22.WW2、3度目のS耐TI戦にチャレンジ! 



2.二年の進歩を感じたTI戦


 
9月6日、予選日の早朝を迎えたTIサーキットの上空は曇り空。天気予報は夕方頃の雨の可能性を告げていましたが、真夏を思わせる暑さだった金曜日と比べると、過ごしやすい一日となりそうでした。

 チームテスタスポーツのメンバーは前夜、宿舎で食事を済ませた後で、フリー走行で撮影した78号車の車載ビデオの鑑賞会を行ないました。普段はあまり馴染みのないドライバー視点からの映像は、コース上での78号車のパフォーマンスや、ドライバーによるスタイルの違いまでも顕わにする新鮮なもので、メンバーは夜遅くまで盛り上がりました。
 こんな余裕の時間を過ごせるのも、マシンに大きなトラブルが発生せず、順調にスケジュールをこなしている証拠でしょう。

 それでも翌朝の5時半には全員しっかり起床し、6時半過ぎにはサーキットに到着。いよいよ、チームにとって3度目となるS耐TI戦の公式スケジュールが始まりました。




●9月6日(土)
    AM7:00〜9:00
 車両検査

 いつもであれば、公式車両検査には各クラスに時間の区分指定があるのですが、今回のTI戦のスケジュール表にはなぜかそのような表記はありません。そのため、開始時間の午前7時を過ぎる頃には、車検場に全クラス・47台の参加車両の大半が一斉に押し寄せ、長蛇の列を作っていました。
 どのチームもさっさと車検を済ませ、予選走行に向けた準備に着手したいはずで、こんな光景が展開されるのも無理もないところですが、運悪くグリッド中段(笑)に埋もれたマシン達は、何十分もの間、じっと順番を待つしか術はありませんでした。



公式車検を待つマシン、マシン、マシン・・・


 WW2からはNukupeeと、金曜夜からチームに合流したぬまさんが車検の列に参加しました。・・・参加といっても、オフィシャルとの技術的なやりとりは全てメカニックさんにお任せ状態なので、黙々とマシンを押して動かすことが我々の主要任務なのでありました(笑)。

 検査場を先頭にした数十台もの検査待ちマシンの隊列に混じり、78号車のカラーリングを眺めていると、私はふと2年前のここでの光景を思い出しました。・・・出来上がったばかりのマシンに十数人ものメンバーが付き添い、手作りカラーリングのマシンを取り囲むようにして初の公式車検に臨んだ2001年。
 あの時と比べると、今では私達も随分と落ち着き払ったもので、以前のように我が子の行く末を案じるようなハラハラドキドキも少なくなりました。ボディカラーも周囲のマシンと遜色ない美しい出来映えとなり、78号車がすっかりS耐の世界に融け込んでいることを実感したひとときでした。


 
下回りを検査中

エンジンルーム点検中

 実際の検査の場面では、毎度のことながら(?)オフィシャルから細かい指摘をいくつか頂戴しましたが、ほどなく無罪放免となり、また新たに一枚「車検済み」のステッカーを獲得。78号車は皆の待つPITへと舞い戻りました。



●9月6日(土)
    AM9:50〜AM10:20
 公式予選(1)

 午前中の1回目の公式予選は、予選通過基準タイムをクリアするためのセッションで、グリッド順位を決定するものではありません。
 今のところ天候が急変する気配はないため、完全復調した78号車にとっては、全く不安要素のない状況です。PITで見守るメンバーにとっても、今回ばかりは基準タイムのクリアに気を揉む必要はなく、安心してセッションを迎えることができました。


