17.WW2、富士Super−TECに参戦!(後編)
 (2001/11/12・記)


●11月3日(土)
  AM10:35〜11:20
 フリー走行

 予選を午後に控えた土曜午前のフリー走行(45分)は、この週末を通じて初の計時セッションとなりました。これから明らかになるライバル達の勢力図にも注目が集まります。天候は曇り、もちろんドライ路面での走行です。
 エンドレスさんのスポンサーステッカーを貼り終え、練習用タイヤを装着した78号車に、まずは新宅選手が乗り込んでセッション開始の合図を待ちます。

大変豪華なサポートメンバーに見守られてます、ハイ・・・
44番PIT前で待機中(10:30)


 
結局、全47台が姿を見せたS耐最終戦・Super−TECのクラス3には8台のマシンがエントリー。

 我らがRX−7は、レギュラー勢の4台に
#78・WW2 RX−7を加えた全5台が参加。なかでも、既にクラス3のチャンピオンを決めた#33・ビスコガンマRX−7は「総合ポールポジションを狙う」と宣言しており、総合上位への喰込みが期待されます。また、最近TOP争いの常連となってきた岡部自動車の2台(#15・C−WESTアドバンRX−7#14・科芸専エクシーザ村松建具RX−7)の速さにも注目が集まります。

 対するライバル勢は#27・WAKO’S BMW M3#31・ジャラーナTGCシルビアがエントリー。
 この2台の常連に加え、今回初参戦となる
#63・エフェクトラックベリティーS15(シルビア)が加わっています。
 金曜の占有走行ではストレートでの速さが目立ち、我々の強力なライバルとなると思われましたが、後方に大きく張り出したリアウィングが朝の車検でNGとなった模様で、急遽リアウィングレス仕様とした苦しい戦いを強いられていました。



速さを増している岡部自動車の2台

ホント、カッコよかったんだよねーーーー
メインストレートを駆け抜ける78号車


 新宅選手のドライブでコースインした78号車は、まずは1分47秒台のタイムを記録。徐々に45秒台までタイムアップを果たしていきます。総合ポジションは30位前後ですが、前日にマークした42秒台のタイムを併せ考えれば、まだまだ余裕が感じられます。

 ライバル勢では、
#71・Power MagiC RX−7が早々に41秒台をマークしクラス3をリード。すぐさま40秒台に突入し、総合でも9位にポジションアップ。これを#15・C−WESTアドバンRX−7が逆転したのはセッション中盤。なんと1分39秒台にまで突入しています。
 シーズン終盤までクラス3のチャンピオン争いを繰り広げた2台、
#27・WAKO’S BMW M3はデフトラブルが発生し僅か3周で走行終了、#33・ビスコガンマRX−7は逆にやや遅れてのコースイン。どうやらエンジンを載せ替えたらしく、55秒台から慣らし走行を開始、毎周1〜2秒ずつ、まるで機械のように正確にタイムアップをしていきました。

PIT上からのアングル(寒ぅ・・・)

 Aドライバーの新宅選手は1分44秒台までタイムを縮めたところで、Bドライバーの伊藤選手に交代。

 マシンは初日のオーバーステア傾向が解消されておらず、「立ち上がりで思い切り踏めない」とコメントしながらも、伊藤選手は
1分43秒台前半までタイムアップし、総合順位も26位まで上昇。
 残念ながら富士スピードウェイに合わせたサスセッティングは殆んど手が打てていないため、100Rや最終コーナーで大幅なタイムロスをしている状況でのこの順位は、逆にマシン自体のポテンシャルの高さを垣間見せる結果ともいえるでしょう。(ちょっと苦しいかな?)


◆   ◆   ◆   ◆   ◆

 私はセッション途中でPIT上に掛け上がり、メインストレートでの走行の様子を暫く見物していました。私達の78号車が苦もなく他クラスのNAマシン勢を抜き去っていく姿には本当に興奮し、思わず手に汗を握ってしまいました。そういえば、TIでは滅多に遭遇できなかったシーンだったかもしれませんね(笑)

 それに・・・・


 
遠く霞む最終コーナー方面から、ひと目でそれとわかる鮮やかなオレンジグリーンのカラーをまとったマシンが姿を現し、REサウンドを響かせながらメインストレートを走り抜けて行く。目前で展開されるそんなシーンに、私はCHARGEカラーのマツダのGTPマシンに声援を送るため、ここFISCOに通い詰めた学生時代の思い出をダブらせ、とても感傷的な気分に支配されていました。

 かつての私がそうだったように、今ここで私達のマシンの勇姿を見て「カッコイイ!」と思ってくれる観客が一人でも生まれてくれたら・・・。


 
私はWW2設立の最大の動機となった「サーキットで戦うマツダのマシンの勇姿」が、ここFISCOを舞台にした自らの記憶に端を発していることを再確認しました。
 そして、マツダワークスの活動休止から9年経った今、こうして自分が学生時代とは全く逆の立場でこの舞台に戻って来て、マツダワークスが魅せてくれたあのシーンの再現のために、一生懸命活動しているということを、ダイレクトに感じることができたのです。


