20.WW2、新生78号車を引き続きサポート! 



2. 2003年の初レースはスーパー耐久・第4戦に決定


 
外観を一新した新生78号車を引っ提げて、チームテスタスポーツがチャレンジするスーパー耐久シリーズ。その2003年シーズンは、例年とは異なるカレンダーが組まれていました。

 最も大きな変更点は、シーズン開幕戦の舞台が
MINEサーキットから仙台ハイランドへ変更されたことでしょう。例年、思わぬ波乱含みの展開となる開幕戦は、チームテスタスポーツにとって、地元チームの地の利を生かした着実な走りで上位進出を狙える絶好のチャンスとなっていましたが、今年に限ってはそのストーリーは実現不可能となってしまいました。
 また、今秋にコース改修が予定されているFISCO戦の開催時期が早まったことにより、5月から6月にかけての僅か1ヶ月半の間に、鈴鹿〜富士〜MINEと連続して開催される過密スケジュールとなっていました。
 距離的な条件や過去のレース参戦経験から、密かにエントリーを目論んでいたラウンドが、このように短期間で集中してしまったことも、チームにとってはかなり頭の痛い話でした。



2003年 スーパー耐久シリーズ
(全8戦)
第1戦 ハイランドスーパー耐久レース 4月26・27日
第2戦 スーパー耐久・鈴鹿300マイル 5月10・11日
第3戦 スーパーTEC 6月14・15日
第4戦 CP−MINE 500kmレース 6月28・29日
第5戦 十勝24時間レース 7月19・20・21日
第6戦 TIスーパー耐久&F3レース 9月6・7日
第7戦 SUGOスーパー耐久レース 9月27・28日
第8戦 もてぎスーパー耐久500 11月8・9日


 
 
その一方で、チームは別の問題も抱えていました。
 昨年参戦したレースで毎回のように悩まされた、慢性的なエンジン不調の原因が依然として把握できておらず、それが理由となって昨年の最終戦・スーパーTECへの遠征を断念したという事実がありました。
 このトラブルの解消の目処が立たないことには、たとえエントリーしたとしても、満足に戦うことのできない苦しいレース展開が待ち受けていることは明白でした。


 これらの状況を考慮し、チームは2003年の初戦として、地元MINEで開催されるシーズン第4戦・CP−MINE 500kmレースを選択し、このレースに照準を合わせ、マシンの熟成を重ねていくことを決定したのでした。
 シーズン半ばの途中参戦ということで、既に実戦経験を積み重ねているレギュラー勢に対しては厳しい戦いが予想されますが、事前のテストで主要トラブルを確実に出し尽くすことができれば、今度こそ「戦う」レース展開に持ち込むこともできると期待されます。



 
事実、その後チームはMINEおよびTI英田をステージに選び、それぞれ数回にわたって精力的なテスト走行を実施。78号車のアキレス腱ともいえるエンジンマネージメントシステムに一応の見通しをつけると同時に、期待の第3ドライバーのオーディションも併せて実施したとのことでした。

 開口一番、「やっとまともに走れるようになりそうだよ!」と、チームオーナーのとても明るい表情が印象的でした。


〜MINE戦パンフより〜


●6月某日
 WW2作戦会議

 MINE戦への参戦が決定したというチームからの連絡を受け、早速WW2は慌ただしくサポートの準備を開始しました。

 私達にとっての最大の懸念点は、2001年のS耐デビュー戦からずっとチームと帯同し続け、メンバーの中でも最も78号車を知り尽くしていた
働き者のこーぢさんが、仕事で海外赴任することになり、今回から参加できなくなってしまったことです。

 自称・ニセ2級整備士(=ホントは資格有り)のこーぢさんの活躍は、PIT内外での諸々の力作業(笑)だけには留まりませんでした。

 
2002年3月のMINE戦では、決勝レース中に左リアハブのトラブルで緊急PITインした78号車に対して、パドックに待機させていた愛車RX−7のパーツを即座に提供し、リタイヤの危機に立たされていたマシンの戦線復帰に大きく貢献しました。・・・そう、もはや我々WW2メンバーの間では語り草となっている部品取り車伝説」まで築いた華々しい経歴の持ち主だったのです(^^)。

