31WW2、今年もS耐岡山戦を強力サポート!(現地編・1) 






 今年もやってきたスーパー耐久シリーズの岡山ラウンド。
 チームテスタスポーツからこの岡山戦にスポット参戦する「#78 WW2 RX−7」をサポートするため、
克ちゃんT−eMさんNukupeeの3名のメンバーが、WW2サポート隊として3日間現地で活動を行なっていきます。

 今回の2007年のS耐参戦にあたっては、チームが長年使用してきたダンロップタイヤからヨコハマタイヤへの変更を決定したことから、マシンカラーリングの全面見直しという大仕事が発生。8月最終週のレースウィークを睨み、新デザインの検討を開始したのが6月と、いつになく早いタイミングから準備活動がスタートしました。
 約4ヶ月間という長いスパンでこのデザイン活動をリードしてくれたのは、デザイン提案から材料手配、施行までを一手に引き受けた
muneさんご夫婦。加えて、本番間近となった8月の猛暑の中、カッティングシートの剥離・貼付作業に駆けつけてくれたのがjanさんおくさん克ちゃん、そして323GTさん

 鮮やかなグリーンを基調にオーバルを織り込んだ78号車の真新しいカラーリングは、まさに多くのWW2メンバーの努力の結晶。
 その誇らしい作品が、いよいよサーキットで本領を発揮する機会がやってきました。



 さて、今回のWW2サポート隊の秘密兵器は我が家のV6フレンディ
 今春の購入検討時からWW2オフィシャルカーとしての任務を前提としたクルマ選びだったのですが、納車から約半年を経て、やっとレースサポートという晴れ舞台が巡ってきました。

 過去4年間オフィシャルカーを務めたアテンザワゴンも意外に積載能力があって貢献してくれたのですが、人員&物資の大量輸送を考えた場合、8人という乗車定員と、背高ボディが生み出す絶対空間の広さは決定的なアドバンテージになるはずです。
 それに、6年落ち中古という気兼ねのなさも「道具」としての重要なポイントに違いありません。

新WW2オフィシャルカーの登場


 8/31(金)早朝の往路は他のチームメンバーの乗り合いはなく、私達3名のみの移動となりました。

 朝3時半起きの私が、6時頃から広島市周辺で
T−eMさん克ちゃんを次々にピックアップし、所々に雨跡の残る山陽自動車道を岡山の和気ICへ向けて走行します。
 レースウィークに月末が重なったこともあって、各自仕事のスケジュール調整も容易ではなかったはずですが、私達はそれも決して苦には感じませんでした。
 なぜならそこには、レース好きを惹き付けるサーキット特有の音や臭いだけでなく、気心の知れたチームメンバーと一喜一憂を共にして分かち合える大きな達成感や一体感など、はかり知れない刺激が待ち受けているのですから。

 ひとまずは快適な高速クルージングで鋭気を養いつつ、私達3名は退屈な日常の世界から徐々に抜け出していきました。



 ◆チームとの合流◆

 私達の岡山国際サーキットへの到着は9時過ぎで、予定より30分ほど遅れたので(汗)、すでに1回目のフリー走行の開始時間が目前に迫っていました。
 チームテスタスポーツが陣取る4−AのPITでは、前日から現地入りしていたチームメンバーの手によって、朝イチの練習走行セッションに向けた車両整備が完了、まさにコースイン直前という状況でした。

 私達はチームメンバーへの挨拶を済ませると、各々気付いたところから順次、作業のサポートに加わっていきます。


フリー走行中のワンシーン




 ところで、幾多あるPIT内作業の中でも、いつしか私達WW2の仕事としてチームに認知されているものもいくつかあります。

 PIT前の表玄関に掲げる看板の設置もそのひとつ。

 今年は一連のカラーリング変更に合わせて、muneさんの手でPIT看板のデザインもリニューアルされました。マシンのカラーリングと統一感のある鮮やかなグリーンのボードが、T−eMさんの手に寄ってしっかりと設置されます。
 このPIT看板は元来WW2自信作のひとつで、他のレギュラー参戦チームと比べても全く遜色のない仕上がりが自慢です。
 あとで聞いた話では、TEINの担当者さんが来た際、TEINロゴとキャラクターを盛り込んだ今回の看板デザインにいたく感動されていたとのこと。
 S耐のパドックにTEINユーザーは多くあれど、こうした感情的な結び付きが生まれるのは嬉しいものですね。
二人、頑張ってます(^<^)
走行セッションの合間に高所作業