 
やはり富士に来て良かった・・・。私はそう強く感じるとともに、このチャンスを与えてくれたチーム・テスタスポーツと新宅選手に、あらためて心から感謝したのです。

 

11/3(土) フリー走行結果 
<クラス3のみ掲載>

1.#15 C−WEST アドバンRX−7 1'39.700 ― 
2.#33 BPビスコガンマRX−7 1'39.852 +0.152
3.#71 Power MagiC RX−7 1'40.313 +0.613
4.#14 科芸専エクシーザ村松建具RX−7 1'40.394 +0.694
5.#31 ジャラーナTGCシルビア 1'42.023 +2.323
6.#78 WW2 RX−7 1'43.187 +3.487
7.#63 エフェクトラックベリティーS15 1'50.012 +10.312
8.#27 WAKO’S BMW M3 2'49.984


●11月3日(土)
  PM0:55〜1:55
 公式予選

 大会事務局からの公式通知で、クラス3の決勝出走台数はエントリー台数と同じ8台と確定。クラス3からの予選落ちは正式になくなりました。
 金曜日に出走取り消しやリタイヤ届けの提出があり、最終的な予選参加台数が46台に減ったため、フルグリッド45台枠に対しては1台の予選落ちマシンが生じることになり、最も参加台数の多いクラス4がその対象となった模様です。もっとも、仮に48台であってもクラス3は予選落ち対象外となる確率が高かったのですが。


 朝から厚い雲に覆われていた富士スピードウェイ。土曜午後の降水確率は
60%と、ほぼ降雨が確実な状況でしたが、昼過ぎに開始される公式予選までは持ちこたえるのでは?というのが大方の見方でした。しかし、PITウォーク中にポツポツと振り出した雨は、瞬く間に路面をウェット状態に一変してしまうのでした。
 
競技長のWET宣言
により、マーキングタイヤの使用は解除され、各車は慌ただしくレイン用タイヤに履き替えて予選開始に備え始めました。当然78号車は唯一の溝付きである深溝タイヤ(ダンロップのレイン用Sタイヤ)を装着。これは先日のMINEでのシェイクダウンテストで使用したままのタイヤでした。


 占有走行からのドライ続きが一変し、WETでの予選。この突然の雨にはすっかりペースを乱されたチームも多かったことでしょう。かくいうチーム・テスタスポーツも間違いなくそのひとつに数えられました。なにせ、富士スピードウェイで迎える初のWET走行が、いきなりこの予選セッションなのですから・・・。

 78号車に装着した深溝タイヤは、フルウェット条件ならマッチするものの、皮肉なことに雨は予選の中盤に一旦小降りとなり、浅溝レイン(市販のドライ用Sタイヤ)が最も効果を発揮する路面状況となっていました。
 これを見てそれまで1分55秒〜2分前後で周回していたTOP集団が一気にタイムアップを果たし、クラス3のTOPの
#33・BPビスコガンマRX−7が記録したベストタイムはなんと1分48秒116。この瞬間、私達にはクラス基準タイム(110%)の問題が急浮上してきたのです。

 
#33のベストタイムから算出したクラス3の基準タイムは1分59秒703
 セッション中盤にステアリングを握っていた伊藤選手は、マッチングの合わないタイヤに苦しみながらも
1分56秒台のベストタイムをマークしておりセーフ。しかし、予選開始直後の団子状態での慎重なドライブを強いられた新宅選手のベストタイムはまだ2分2秒台でした。
 チームは急いで伊藤選手をPITに呼び寄せ、再び新宅選手にアタックの機会を与えましたが、不運なことに、コースインした直後に再び雨が本降りとなってしまったのです。新宅選手はその間隙をぬって自己ベストを更新する果敢な走りを見せましたが、終盤にコース上に川ができるような状態となっては、もはやコース上にマシンを留めておくことだけで精一杯でした。

 こうして、降りしきる雨の中で予選は終了。
#78・WW2 RX−7はクラス基準タイムに一歩届かず、他の8つのチームと共に、嘆願書による決勝出走の申請という無念の展開となってしまいました。
 

 

公式予選結果 
<クラス3のみ掲載>

総合順位
 7位 #33 BPビスコガンマRX−7 1'48.116
10位 #14 科芸専エクシーザ村松建具RX−7 1'48.955
11位 #15 C−WEST アドバンRX−7 1'49.392
14位 #27 WAKO’S BMW M3 1'51.181
17位 #71 Power MagiC RX−7 1'51.826
18位 #31 ジャラーナTGCシルビア 1'51.930
40位 #63 エフェクトラックベリティーS15 *1'54.426
42位 #78 WW2 RX−7 *1'56.731

* … 嘆願書により大会審査委員会が決勝レース出走を認めた


 
しかし、高速コースに豪雨という最悪のコンディションの中、マシンに一切ダメージを与えずに帰還した両ドライバーの冷静な走りは評価に値するもので、チームは本当に感謝すべきでしょう。現に、土曜の午後に行なわれた「公式予選」および「Cドライバーフリー走行」を通じて、数多くの車両がクラッシュし、中には翌日の決勝出走を断念せざるを得ないほどの深刻なダメージを追ったマシンもいたわけですから。

 決勝日の日曜の予報は晴れ時々曇り。予選の鬱憤を晴らすような痛快な走りを期待しましょう!




