公式セッションがスタートする土曜日、チームテスタスポーツのメンバーは7時前にサーキットへ到着。基本的に木曜日からマシントラブルは発生してないため、午前のドライバー予選でいかにセッティングを前進させるキッカケを掴み、午後のグリッド予選で上位に喰い込むための基盤を固めることが大きな課題となります。と同時に、決勝レースを翌日に控えて、より実戦を想定した生きた走行データを収集することも忘れてはいけません。 |
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S耐の土曜の朝は公式車検とドライバーのメディカルチェックで幕を明けます。チームは7時になるとすぐに車検場へマシンを運び、車両検査を待つ長い車列に加わります。 78号車とチームテスタスポーツにとって、ここ岡山の地での公式車検は、2001年のS耐初出場以来、じつに5年連続で5回目となります。私達にとっても、車検場とメディカルセンターを結ぶ広いスペース、そしてその周囲を取り囲む山々の景観は、すでに見慣れた風景のひとつとなっています。 |
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![]() 下回り検査中の図 |
車検場出口での長い長い待ち時間が過ぎ、新宅選手がやや憔悴した表情で姿を現すと、初めてその恐るべき事態が明らかになりました。今回78号車で問題視された項目とは、
しかし、私達に落胆している暇はありませんでした。チームオーナー不在の時に過去最大級のピンチが訪れたことはそのタイミングを恨むしかありませんが、チームを支え、応援してくれる皆のために、そして、ここに集ったチームメンバー全員のために、翌日の決勝レース出走に向けた微かな光明を探し求めるしかありません。
待ちに待ったレーシングガレージの門が開いたのは8時55分。オーナーさんへの挨拶もそこそこに私達はローダーを敷地内へ乗り入れ、新宅選手が直接グラインダーを手にし、指定径の鉄パイプを切り出して接合部に合わせた形状にカットしていきます。 |
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そして9時30分には鉄パイプの溶接作業が完了。外していたバケットシートをマシン内に放り込んだ時点で、私はPITへ出発の予告連絡を入れ、ローダーより一足先にT−eMさんとサーキットへ舞い戻り、マシンの降車サポートに備えることにしました。 一方、連絡を受けたPITでは佐竹会長が車検場へダッシュ。PITでの出張検査をお願いしている担当者探しに奔走します。 ローダー上の78号車のバケットシート装着作業は、マシン内に乗り込んだ新宅選手に委ねられた模様です。 |
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ガレージからの帰途、パドックパスの細かい記載不備があってゲートで若干のタイムロスを喫したため、78号車を載せたローダーが車検場横に帰還してきたのは9時45分。すでにS耐のドライバーズ予選は開始されており、コース上にはマシンの轟音が響き渡っていました。 新宅選手が急いでマシンを降ろし、押っ取り刀でPITへ急ぐ一方、私もパドックを突っ切ってPITへ戻り、慌ててチーム監督代理の職に復帰します(汗)。 PITで待機していた検査員によってマシンが斜行バー装着の検査を終え、マーキングタイヤに交換して、予選に出走できる状態となったのは9時57分。残された10分余りの時間を考えると、先発の伊藤選手を最小限の周回数でPITに呼び戻す戦法しかありません。私は伊藤選手にそのことを伝えてコースイン指示を出し、サインマンとPITクルーにもこのタイトなPIT計画を何度も念押ししました。
金曜までの78号車の走りから考えて、両ドライバーが予選通過基準タイムに抵触する恐れは全くありません。とにかく、コース上のアクシデントに巻き込まれずに、それぞれの2LAP目を普通に周回してくれさえすれば・・・。PITの全員が注目する中、伊藤選手はなんと金曜日のベストタイムをも上回る1分44秒205をマーク(汗)。あとは新宅選手へのスイッチを無事こなすだけです。 |
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本来、ドライバーの基準タイム通過を目的としたこのセッション、タイム自体にそれほど大きな意味はないのですが、とりわけチームテスタスポーツは生き残りをかけた際どい綱渡り劇を展開したわけですから、そのタイムをとやかく言うのは酷というものです。何といっても、ここに78号車のリザルトが刻まれたこと自体が奇跡に近いのですから。 |
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土曜午後のグリッド予選は、今年も20分ずつの3つの時間帯に区切られており、78号車が出走可能な時間帯は、ST3/ST4クラス占有時間帯の14:00〜14:20、および、全クラス混走時間帯の14:20〜14:40、の計40分です。 |
今回のS耐岡山国際ラウンド、私達の78号車は基本的に昨年の仕様を踏襲していますが、モディファイポイントも幾つかはあります。マシンの足元をきりりと引き締めるホイールもそのひとつ。 昨年までの「P1レーシングU」に代わって今回から採用されたのは、本家・ダンロップのブランドの「DIREZZA RGF」。 P1レーシングのシックで落ち着いた佇まいから一転、純白のRGFは戦闘的な雰囲気を強く感じさせます。また、手で持った限りでは、バネ下の重量低減にも大きく貢献しているようでした。 2003年にマシンがDIREZZAカラーになって以来、初の外観変更になりますが、タイヤ&ホイールがダンロップブランドで固められ、より統一感・一体感が増した感じですね。 もちろん、セッションを終えるごとに克ちゃんとT−eMさんが丹念に磨き込んでくれています(^^)v。 |
![]() DIREZZA RGF |
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岡山
400km Race グリッド予選
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