ちょっとスポンサーさんを意識(^^)
待機中の新宅選手

今回は調子よさそ〜\(^o^)/
走行を見守るKojiさんとYasuさん
 78号車にはまずは新宅選手が乗り込み、セッション開始の合図を待ち受けます。

 ここでは午後の本予選に向けてのフィーリングチェックがメインですが、新宅選手は「ちょっとマシンが過敏で扱い辛いなぁ・・・」とコメントしながらも、2周目に
1分48秒738のタイムをマーク。昨晩交換したクラッチに問題がないことを確認すると、早めに走行を切り上げてPITイン、伊藤選手へとバトンタッチしました。

 WW2サポート隊にはこの日から
KojiさんYasuさんが合流。二人は早朝に広島を出発し、マシンのスペアパーツ、食品やジュース、そして私達WW2が用意したPIT看板など、チームの荷物をクルマに満載しての到着と相成りました。
 普段はビデオ撮影マンとなる
Yasuさんですが、いざセッションが始まると、久々の快音を響かせて走行する78号車を、PITウォールから身を乗り出すようにして見守っていました。

 この間に伊藤選手は8周の周回をこなし、セッションが残り10分となった7周目に、金曜日のベストタイムを1秒3上回る、
1分44秒751を記録しました。
 
金曜日に繰り返し変更を加えていった足廻りですが、強いアンダーステアは解消できた様子で、ひとまずタイムアップという結果に結びついたことは喜ぶべきことでしょう。



伊藤選手に交代して再スタート


 最後にマシンに乗り込んだ有木選手は、チェッカーまでに6周を走行。その4周目には彼自身のベストタイムとなる1分47秒471をマークしました。
 もはや新人・有木選手にMINEのデビュー戦のような過度の緊張感はなく、ミッションカートとは大きく勝手が違うツーリングカーにもかなり慣れてきた様子でした。
 チームにとっても、こうして3名のドライバーのタイム差が縮小してくれば、決勝レースの組み立てが格段に容易になることは言うまでもありません。
 今後もこの調子で着実に経験を積み重ね、様々なことを吸収していってもらいたいものです。



公式予選(1回目) 総合リザルト
【クラス3車両のみ抜粋】
◆9月6日(土) 天候:曇り◆
1.#15 ORCアドバンRX−7 1'41.533 ― 
2.#23 C−WEST アドバン Z33 1'42.169 +0.636
3.#14 REDLINEダイトウRX−7 1'42.219 +0.686
4.#27 FINA BMW M3 1'42.355 +0.822
5.#39 DELPHI ADVAN NSX 1'42.488 +0.955
6.#83 BP ADVAN NSX 1'43.220 +1.687
7.#77 TRUST ADVAN RX7 1'44.428 +2.895
8.#78 WW2ダンロップRX−7 1'44.751 +3.218



 
公式予選1回目の結果、3クラス勢のTOPは#15
・ORCアドバンRX−7で、クラスでただ一台、1分41秒台に突入しています。しかし、これに続く2位から5位までのタイムは非常に拮抗しており、今回もまた激しい戦いが展開されることを予告しているようでした。
 78号車のクラスTOPからのタイム差は、結果的には昨日と変わぬ「3秒2」となりました。クラス8位という順位も変わりませんが、それでも徐々に、7位や6位のマシンの背中は見えてきた感じがします(^^)。


 

●9月6日(土)
    12:20〜12:55
 ピットウォーク

 じつはあまり知られていないことかもしれませんが、S耐予選日の土曜にもしっかりとPITウォークの時間が設けられています。


 
さすがに日曜日と比べると観客数は少なく、決勝直前のお昼どきほどの賑やかさはありませんが、PITレーンの人口密度が低い分、じっくりとお目当てのマシン(やキャンギャル?)を観察する絶好のチャンスとなるわけで、いつも熱心なS耐ファンが、カメラやビデオを片手にピットレーンへと押し寄せてきます。

 今回は私Nukupeeもデジカメを携えて敵情視察の旅へと出発。この時の撮影画像を利用して、今回の3クラスの出場車を紹介してみることにします。

さっきサインガードにいた人に似てるんですけどぉ(笑)
ここにも熱心なファンが・・・!?