●11月4日(日)
  AM8:20〜8:50
 フリー走行

 土曜は幾分早めにサーキットから引き上げたチームテスタスポーツ。帰り掛けにはポルシェのレーシングマシンのガレージを見学させてもらい、その足で御殿場駅近くの焼肉屋さんに立ち寄って豪勢な夕食をとり、宿に帰還。おかげでメンバーは休養十分で決勝日の朝を迎えることになりました。
  

 土曜の夜半まで激しく降り続けた雨も明け方にはようやく上がり、雨の予選から一夜明けた日曜朝の天気は「曇り」。その頃、決戦の場となる富士スピードウェイは、名物の霧にスッポリと覆われていました。

 幸い、天気予報は回復傾向を告げており、決勝スタートの昼頃迄には晴れ間も覗きそうな展開。あとは、スケジュールの進行につれ、コース上を走行するマシンがウェット路面を急速に乾かしていけば、完全なドライ路面で決勝を迎えることはほぼ間違いのない状況です。

霧にかすむ1コーナー(じつは自陣前から撮影)
PITロードエンドから1コーナー方面

 8時20分からのフリー走行(30分)は、各チームとも決勝を直前に控えての最後の走行となるため、マシンチェックやドライバーの慣熟、そしてレース戦略の確認に余念がありません。

 開始直後は完全なウェット路面。コースインした各車は2分を超えるラップタイムからスタートし、徐々にそのペースを上げていきますが、ここでも
#33・BPビスコガンマRX−7は、唯一2分20秒台のスローなペースから周回を始め、その後2分10秒→04秒→1分59秒→57秒とマイペースで少しずつ刻んでいきました。
 他のクラス3勢はコース状況の好転とともにラップタイムを1分54秒前後までアップ、中でもデフトラブルの癒えた
#27・WAKO’S BMW M3 が常にクラス3集団をリードし、注目を集めていました。#78・WW2 RX−7はマシンチェックを主とした走行に徹し、大苦戦した昨日の予選の記憶を振り払うように周回を続けます。
 結局、このセッションに出走しなかったのは2台。好調を維持していた
#15・C−WESTアドバンRX−7はハーフWETでの不要なリスクを避けたとも考えられますが、#63・エフェクトラックペリティーS15は前日のクラッシュのダメージが酷く、残念ながら決勝出走を断念した模様です。


11/4(日) フリー走行結果 
<クラス3のみ掲載>

1.#27 WAKO’S BMW M3 1'51.293
.#31 ジャラーナTGCシルビア 1'52.937 +1.644
3.#33 BPビスコガンマRX−7 1'54.202 +2.909
4.#71 Power MagiC RX−7 1'54.376 +3.083
5.#14 科芸専エクシーザ村松建具RX−7 1'55.634 +4.341
6.#78 WW2 RX−7 1'58.732 +7.439
− #15 C−WEST アドバンRX−7 出走せず ― 
− #63 エフェクトラックベリティーS15 出走せず ― 




●11月4日(日)
  AM10:15〜11:15
 PITウォーク

 緒戦TIではちょっとした感動のあったPITウォーク。舞台が首都圏に近いFISCOとなれば、押し寄せる観客も半端な数ではありません。

 チーム・テスタスポーツのPITは1コーナーに程近いPITレーン端に位置していましたが、隣りのPITでかなり熱気を帯びた撮影会が始まったこともあって(笑)、訪れる観客が終始途絶えることはありませんでした。
 そして幾人もの観客が私達の78号車の前で足を止め、
「Come Back to  Motorsports, MAZDA!!と記したボンネット上のWW2ステッカーを注視して行く様子が見られました。
客観的な構図でしょ・・・(^^ゞ

あの後ろ姿は・・・Yasuさんですね(^^)  おおぅ、これがウワサのWW2でねぇ〜か(想像です)

 
今回は諸事情により、TIで行なったようなWW2メッセージ配布はせず(プレスリリースを忘れて来たというウワサも・・・)、PITウォークが落ち着きを見せた頃を見計らって、こーぢさんと私は克ちゃん一人に現場を任せて、PITレーンを行き交う群集に混じってクラス3のライバル偵察を敢行したのでした・・・。



 
チャンピオン争いは既に前戦で決着済みであり、クラス3のエントラントには張り詰めたような雰囲気こそ皆無でしたが、各チームともに、今年のシーズンの締めくくりとなる最終戦・富士に賭ける意気込みがヒシヒシと伝わって来ました。もちろん、遠路遥々駆け付けた私達チーム・テスタスポーツとてその思いは一緒です。

 もう一方のPITロード端までの長旅を終え、私達二人が再び44番PITに戻って来たちょうどその時、ピットウォーク時間の終了を予告するFISCOオフィシャル達の笛がPITレーンに鳴り響き始めました。
 いよいよS耐最終戦・Super−TECのスタート時間が刻一刻と迫ってきていました。


 
→ S耐第8戦の決勝レースレポートは
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