<2002年MINE戦での思い出の1シーン>

   
不安そうに 嬉々としてハブの取り外し      
作業をみつめるこーぢさん(手前)         



    
リアハブ取り外し完了の図

 (2枚ともに画像提供:克ちゃん)



 
宿泊部屋での克ちゃんとの枕投げバトルの様子はこの際割愛しますが(笑)、こーぢさんは私達サポート隊には欠かせないキャラクターの持ち主でもありました。
 シーズン初戦で不安材料の多い今回のMINE戦だけに、WW2はこーぢさん(と愛車RX−7)の抜けた穴を早急に埋める必要に迫られていたのです。


2代目「部品取り車」襲名の日は近い???
MINEサーキットに駆け付けたぬまさん号
(予選日朝のパドックにて)


 そこで白羽の矢が当たったのが、サーキットから程近い周南市在住メンバーのぬまさんでした。
 鮮やかなイノセントブルーマイカの5型RX−7を駆るぬまさんは、Kojiさんからの協力依頼を二つ返事で快諾、なんと、S耐練習走行の始まる金曜日からの現地入りを引き受けてくれました(感謝!)。
 ぬまさんはこれまでも毎回のように78号車のPITへ応援に駆け付けてくれていたのですが、サポート隊本隊が土曜日から合流することになった今回は、結果的にWW2の先発隊として、単身でサポートを開始してもらうことになりました。



 
そしてもうひとつ、私達は久々にWW2のNewステッカーの準備も行ないました。

 2001年9月のデビュー戦TIから一貫して78号車のボンネットに鎮座し続けてきた緑のWW2の文字。私には、この大きなステッカーを、今回の新しいマシンカラーリングに合わせて再コーディネイトしたいという思いがありました。
 ・・・が、メンバーでじっくりとデザインを練り直す時間は残されていなかったため、とりあえず、これまで2種類存在していたサブタイトルを、WW2のコンセプトをよりハッキリと伝える
 
「Come back to Motorsports, MAZDA!!」
に一本化。サイズは大・中の2種類として、のDUNLOPカラー3色分を追加製作し、今回のMINE戦に備えることにしました。

 実際にマシンのどこに何色を貼らせて頂くかについては、現地PITで新宅選手の意見も聞いたうえで決めることにしました(^^)。


 
今回も特急のステッカー製作でご協力頂いた田中極楽堂さまには、あらためてこの場を借りて御礼申し上げます。m(__)m






正面のほか、両側ドアにも1枚ずつありましたね(^^)
正面の特等席を占拠(^^)

dtanakaさんありがとう!
準備した新色ステッカー
●6月28日(土)
    AM7:30
 チームと合流

 今回のMINE戦では、WW2サポート部隊の現地入りは、公式予選の行なわれる土曜日。すでに木曜日からMINEサーキット入りして練習走行を開始し、金曜日のスーパー耐久占有走行枠も消化済みのチームテスタスポーツの皆さんとは、二日遅れでの現地合流となりました。

 天候不順が続くこの週末、土曜の早朝も時折り激しい雨に見舞われましたが、まずは朝5時府中町出発の第一便(笑)にて、Kojiさん克ちゃんNukupeeが7時半に無事到着。今回メカニックのサポートで加わるNagatsu氏も私達と一緒に同行しました。

 続いて10時過ぎには、第二便の
Yasuさんjanさんが合流。こちらは朝イチでSF広島さんに立ち寄り、マシンのスペアパーツを積み込んで来るという大役を担っての登場でした。
 
目の前に観客席がない〜!(涙)
もっとも最終コーナー寄りとなった
チームテスタスポーツのPIT


 私達はまず、金曜日から頑張っているぬまさんに労いの言葉をかけました。一人慣れない環境で気疲れもあったはずですが、ぬまさんは意外にも元気そうな笑顔を見せており、すっかり安心した私達は早々にチームのPITエリアに潜入し、自分達のできる作業を片っ端から探していったのでした。