◆S耐TI戦にエントリーした3クラス車両(全8台)◆



#83 BP ADVAN NSX
(古橋/玉本/小林組)

#15 ORCアドバンRX−7
(長島/山田/入口組)

#77 TRUST ADVAN RX7
(吉岡/池田組)

#23 C−WEST アドバン Z33
(尾本/星野組)

#14 REDLINEダイトウRX−7
(今村/山崎/小松組)

#39 DELPHI ADVAN NSX
(八木/植田組)

#27 FINA BMW M3
(古谷/長島組)


#78 WW2ダンロップRX−7
(新宅/伊藤/有木組)




 
 
●9月6日(土)
    PM2:20〜PM3:20
 公式予選(2)

 午後に入るとTIサーキットの上空を雲が覆い始め、決勝グリッドを決定する2回目の公式予選が始まる頃には、いつ雨が振り出してもおかしくない空模様となっていました。当然、気温や路面温度にも好影響を与え、コンマ1秒を争うドライバー&マシンにとっては絶好のコンディションの到来です。

 チームは午前中に記録したベストタイムを元にディスカッションを行ない、78号車の今回の予選ターゲットタイムを1分42秒台と設定しました。


公式予選を前に最後のマシンチェック

 このタイムは、1分45秒8(=2001年)、1分47秒0(=2002年)という過去の78号車のTI予選タイムを引き合いに出すまでもなく、挑戦目標の数字としては不足のないものです。この2年間のチームテスタスポーツと78号車の着実な成長を示すチャンスでもあるわけで、PITにも思わず気合いが入ります。
 もちろん、78号車のタイヤは真新しいマーキングが施された決勝用のスリックへと履き替えられました。


 今回の予選も最初の20分間が1・2・N+クラスのみの走行時間で、3・4クラスはその後の20分間と、最後の全クラス混走の20分間を合わせた連続40分間が走行時間となります。

 完全なるタイムアタックセッションとなる予選2回目は、タイムアタッカーのみが出走するケースも多いのですが、チームテスタスポーツは従来方針通り、A/B両ドライバーに等しく出走の機会を与えました。
 今回もまずは新宅選手がステアリングを握り、3・4クラスのマシン達に交じり14:40にPITアウト。

 新宅選手はいつも通りアウトラップに十分な時間をかけ、しっかりとクリアなLAP状況を見定めていきます。とはいっても今回のアタッカー役はあくまで伊藤選手。4周目で
1分46秒780をマークすると、5周ほどで走行を切り上げ、PITへと帰還します。

出走準備に入る新宅選手
 
 代わってマシンに乗り込んだ伊藤選手に残された予選時間は約25分。基本的には、残り時間は全て使い果たさず、予選アタックが成功した時点で走行を終了する作戦とし、伊藤選手もクールスーツ抜きでの一発勝負の態勢です。全クラスの混走時間帯になればコース上のマシン数が増えることも予想されますが、是非とも渾身のアタックLAPを決めてもらいたいところです。
 このセッションはチームのスタッフも全員PITレーンに立ち、78号車の走りを見守りました。



マシンの状況を伝える伊藤選手


予選を見守るスタッフ一同


 すぐさま伊藤選手は1分45秒台から44秒台へと突入し、5周目には1分43秒647までベストタイムを更新しましたが、その後はクリアラップに恵まれなかったのか、タイムはやや伸び悩みます。
 この時点で、3クラスのライバル勢は概ね予選1回目のタイムを
1秒半から2秒短縮しており、クラスTOPの#15 ORCアドバンRX−7に至っては、3クラスのレコードタイムとなる1分39秒237をマーク。78号車もこの全体の流れに乗っていけば、1分42秒台への突入も夢ではない状況でした。・・・しかし、結果的にこれ以上のタイムの上乗せはなく、伊藤選手は計9周の周回をしてPITイン、予選のタイムアタックを終えました。

