14.WW2、かく戦えり(前編) (2001/09/23・記)


 
スーパー耐久2001年シリーズの第6戦・TI400kmレースは、結成して丸2年を迎えたWW2にとって、新たな展開へ果敢にチャレンジした記念すべきレースとなりました。

 これまで私達がサーキットで行なってきた主な活動は、サーキットを疾走するMAZDAのプライベーターのマシン&チームに声援を送ることでした。今回はこのスタンスから大きく一歩踏み出し、WW2メンバーでもある新宅文亮選手の公式レース復帰をサポートするカタチで、スーパー耐久のクラス3にRX−7を仕立てて初出場する広島のチーム、
チームテスタスポーツさんに密着、WW2メンバー有志により、エントリー作業からマシンの製作の手伝い、果てはPITスタッフへの人員派遣まで、数々の初経験となる領域に足を踏み入れ、より積極的なサポート活動を行なったわけです。
 そのひとつの証しが
WW2 RX−7というマシン名であり、私達のテーマカラーであるグリーンオレンジのCHARGEカラーをあしらったそのカラーリングと言えるでしょう。

 御存知のように、WW2はMAZDAのモータースポーツ復帰を強く願う人達が集結したプロジェクトの名称であり、レーシングチームに活動資金をもたらすスポンサーではありません。そんな私達の活動コンセプトを理解してくださり、栄えあるマシン名に加えて頂いたチームの方々に対し、私達は精一杯の人的支援で応えることを約束するとともに、この機会を生かして、WW2の活動を強くアピールすることを誓ったのでした。

 こうして、激戦区・クラス3の新顔として颯爽と登場したチームテスタスポーツのマシン「WW2 RX−7」の奮闘の模様を、WW2サポートメンバーの活躍も交えながらお伝えしていきたいと思います。




●9月7日(金)
 S耐占有走行日

 前夜まで不眠不休のハードワークを続けた甲斐あって、チームは当初の予定通り、金曜の早朝4時に広島を出発。晴れの舞台となるTIサーキットへ向かいました。

 今回、WW2メーリングリストでの募集の呼び掛けに快く応じてくださり、S耐TI戦のPITスタッフとしてチームと3日間帯同することになったメンバーは、
Kojiさん、克ちゃん、こーぢさん、ケタップさんの4名。金曜から始まるレースウィークに備え、皆さん会社の休暇をやり繰りしての参加となったわけで、皆さんの熱意には本当に頭が下がる思いです。

 Kojiさんと克ちゃんは、広島・宇品を出発した積車&1BOXの一行に加わって移動を開始。前作のWW2レポートに掲載した積車上のマシンの画像は、走行中の車両から克ちゃんが決死の撮影を敢行してくれたものです(^^)。


 
一方、こーぢさんとケタップさんはそれぞれマイカーで現地へ直行。ちなみにこのお二人の愛車は共にRX−7(FD3S)。チームがこれから走らせるマシンと全く同じクルマであるというのは、何かを意図してのことかどうかは定かではありません・・・。
 少なくとも、外観周りのパーツは問題なく利用可能な感じですね(笑)。
サーキットロッジの前で仲良く・・・(^o^)丿

 
今回チームに割り当てられたPITは、中間地点からはかなり1コーナー寄りとなる15番PITのA。その両脇はクラス1のトトムレーシング(スカイライン)とクラス4のR.T.アンクル(インテグラ)という豪華な顔ぶれです。
 じつは私達のPIT奥には運良く手洗い場が設置されており、この後レースウィークを通じ、近隣のPITからも様々な人々が訪れて利用することになるのでした・・・


メインスタンドからパチリ


 
早朝にサーキット入りし、慌ただしくPITやテントの設営から始めるというHARDなスケジュールの初日・金曜、この日チームテスタスポーツは午前中の占有走行セッションをキャンセルし、マシンの準備作業に専念。一週間前のテストでやっと初走行したばかりのマシンを、400kmもの過酷なレースに送り出すにはまだまだ多くの仕事が残されていました。78番のゼッケンや真新しいWW2ステッカーも、この日にようやくボディへ貼付けされたとのことです。


新サブタイトルは「Come back to Motorsports, MAZDA!!」

◆   ◆   ◆   ◆   ◆

 ここで、スタッフの宿泊先であるTIサーキット内ロッジでの話。

 じつは今回のWW2サポート隊4名にチームから割り当てられたベッドは3つ。この限られた椅子、いやベッドを巡って壮絶なWW2ジャンケン大会が勃発した模様。運悪く貧乏くじを引いた方には、寝袋とともにロッジの床が用意されるという過酷な睡眠コースが・・・。慣れないPIT作業で疲れも溜まっているうえに何とも非情な仕打ちでしたが、噂によればその夜強烈なイビキで猛反撃に出たとか出ないとか・・・(こー●さん情報・以下自粛)




●9月8日(土)
 AM7:00〜
 公式車検

 土曜からはYasuさんが加わってWW2サポート隊は5名体制に。Yasuさんは新宅選手から直々に依頼を受けて主にVTR撮影を担当し、ビデオカメラ片手にパドック〜PIT〜メインスタンドと忙しく往復する日々が始まりました。また、janさんと私Nukupeeも(日帰り強行ながら)この日から参加、パドックにお邪魔して見学や撮影、そして手伝いを開始しました。

 ちょうど朝7時過ぎに私達2人がバドックに辿り着いた時、マシンは公式車検を受けるため、PITから車検場への移動を開始した瞬間でした。


 
「皆で押して行ってあげて!」

とのチーム監督の声に群がる人・人・人・・・。最終コーナー手前にある車検場までの距離は数百メートル、3〜4名のPITクルーが付き添う他チームをよそに、私達のマシンの周りには十数名の人が大挙して群がるという異様な光景が展開されていました(笑)。
 もちろん、ここに集結した皆さんの胸中には、この一年余り、決して諦めることなく地道に製作作業を続け、ようやく公式レース出走に漕ぎ着けたこのマシンが、車検という最初の関門を迎えるのをしっかりと見守りたいという、ただならぬ思いがあったわけです。

C−WEST号と前後して車検場入り
総勢15名はS耐新記録か!?