 そしてマシンのステッカー貼りもまた然り。

 今回の場合、大半のステッカー貼りはカラーリング変更の際に完了済みだったのですが、現地支給の大会指定ゼッケンの貼付けは残されていました。
 左ドアは作業タイミングにも恵まれ、3人掛かりで完璧な貼付け作業ができたのですが、右ドアは常にコクピット内のメンテ作業が絶えなかったため難航。悪いことに作業者も私一人となってしまい、開け閉めされるドアを片手で支えながらの困難な作業に。
 光の加減でステッカー表面の凹凸もロクに確認できないまま、私が手探りでエイヤーと強行してみたものの、案の定貼り終えてみればそこには無数の気泡が・・・(涙)。
 その後、貼付け時間の数倍もの時間をかけ気泡の後始末をしてくれた
T−eMさんには、この場を借りてあらためて御礼を申し上げますm(__)m。


こっちはうまくいった側っす(^^ゞ
2007年の指定ゼッケンベースへ




●8月31日(金)
 STEL専有走行


 
金曜日は計3回のフリー走行セッションが設けられましたが、チームテスタスポーツのハイライトはなんといっても朝の第1セッションでしょう。

 ハーフウェットの路面コンディションの中、9時25分から始まったこのセッション。
 78号車には伊藤選手が乗り込み、私達WW2メンバーの到着とほぼ同時にコースインしていたのですが、その後路面状況が好転したことから、セッション後半にドライタイヤへ履き替え、残り20分というところで再度コースインします。


ここでも頑張ってます(^_^)v
スリックタイヤに履き替えてコースイン


 ちょうどその頃、バタバタとPIT内TVモニターのアンテナ接続が完了したので、早速私はタイミングモニターの表示に注目します。
 ところが、いつものようにモニター下半分のスクロール表示中の列に目をやっても78番の数字が見当たりません。「まさかトランスポンダーを付け忘れたわけではないだろうに・・・」と思いつつ画面全体を注意深く見渡してみると、なんと78号車は総合7位、ST3クラスの1位として画面の上半分に固定表示されていました(!)。

 思い起こせば過去にも、計時セッション開始直後の刹那(笑)、78号車が一瞬この位置に表示されたことはあったのですが、セッション途中で各マシンが周回を重ねている中、そこに居座り続けるのを見るのは初めてのことでした。
 今回は余程スリックへの交換タイミングが良かったのか、伊藤選手がマークした
1分44秒407のタイムで、その後も10分近く、私達のマシンは総合7〜8位、クラス1〜2位の順位をキープ、モニター上半分の特等席に留まり続けたのでした。

 すでにセッションは終盤のため、タイヤ交換を見送って引き上げるマシンも見られましたが、タイヤ交換を行なったマシンは軒並み大幅なタイムアップに転じ、ST1/ST2クラスの台頭によってST3クラスのマシンの大半が総合11位以下のスクロール表示組へ移動。
 当然ながら78号車も夢のような好位置から陥落していったのですが、それでも最終的にはST3クラス16台中
6位、総合でも出走37台中16位という好ポジションでこのセッションを終了することになりました。


 実際には、コースの一部がウェットというリスキーな状況下で目を吊り上げて走るマシンなどなく、まさにウォーミングアップ的なセッションであったわけですが、それでもタイミングモニターの上方に表示されるとなれば、チーム関係者にとって気分が悪かろうはずはありません。

 私達は年1回だけのエントリーで、S耐界での認知度も極めて薄いはず・・・。それでもしぶとく毎年参戦を続けている78号車の存在を思い出してもらうために、このちょっとしたサプライズは、挨拶代わりのパフォーマンスとして十分だったのではないかと思います。


スーパー耐久 専有走行(第1回) リザルト
【ST‐3クラスのみ抜粋;順位は総合順位】
◆8月31日(金) 天候:曇り◆
 8.#333 H.I.S. ◆ings◆Z 1'42.525 ― 
10.#113 カルラレーシング☆ings北海Z 1'43.059 +0.534
11.#27 FINA GSX ADVAN M3 1'43.490 +0.965
13.#41 SABOTAGE Z 1'43.966 +1.441
14.#70 マジック スポーツ RX-7 1'44.274 +1.749
16.#78 WW2 RX-7 1'44.407 +1.882
17.#16 バウフェリス. 7 1'44.472 +1.947
19.#74 アラビアンオアシス Z 1'44.873 +2.348
22.#39 BENELOP ADVAN NSX 1'45.536 +3.011
23.# 7 アメニティホーム・エクセディ RX-7 1'45.794 +3.269
25.#15 岡部自動車 eeiA ディクセルZ 1'46.241 +3.716
27.#43 Shinto ARP M3 1'46.716 +4.191
28.#19 バーディクラブ☆TC神戸 Z33 1'47.331 +4.806
33.#100 SANWA TK ARP M3 1'51.856 +9.331
35.#14 協新マイロード岡部自動車RX7 1'53.879 +11.354
36.#55 BOLD MOTOR SPORTS 1'54.636 +12.111