 公式車検や予選アタックの控えている土曜日ですが、サーキットが目を覚ましたばかりのこの時間帯は、幾分ゆっくりと時間が流れています。
 メンバーは持参した朝食もそこそこに、間近で見る78号車の新カラーリングの出来映えに感心しながらも、ボディやウィンドゥ、ホイールの清掃を中心に、早くもマシンの外観整備に余念がありません。そして、決勝レースに備えて各種スポンサーステッカーをボディに貼り付ける作業も、私達に与えられた大切な使命のひとつでした。


WW2ステッカーの色が変化しています!(^^)
WW2サポート部隊作業中!の図
(克ちゃん、janさん、Kojiさん)

REPSOL  ROTARY JAPAN

RACING GEAR


 
こうして78号車は、私達サポート隊の手によって、現地入りした後もセッションを追うごとにその華やかさを増していったのでした。
 


●6月28日(土)
    AM8:50
 車両検査
 

 土曜の朝に行なわれる公式車検で、いよいよスーパー耐久は本格的なレース開幕を告げます。降り続く小雨の中、クラス1から車検が始まり、RX−7のエントリーするクラス3は、予定通り8時50分からの検査開始となりました。

 メカニックの手によって、78号車がPITレーンを車検場に向かってゆっくりと進み始めると、WW2メンバーも急いでマシンの後を追いかけます。メンバーが大挙して臨む「車検ツアー」は、もはや毎回の恒例行事と化していますが、一昨年のデビュー戦から数えてすでに通算5戦目、傍で見守る私達にとっても、最初の頃のようなハラハラやドキドキはもはや皆無でありました。
 チームは車検場の検査員とのコミュニケーションをスムーズにこなし、78号車は無事に一連の検査&測定を完了しました。

立ち位置を微調整中・・・(^^) ただいまウェイト測定中(^^)
車検場での測定の様子

 余談ですが、MINEサーキットの車検場は、PITレーン出口に程近いコントロールタワー横。一方、チームテスタスポーツの自陣は逆にPITレーン入口にもっとも近い46番PITで、その間、直前距離にしてざっと300m弱・・・。車検場に辿り着く目前で、パスケースを忘れたことに気付いた私は、雨の降りしきる中、傘も差さずにPITまで二往復もさせられるハメに・・・(T_T)。



 

●6月27日(金)
  N1−LEAGUE占有
     練習走行日

 ここで、予選日までのチームの動きもおさらいしておきましょう。


 待望の2003年の初戦に臨むにあたって、事前に精力的なテスト走行を重ね、満を持して木曜日からMINEサーキット入りしたチームテスタスポーツ。
 しかし、チームの意気込みとは裏腹に、ゼッケン78のRX−7は走行初日から、全く予期していなかった
ターボトラブルを抱え込んでいたのです。
 なんと、ブーストが十分に上がる手前でブーストカットの制御が介入してしまうらしく、全開走行をしようにもパワー感を全く感じさせてくれないマシンにドライバーはストレスを溜める一方。チームはマシンのセットアップを進める以前に、大きな大きな壁にぶち当たっていました。

N1−LEAGUE占有走行 総合リザルト
【クラス3車両のみ抜粋】
◆6月27日(金) 天候:雨◆
1.#39 DELPHI ADVAN NSX 1'41.215 ― 
2.#27 FINA BMW M3 1'43.604 +2.389
3.#83 BP ADVAN NSX 1'43.803 +2.588
4.#23 C−WEST アドバン Z33 1'44.703 +3.488
5.#14 REDLINEダイトウRX−7 1'46.077 +4.862
6.#77 TRUST ADVAN RX7 1'48.135 +6.920
7.#15 ORCアドバンRX−7 1'50.431 +9.216
8.#78 WW2 ダンロップRX−7 1'59.959 +18.744