手前の貫禄ある方はチーム監督ではありません(笑)
いよいよ車検ブースへ突入・・・

 こうした皆の思いが通じて初の関門も問題なく無事通過!・・・といきたかったのですが、78号車はオフィシャルCheckの洗礼を受けることに。

 無事にマシン下回りの検査を通過し、あとは外観のみとなったところで、オフィシャルから
リアウィングについての指摘がありました。
 78号車に装着されていたのはごくごく一般的なハイマウントタイプのGTウィングですが、オフィシャルによるとリアウィングはマシンの全長内に収まっているだけでなく、上から見た時に
ボディライン内からその一部がはみ出してはならないとのこと。
 たしかにリアウィングの両端部分が、大きな弧を描くFD3Sのリアコーナーのボディラインから十数センチはみ出しています。なるほど他チームのGTウィングがやや外観上のインパクトを欠いていたのは、こうした理由でマウント位置が不自然だったり、必要以上に前傾されてセットされていたことが原因だったわけです・・・。

 その他、ボンネットのキルSW表示の大きさや、シートベルトの這わせ方についても若干の指摘を受けましたが、リアウィングの件に比べれば些細な項目でした。
 予期せぬ展開に私達は暗い雰囲気に包まれかけましたが、一同気を取り直してPITへと帰還。早速、リアウィングのマウント位置を前方移動させるという突貫作業に取り掛かったのでした。


ついでにここも修正しとこっ(^○^)
カラーリング微修正中





 結局、リアウィングのマウントをリアガラスギリギリまで寄せて穴位置を決定。その際、ウィングステーの旧位置に残ったカッティングシートの貼り跡は、ケタップさん克ちゃんが予備のシートを持ち出して来て見事な早業で補修を済ませ、あっという間にマウント位置変更の作業は終了しました。

 これにはただただ呆然と一部始終を見守るしかなかった私でしたが、WW2サポート隊の面々は帯同2日目にしてすっかりチームに溶け込んでおり、意気の合ったところを見せ付けてくれたのでした(^^)。



●9月8日(土)
  AM9:35〜10:20
 フリー走行

 
車検でのドタバタ劇もオフィシャルの再チェックを受けなんとか一件落着。チームは平穏さを取り戻し、午後の公式予選に向け最後の走行となるフリー走行の時間を迎えました。

 リアウィングのマウント位置変更に伴ってウィング角度も若干変更。これまでのマシンバランスと違和感が生じていないかの心配もあります。中古のスリックタイヤを装着し、マシンチェックを兼ねての走行に臨むことになりました。
見よこのマウント位置!(笑)

 
新宅選手のドライブでコースインし、数周おきにPITインを繰り返しましたが、その都度エンジンの再始動に若干時間を要しました。燃料系統の温度上昇によるパーコレーションが予想され、チームは多めに燃料を補給して燃料の温度を下げるなど対策を試みましたが、新宅選手から伊藤選手に交代した直後はとくにスタートに手間取り、決勝での交代シーンを想定するとやや不安な面も残しました。


コース復帰後のマシンチェック中


 
しかし、その後は伊藤選手のドライブによってベストタイム1分47秒144を記録。このタイムは金曜午後のフリー走行で出したタイムを上回り、クラス3のトップタイムを叩き出したC−WEST RX−7からは約4秒落ちのタイムでした。今回が実質のシェイクダウンレースであることを考慮すれば、決して悪くないタイムと言えるでしょう。

 セッション中盤、1コーナーでのオーバーランでタイムロスしましたが、無事コースへ復帰。ダメージも比較的軽く、フロントバンパー下部を少し擦った程度でした。幸い、予選開始までは長いインターバルがあり、フリー走行終了後、チームはラジエーターダクト内のネットの張替えと、リップスポイラー部のカラーリング補修作業を実施して、14時30分からの公式予選へ備えました。



◆   ◆   ◆   ◆   ◆

 チームが一息付いたお昼過ぎ、PITウォークの時間を利用して、私達のいるパドックをヒョッコリ訪れてくれたのが、鳥取・倉吉から駆け付けてくれたWW2メンバーのしゅんさんでした。
 しゅんさんは朝から携帯Eメールで私に連絡をくれていて、予告通りご家族連れで登場されたわけですが、じつは我達は顔を合わせるのは今回が初めてでした(^^)。メンバー同士の挨拶もそこそこに、今回のマシンの製作経緯や現在のマシンコンディションについて一通りお伝えすると、それまでスタンド側からPITを観察していたしゅんさんからは
「鮮やかなカラーリングがとても目立っててイイですよ!」との嬉しい報告が。\(^o^)/
 カメラ片手にPIT内の78号車を激写されていたしゅんさん。午後の予選では一層張り切ってWW2 RX−7の勇姿をファインダーに収めることを約束し、過ぎ行く時間を惜しみながら再びメインスタンドへと戻って行きました。
 しゅんさんの作品にも乞うご期待です!(^^)





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