 78号車は目標とした42秒台には届きませんでした。やや調子を落としている
#14 REDLINEダイトウRX−7にも僅か0.1秒及ばず、クラス7位に浮上するチャンスを惜しくも逃す結果となりました。


スーパー耐久公式予選(2) 結果
【クラス3車両のみ抜粋】
◆9月6日(土) 天候:曇り◆
総合8位 #15 ORCアドバンRX−7 R1'39.237 ― 
総合14位 #77 TRUST ADVAN RX7 1'40.859 +1.622
総合15位 #39 DELPHI ADVAN NSX 1'41.024 +1.787
総合17位 #23 C−WEST アドバン Z33 1'41.588 +2.351
総合18位 #83 BP ADVAN NSX 1'41.874 +2.637
総合19位 #27 FINA BMW M3 1'42.195 +2.958
総合30位 #14 REDLINEダイトウRX−7 1'43.547 +4.310
総合31位 #78 WW2 ダンロップRX−7 1'43.647 +4.410


TI 400km Race 公式予選2回目
正式結果は→こちら

 


 こうして78号車はトラブルなく無事に予選を終えましたが、クラス8位・総合31位という結果はどことなく消化不良に感じるものでした。「もう少しイケるはずだったのに・・・」タイムアタッカーの伊藤選手は勿論のこと、チームメンバーにもそんな思いが去来していました。たしかに、木曜日からのチームの良い流れに、つい欲が出ていたことも事実なのですが・・・。


 しかし、そんな私達の感覚は決して間違ってはいませんでした。予選終了後、とんでもない計算違いが発覚したのです。

 チームからの指示を受け、私とぬまさんは、予選を走り終えたばかりのマシンの燃料を抜き取ることになりました。車載の燃料ポンプを作動させて残ったガソリンを吸出し、燃料缶に戻すという単純作業でした。


  
「10Lも残っていればなかなかの好燃費だよ」

との言葉に、近くにあった3Lのキャッチャーを手にした私は、ぬまさんにポンプSWの操作をお願いし、二人でタイミングを合わせながら、キッチリ3Lずつの汲み出しを開始しました。この作業を繰り返すこと1回、2回、そして3回・・・そろそろか?・・・いや、4回・・・5回、6回!・・・。なんと、私のぬまさんの作業は予想に反して延々と続き、容量20Lの燃料缶が一缶、また一缶と次々に満たされていきました。何だか様子がおかしいぞ?・・・
 「ボコボコボコッ・・・」と、残燃量が底を付いたことを告げる音がPITに響いた時、すでに私達の作業時間は1時間を越えていました。

 二人で抜き取ったガソリン量、じつに
71L!!(@_@)

 
なんと恐ろしいことに、78号車は想定よりも60Lも余分なガソリンを搭載したまま走行していたのです。予選のアタックに自らウェイトハンデ45kgを課して臨むとは、なんたる余裕でしょうか(笑)。新宅選手が最初にコースインした時には、ほぼフルタンクに近かったことになるのですから!
 あまりの甚だしい誤算に、チームメンバーは思わず苦笑するしかありませんでした。おそらく、金曜日の走行中に予期せぬガス欠症状が発生して、慌てて給油をした時点から、燃料計算が狂い始めてしまったのでしょう・・・。
 こうして、予選タイム伸び悩みの原因が判明したことは歓迎すべきことですが、そうなると余計に「3クラスのレギュラーを1台でも食っていいトコ見せたかったなぁ」と思ったのは偽らざるところです(^^)。


 でも、レースの世界ではタラレバは禁物。何といっても決勝レースは長丁場・・・グリッド順位を少し失っただけで、イイ勉強をさせてもらったとココは割り切るべきですね。これでも78号車にとっては、過去最高の予選タイムであることには間違いないのですから!

 もちろん、決勝レースでも「過去最高」といきたいところですね。


 



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