 合計3回のフリー走行枠が設けられていた金曜日ですが、結局78号車は、この日唯一のセミウェット路面となった3回目の走行枠に出走できなかったため、ベストタイムは2回目の走行枠で記録したフルウェットでのタイム(=1分59秒9)に留まりました。
 しかし、その2回目の走行枠のタイムをとって比較してみても、雨で苦戦している他のRX−7勢から概ね10秒程度の大きな遅れをとっており、チームにとって走行データの豊富な地元サーキットであることも考え併せると、今回78号車が抱えている問題は大いに憂慮すべきレベルであることに間違いありません。
 予想外のトラブルに苦悩するチームは、この日タービン交換を決行し、翌日のマシンの復調に望みを託したのでした。


 

●6月28日(土)
    AM10:20〜10:50
 公式予選(1)

 今年からスーパー耐久の予選方式が変更され、各チームは2回の予選走行セッションに臨むことになりました。
 まず最初に、A・Bドライバーのクオリファイのための30分間の
公式予選(1)が行なわれ、その後で、従来のように決勝グリッドを争うための60分間の公式予選(2)が待ち受けているという、予選セッションがその目的別に2つに分かれたカタチとなっています。

 朝から降り続く小雨に、予選開始時間になっても路面は完全なWET。ただし雨足はとても弱く、セッションの進行につれてレコードライン上の水量が次第に減っていく可能性も十分にありました。

 78号車は当然のようにレインタイヤを装着し、まずはAドライバーの新宅選手からコースイン。もしもブーストトラブルが解消されていなければ、チームにとって非常に厳しい予選の戦いが待ち受けています。
 WET状態の路面に、後輪駆動車揃いの
クラス3のタイムは伸び悩み、NSXやM3の上位陣が1分50〜51秒のタイム、RX−7勢はやや水を開けられて52〜53秒台という滑り出しでした。

ついにサインガードにも新兵器登場!!
78号車の通過を待つ佐竹さんとKojiさん


新宅選手から伊藤選手へ交代

 これらに対して、78号車のタイムは2分01秒前後で、依然としてトラブル解消には程遠い状態であることが早くも判明しました。
 この瞬間、大変不本意ながら、この日のチームの目標は、両ドライバーの予選通過基準タイムのクリアという一点に絞られました。心なしか、サインガードの佐竹さんとKojiさんも不安そうな面持ちでした。


 
新宅選手は4LAP目に2分を切る1分59秒996をマークしたところでPITイン。予定通り、残り時間15分でBドライバーの伊藤選手に交代しました。
 そして伊藤選手は2分03秒→01秒→02秒とラップを重ね、5LAP目にベストとなる
1分59秒134をマーク。

 コース上ではセッションの中盤過ぎにベストタイム更新が相次ぎ、クラス3のTOPはついに1分49秒台に突入していました。
クラスの上位3台の平均タイムの110%で算出される基準タイムはこの時点で2分01秒台であり、78号車にもほんの少しながらマージンが残されている状況でした。
 結局、最後まで小雨が止まず、路面状況の著しい好転がなかったことが幸いし、クラス3の予選通過基準タイムは
2分01秒852と確定。絶不調のマシンによる綱渡りの展開ながら、2名のドライバーは無事決勝レースへ駒を進める権利を獲得しました。


スーパー耐久公式予選(1) 結果
【クラス3車両のみ抜粋】
◆6月28日(土) 天候:雨◆
1.#39 DELPHI ADVAN NSX 1'49.940 ― 
2.#23 C−WEST アドバン Z33 1'51.149 +1.209
3.#27 FINA BMW M3 1'51.238 +1.298
4.#83 BP ADVAN NSX 1'51.828 +1.888
5.#77 TRUST ADVAN RX7 1'52.146 +2.206
6.#15 ORCアドバンRX−7 1'53.095 +3.155
7.#14 REDLINEダイトウRX−7 1'53.648 +3.708
8.#78 WW2 ダンロップRX−7 1'59.134 +9.194

 
★ クラス3の参加車両の紹介はこちら ★

 




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