 


 のっけから嬉しい話題をチームに提供してくれたタイミングモニター。
 しかし、レース中これとずっと向き合うことになる私は厄介な問題に直面していました。
 
 実は今回、モニターの情報表示形式がマイナーチェンジされていて、従来であれば単に「A」「B」「C」だけだったドライバーの表示に、なんとフルネームの漢字表示が併記されていたのです。
 もちろんこれは本来は表示の進化と評価されるべきもの。例えば瞬時にドライバーの名前を叫びたい実況アナウンサーや、リラックスしてモニターを眺めるゲストさんにとっては大変気の利いた配慮といえます。
 しかし、かなりの幅を占める漢字表示列が左側に挿入された結果、一行内の文字密度が増し、左端の「順位&車番」表示と、右端の「LAPタイム&ディファレンス」表示との体感的な距離が離れてしまうことになり、このため、絶えずスクロールされゆく中位以降のマシンの情報を瞬時に確認することが極端に難しくなったのです。
 経験者なら判ると思いますが、特定の列の情報を完全に読み切る前に一段スクロールアップされてしまうと、目で追うのにエラく神経を消耗してしまいますが、今回は一段とその頻度が増した感じです。
 とくにST3クラスは16台が大挙エントリーしていて、かつ、各車が比較的近い順位で連なって表示されると予想されるので、決勝レース中の作業の煩雑さを考えると、大変に頭の痛い話でした。

 来年あたりは静止画面機能付きのデジタルモニターが本気で要るかもしれません。


スーパー耐久 専有走行(第2回) リザルト
【ST‐3クラスのみ抜粋;順位は総合順位】
◆8月31日(金) 天候:晴れ◆
13.#27 FINA GSX ADVAN M3 1'41.282 ― 
15.#74 アラビアンオアシス Z 1'41.646 +0.364
16.# 7 アメニティホーム・エクセディ RX-7 1'42.155 +0.873
17.#14 協新マイロード岡部自動車RX7 1'42.313 +1.031
18.#41 SABOTAGE Z 1'42.368 +1.086
19.#113 カルラレーシング☆ings北海Z 1'42.475 +1.193
20.#19 バーディクラブ☆ TC神戸 Z33 1'43.208 +1.926
21.#333 H.I.S. ◆ings◆Z 1'43.595 +2.313
22.#100 SANWA TK ARP M3 1'43.699 +2.417
23.#15 岡部自動車 eeiA ディクセルZ 1'44.115 +2.833
24.#43 Shinto ARP M3 1'44.189 +2.907
25.#39 BENELOP ADVAN NSX 1'44.260 +2.978
26.#70 マジック スポーツ RX-7 1'44.559 +3.277
27.#16 バウフェリス. 7 1'44.659 +3.377
28.#55 BOLD MOTOR SPORTS 1'45.015 +3.733
29.#78 WW2 RX-7 1'45.497 +4.215

 

スーパー耐久 専有走行(第3回) リザルト
【ST‐3クラスのみ抜粋;順位は総合順位】
◆8月31日(金) 天候:晴れ◆
11.#74 アラビアンオアシス Z 1'41.123 ―  
12.#19 バーディクラブ☆ TC神戸 Z33 1'42.050 +0.927
13.# 7 アメニティホーム・エクセディ RX-7 1'42.052 +0.929
14.#113 カルラレーシング☆ings北海Z 1'42.186 +1.063
15.#333 H.I.S. ◆ings◆Z 1'42.253 +1.130
16.#41 SABOTAGE Z 1'42.374 +1.441
17.#14 協新マイロード岡部自動車RX7 1'42.609 +1.486
18.#15 岡部自動車 eeiA ディクセルZ 1'42.891 +1.768
19.#78 WW2 RX-7 1'43.165 +2.042
20.#39 BENELOP ADVAN NSX 1'43.255 +2.132
21.#43 Shinto ARP M3 1'43.338 +2.215
22.#70 マジック スポーツ RX-7 1'43.825 +2.702
23.#16 バウフェリス. 7 1'44.438 +3.315
27.#55 BOLD MOTOR SPORTS 1'44.857 +3.734
28.#100 SANWA TK ARP M3 1'45.144 +4.021
  .#27 FINA GSX ADVAN M3 ―    ―   




 

