタックで、あっさりと昨年の78号車の予選タイム(過去最速タイム)を上回る
1分41秒701をマークします。
 42秒フラットをマークした昨年も「41秒台の実力はあった」と語った伊藤選手。
 新しく履いたADVANタイヤでさらなるタイムアップが期待されましたが、その後は42秒台や43秒台のラップが続き、タイム更新はなりません。当初はST3クラスの2〜3位に飛び込んでいた78号車も、ライバル勢にコンマ数秒ずつ先を越されながら、ポジションダウンの一途を辿ります。
 最終的にはクラス11位でこのセッションを終えることになりました。

 PITに戻った伊藤選手は、足廻りのセットアップ変更が裏目に出たのが残念だった様子で、納得のいかないタイムに悔しがることしきりでした。


 結局、78号車はA/Bドライバーのベストタイムの合算の結果、ST3クラス
14位、総合では27位というグリッド位置が確定しました。


 

スーパー耐久 公式予選 リザルト
【ST‐3クラスのみ抜粋;順位は総合順位】
◆9月1日(土) 天候:曇り◆
12.#14 協新マイロード岡部自動車RX-7 3'21.068 ― 
13.# 7 アメニティホーム・エクセディ RX-7 3'21.162 +0.094
15.#333 H.I.S. ◆ings◆Z 3'21.659 +0.591
16.#113 カルラレーシング☆ings北海Z 3'21.950 +0.882
17.#74 アラビアンオアシス Z 3'22.381 +1.313
18.#39 BENELOP ADVAN NSX 3'22.421 +1.353
19.#41 SABOTAGE Z 3'22.820 +1.752
20.#15 岡部自動車 eeiA ディクセルZ 3'22.835 +1.767
21.#27 FINA GSX ADVAN M3 3'22.966 +1.898
22.#19 バーディクラブ☆TC神戸 Z33 3'23.628 +2.560
23.#70 マジック スポーツ RX-7 3'25.110 +4.042
25.#16 バウフェリス, 7 3'26.157 +5.089
26.#43 Shinto ARP M3 3'26.328 +5.260
27.#78 WW2 RX-7 3'26.538 +5.470
28.#100 SANWA TK ARP M3 3'26.579 +5.511
29.#55 BOLD MOTOR SPORTS 3'27.582 +6.514

 


 合計でも30分しかない限られた時間の中で、万全の態勢でのタイムアタックに臨めなかったこと、そして足廻りのセットアップが停滞してしまったことから、今年の78号車の公式予選はやや消化不良気味な結果に終わってしまいました。
 総合27位というグリッド自体は昨年ともほぼ同じ位置で、決して悲観すべきものではありませんが、私達は金曜に垣間見せた今年の78号車のポテンシャルの一端に大きな期待を寄せていただけに、予選の結果へそれを反映できなかったことは、やはり惜しいの一言に尽きます。

 しかし、チームは予選グリッドの向上のために大掛かりなタイヤ変更を決断したわけではありません。決勝のロングディスタンスを通じてのパフォーマンス向上こそが本来の狙いですから、日曜日にその成果が出ることを楽しみにすることにします。



 ◆準備は着々と◆


 約1時間のスーパー耐久ブリーフィングから開放され、17時過ぎにチームオーナーと共にPITへ戻ると、予選走行終了後のマシンメンテナンスが佳境に入っていました。
 ホワイトボードに書かれた整備メニューに沿って淡々と作業が進められていきますが、日曜は朝イチで30分間のフリー走行が設けられているため、そのセッションへ向けたエンジニアリング面の課題も整理されていきます。

 やがて18時半を回って、かろうじて外の明るさが残っているうちにと、チームはPITレーンに78号車を並べ、決勝のPIT作業を想定したリハーサルを決行。

 まずマシンの停車位置を決めテーピングを施したところで、給油側ホースと抜き側のホース、インパクトレンチ用やジャッキアップ用のエアホースなどの配置や取り回しを確認していきます。
 その中で
T−eMさんから、エアホース用のPITタワーに給油時の抜き側ホースを固定するという新提案が。マシンのリアウィングにホースを接触させないためにはとても有効な手段となりそうです。
 念のため、決勝レース前にPIT担当オフィシャルに確認した上で採用することにしました(^^)。


給油&タイヤ交換の位置確認 PIT作業用のホース位置調整


 そして道具の配置にあらかた目処がついたところで、今度は一連のPIT作業の段取り確認。

 ドライバー交代に給油とタイヤ交換、そして氷交換まで行なうフルメニューPITの際、必要となる人員は補助員を含めると最低でものべ12名。チームテスタスポーツの全メンバーを投入しても頭数が足りないため、一部を掛け持ちにしながら「同時作業4名まで」というルール内に収めていきます。
 それだけに全員の息の合った作業と、正しいルールの理解が肝要となってきます。このため、メンバー全員が集まり、顔と顔を突き合わてひとつひとつの作業を説明・確認していきます。ときおり私からレギュレーション上の注意事項も確認・レクチャーしながら、入念な打ち合わせを繰り返しました。

 机上のシミュレーションはこれくらいにして、やはり大切なのは実践です。
 実際のマシンの進入→停止から、最後のジャッキダウン→スタート合図まで、何回か全体を通してみて、必要に応じて段取りの改善を進めていきました。
 私達の78号車は構造上、給油口が左右のBピラー部に設けられているため、ドライバーの出入りやトランスポンダーの付け替え、さらにはリアの交換用タイヤの置き位置など、給油中に影響を受ける作業がいくつかあります。ここでは、安全を最優先にして、いかに確実かつ効率的な作業にするかが重要なポイントです。

 所要時間的にはやはりタイヤ交換作業がその多くを占めますが、下手に慌ててナットを装填し損ねないよう、まずは落ち着いて着実な作業を心掛けたいところです。


個人的に、P1レーシングとのカラーマッチングは好きです(^^ゞ
暗くなるまで特訓のシーン!?



 こうして決勝前夜の予定タスクを一通りこなし、チームテスタスポーツはサーキットを後にします。

 今夜の移動では、期せずしてWW2オフィシャルカーに男性8名フル乗車という初めての状況が成立。
 もちろん、メンバーの手荷物や大型のクーラーBOXまで隙間なく詰め込むという過酷な積載条件で、このレースサポートのために購入したといっても過言ではない我が家のフレンディが、まさに本領を発揮する機会が訪れました(^^)v。

 そんなわけで、土曜夜のチームの宿舎入りは21時前という早さ。
 日付も変わっていた昨夜のシーンとは打って変わって、今夜はゆっくりと温泉にも浸ることができたし、オーナー家による温かい手作り料理を頂戴できたしで、チームメンバー全員で和気藹々と寛ぎのひとときを過ごすことができました。

 これで日曜日の決勝に向け、心身ともに万全の態勢で臨むことができそうです。


 

→ S耐岡山戦の決勝レースレポートは、          
    
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