諸事情により、6月の第4戦・MINEへの参戦を見送ったチームテスタスポーツの#78・WW2ダンロップRX−7。地元戦ともいえるMINEラウンドの欠場決定という事態もまた、私達にとっては十分に波乱の展開でした。とくに、昨年のシーズンオフからの徹底的なマシンメンテナンスの成果や、テストランでの好タイムを伝え聞いていただけに、欠場は返す返すも残念、というのがチーム関係者の正直な気持ちだったに違いありません。
そして8月、チームは熟考の末にTIサーキット英田で開催される第6戦への参戦を決意。MINE戦のスキップによって約1年間ぶりとなる実戦に、満を持して臨むことになりました。TIサーキットといえば78号車がデビューを飾った思い出の地ですが、これで2001年から4年連続の参加が実現したわけです。
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私達WW2は昨年のTI戦の時に、カッコいいPIT看板を製作してチームに寄贈したわけですが、時間不足のために準備できなかったアイテムが幾つか残っていました。ピットロードに進入してきた78号車をPIT位置へ誘導するためのストップボードもそのひとつで、今回は私がKojiさんと相談し、重要性と緊急度を考慮して早々に製作を決めました。
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練習走行日の金曜は、朝から生憎の雨模様でスタート。午後のセッションは相次いで赤旗中断となる波乱の幕開けとなりました。徐々に天候は回復していったものの、ドライに近い路面状況で走行ができたのは、午後の2回目のフリー走行以降のことでした。 |
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◆ ◆ ◆ ◆ ◆ この日WW2からは、まず克ちゃんが先発隊としてチームにサポート参加しました。克ちゃんは昨年のTI戦は欠場したため2年ぶりの参加でしたが、私達サポート隊の中では一番若くてフットワークの良い彼の復帰は本当に心強い限りです。ただし、ここ1年間の体型の変動により、給油時に装着するレーシングスーツがかなりキツくなってしまったとか・・・(笑)。
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土曜日からの参加となった私は、muneさんの力作・PITストップボードをはじめ、レーシングスーツ、差入れの飲み物、クーラーBOXなどをクルマに詰め込み、朝3時半にKojiさんと合流。その後、広島市内でチーム関係者をピックアップし、薄明るい山陽自動車道を東に向け爆走。朝7時頃にTIサーキットへ到着しました。 ここ最近の参戦では、とかくPITレーンの端っこの方に陣取って、地味にレースウィークを過ごすことが多かったチームテスタスポーツですが、今回与えられたPIT位置は今までとは一転、メインスタンド中央部からやや1コーナー寄りの「15―C」でした。ふと左を向けばクラス1のポルシェ911GT3(GOOSENECK SPORT)、右を向けばクラス2のランサーエボリューション(MACモータースポーツ)、そしてその隣はまたもポルシェ(ADVAN KONDO RACING)と、S耐ピットレーンの中でもかなりの「目抜き通り」に拠点を構えることになりました。 |
メインスタンドほぼ正面にあたるこのPIT位置のメリットは、何といっても、最終コーナーから一定の距離があるため、マシンの識別やサインボードの提示に余裕を持って対処できることです。昨年のように最も最終コーナー寄りのPIT位置だった場合、メインストレート入口からサインガードまでの距離が極端に短くなるため、サインマンは最終コーナー通過中のマシンのルーフとハチマキ色を瞬時に見極め、急いで行動を起こす必要がありました。当然ながら、ルーチンのPITストップの際にも同様に慌しい動きを強いられ、全く気の抜けない展開だったわけですが、今回に限ってはその心配はありません。 |
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他にも、S耐事務局に比較的近くて都合が良いこと、コントロールラインに近いため視覚的にレース全体の動きが俯瞰し易いことなどのメリットがあります。一方で、車検場やガソリンスタンド、さらにスターティンググリッド位置(たぶん;笑)から遠ざかってしまうデメリットもあるのですが、決勝レース重視で考えれば、総じてメリットの方が多いといえるでしょう。
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無事に通算7枚目の車検合格シールを貼られた78号車は、土曜日最初の公式セッションとなるドライバーズ予選へと進みます。ここは決勝グリッド位置を争うものではなく、A/B両ドライバーの基準タイム通過のみが目的です。 |
今回のTI戦に先立ち、大きなクラックが入っていたフロントウィンドゥを新品に交換した78号車には、この時点ではまだハチマキステッカーが装着されていませんでした。そこで、予選出走の直前、私と克ちゃんで慌しく貼付作業を行なうことにしました。コクピット周りの準備作業を邪魔しないように気を配りながら、大胆かつ繊細に(?)カッター片手に作業を進めていきます。 昨年マシンカラーリングを一新して以来、78号車のハチマキ色はずっと赤だったのですが、今回は2004年仕様として変化を付けるため、同じダンロップカラーの中から黄色をチョイスしてみました。後でよく眺めてみると、色彩バランス的にはやはり赤が一番良い感じですが、黒のルーフを間に挟んで、黄色のリアウィングとハチマキが共に大きなアクセントになっており、アピール度が増したので結果オーライとしましょう。 なお、金曜日のハチマキ無しの78号車の写真が、S耐非公式ページのレポートに掲載されているので紹介します。年1〜2回程度のスポット参戦にもかかわらず、私達のチームのことをしっかりと覚えていてもらえるのは本当に有難いことです。サイトの管理人さんに心から感謝致します。 → 「練習走行レポート」 (The Super−Taikyu Race より) |
![]() ただいま仕上げ作業中 ![]() DIREZZAステッカーと クラス識別マークを貼り完成 |
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すっかり出走準備の整った78号車は、オフィシャルによって青マーキングが施されたスリックタイヤを装着し、ほぼ定刻通りのAM8:51にAドライバーの新宅選手がコースイン。途中でBドライバーの伊藤選手に交代するいつも通りのパターンです。
ここで78号車の今回一押しの新兵器を紹介。 |
それは携帯電話を利用した簡易通信システムで、ステアリングに設けられた通話ボタンを操作することで、インパネに固定されている携帯端末を介し、コクピット内のドライバーとPIT首脳との双方向通話が可能になっています。もちろんマイクはドライバーシート横の最適な位置に配置されています。 製作を担当したながつ氏によれば、工数不足のためノイズを拾ってしまう問題点が残っているとのことですが、こうした通信手段があるのとないのとでは雲泥の差であり、昨年のここTI戦で失った数LAPもの悔しいロスのことを思い出すまでもなく、有効な武器となることはまず間違いのないところです。 |
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当初から本格的な通信システムを駆使しているレギュラー組のチームから見れば、何を今さら?と笑われるかもしれませんが、完全なるプライベーターチームが実戦での試行錯誤を重ねた結果、参戦7戦目にしてここまで辿り着けたことは大きな進歩であり、着実な成長の跡が窺えるというものです。 |