 ◆長かった金曜日◆


 最後の3回目のセッションでもクラス9位に喰い込み、キラリと光るパフォーマンスを見せた78号車ですが、その一方で気になるマシントラブルを抱えていました。

 ひとつはデフからの異音発生。
 これは1回目のセッションですでに伊藤選手から報告されていたもので、問題は音だけに止まらず、肝心のデフの効きまで弱まってきているとのこと。
 デフのトラブルはここ最近経験していないので、その原因が部品の経年劣化なのか新しいADVANタイヤによる入力の増加なのかは不明ですが、何れにせよ交換に踏み切らない限りは事態は改善されそうもありません。
 チームは急遽広島から交換部品を取り寄せることを決め、かなり早い段階で手配をかけました。現地でのトラブル発生はできることなら避けたいものですが、起きてしまった時にこうしたスクランブル体制が敷けるのはやはり地元の強み。スポット参戦組のためS耐ソサイエティの中で孤独を感じることの多い私達ですが、他のチームにはない地の利はとことん活用していかなくてはなりません。

 もうひとつのトラブルは過大なエンジンオイル消費。
 聞けば、その兆候は事前のテスト走行時からあったそうで、現状は1時間あたりで0.5L近くオイルが減ってしまう計算とのこと。これではとても500kmの長旅になど挑戦できる状態ではありません。
 こちらの原因究明は難航し、完全解明には至りませんでしたが、マシン下面にオイルの漏れ跡がないことから配管系統は異常なしと判断、とりあえずチームはターボチャージャーを疑ってみることに。
 使用実績のある中古の予備パーツへの換装を決定しました。


 予備車検やチームブリーフィングを挟んで、夕刻近くに中古品のデフがパドックに届けられると、チームは早速交換作業に着手します。

 明日土曜に予定されている走行セッションは公式予選の15分×2回のみで、その前後に一切フリー走行枠は設けられていません。このことは、部品交換後の様子見走行ができないまま、いきなり本番のAドライバー予選に臨むことを意味しますが、それも致し方ありません。確実な脱着作業と入念な確認を積み重ねていくのみです。


次第に暗がりに包まれる4−Aピット



 私達WW2は交換作業の現場を傍らで見守りながら、必要に応じて積極的に手を差し伸べていきますが、そのうち
克ちゃんT−eMさんはリアサスペンション周りの復旧作業を申し出て、左右に分かれて黙々と作業を開始。
 こうなると私も手伝いたい衝動に駆られますが、自信のない素人が親切心で手を出して問題を起こしては元も子もないので、ここは慎ましく自重し、本来の持ち場である情報整理に徹します。

 各チーム・各ドライバーのタイムの把握分析はもとより、公式通知や大会規則の再確認、決勝に向けたPIT内レイアウトのチェックから作業人員の配置検討、さらにはチームメンバーやゲストへの伝達事項の整理など、最前線の作業場から一歩下がってチームを俯瞰すれば、懸念事項はいくらでも出てきます。
 そもそも私は、チームオーナーやドライバーにマシンセッティングやドライビングといった本業に少しでも集中してもらえるよう、それ以外の雑多な調整事項や検討項目を引き取り、最適な環境づくりをすることが自身の役割と理解しています。
 よって、傍目には大して動いてないように見える私も、じつは人知れず頭の中はオーバーヒート寸前だったりするのです(笑)。



 そうこうしているうちにガレージの外はすっかり闇の中。19時が過ぎ、20時が過ぎ・・・隣り合うチームの灯りもひとつまたひとつと消えていきます。

 やがて22時間近となり、楽しみにしていた宿泊先の温泉施設のタイムアウトが確定。と同時に、メンバー12人分の食事確保の問題が急浮上。
 急遽、私と克ちゃんで最寄りのコンビニに買出しに出ることになりましたが、ここまで2時間半の睡眠時間で頑張ってきた私はすでに思考回路が半停止状態。闇夜の中ハイエースバンを駆るキャブオーバー使い・克ちゃんの手馴れたハンドル捌きに身を任せ、私は助手席で半分気を失っていました。
 その後、JR吉永駅近くのローソンに押し入ったつなぎ姿の怪しい2人組の男は、陳列棚に残る弁当を片っ端から買い占める大胆な営業妨害をはたらき、23時過ぎに再びパドックに帰着。
 もし皆が私達の帰りをじっと待っていたら・・・と帰途も気持ちは焦っていたのですが、そんな心配をよそに、依然としてメンバーはまだ作業の真っ只中でした(@_@)。

 最終的にはサーキットの守衛さんに促され、ゲートが施錠される直前の23時45分、チームはパドックを抜け出して宿へと向かいました。

 大芦高原にあるチームの常宿までは約20分のドライブ。日付も変わった頃に、WW2メンバーを乗せたフレンディで駐車場まで行き着いた私には、疲れや眠気を上回る大きな大きな安堵感が去来しました。正直、ここまで気力を振り絞ってマイカーのステアリングを握り締めたのは久しぶりのことでした。

 さて、明日の夜は一旦何時に帰ってこれるのでしょうか・・・。






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