発起人メンバーの二年越しの思いをのせて、SS.ROYAL・RX−7と共に2000年・国内スーパー耐久シリーズにデビューしたWW2ステッカー。 緒戦のMINEではトラブルにもめげず見事にチェッカーを受けたものの、規定周回数に届かずに惜しくも完走とは認められませんでした。 しかし、我々のメッセージをリアバンパー左にしっかりと刻んだRX−7が、颯爽とMINEのメインストレートを駆け抜け、タイトコーナーでライバルに真剣勝負を挑む姿に、スタンドの我々も思わず興奮状態。ふと気が付けばそこには、席を立ち、腕を振り上げ、まさにチームやドライバーと一体になってレースを追う自分達の姿がありました。 |
……これだ、…この感覚だ! 私には10年前の微かな記憶が蘇っていました。 あれはJSPC第3戦の’90全日本富士500マイルレース。真夏の容赦ない日差しの下、800kmにも及ぶ長丁場のレースのその終盤、序盤のトラブルを克服して狂ったように猛追する星野一義/鈴木利男組のカルソニック・ニッサンR90CPと、その大きなプレッシャーを受けながら表彰台の一角を守り抜くべく必死に逃げるD.ケネディ/P.デュドネ組のアートマツダ787。メインスタンドをぎっしり埋めた観客の目はすべてこの2台のマシンによる3位争いに注がれたのです。 序盤のトラブル修復のピットインで燃料残量にたっぷりと余裕が生まれ、目一杯ブーストを上げ驚異的なペースで周回するターボマシンR90CP。一方、コンスタントな走りでひたすらゴールを目指す自然吸気マシンの787。両車のLAPタイムの差は傍目にも明らかでした。削り取られていくタイムギャップと、減っていくレースの残り周回数…。ついに同周回に追い詰められ、やがて数十秒差にまでなったマージンがどこまで盾となり続けられるのか…。 全179LAPの戦いの残り数周というところで、ついにNISMOファンの歓声とMAZDASPEEDファンの悲鳴が交錯する瞬間が訪れました。 それは、マツダのマシンを見つめるファンが容赦なく大声を張り上げ、悔しさを露わにしたレースでした。結果的に負けはしましたが、観客の目をクギ付けにした戦いを演じた201号車〜白と水色のツートーンのマシン〜が、いつになく輝いてカッコ良かったレース。 …私はその時の忘れ得ない興奮を思い出していました。 |
こうして迎えた6月12日のTI400kmレースは、2000年スーパー耐久シリーズの折り返しにあたる第4戦。第2戦・仙台と第3戦・鈴鹿を欠場したSSロイヤルチームにとっては、開幕戦MINE以来の3ヶ月ぶりのレースとなりました。 S耐TI戦レースレポートはこちら これは、初ポイントを期待して応援に駆け付けた我々WW2メンバーに見事応えてくれた素晴らしい戦績といえるでしょう。 |
S耐 3クラス・ポイントランキング(第4戦TI終了時点) | Pts | ||
1位 | #7 | アルゴラボ プレリュード(桧井保孝組) | 72 |
2位 | #33 | BPビスコガンマRX−7(三好正己組) | 47 |
3位 | #71 | Power Magic RX−7(関根基司組) | 38 |
4位 | #15 | シーウエストアドバンRX−7(尾本直史組) | 27 |
5位 | #3 | オウルージュBPμDL RX−7(保田健雄組) | 20 |
6位 | #47 | Daisy Art RPアドバン(市川芳邦組) | 10 |
6位 | #62 | オートバイテルン アメリカンR・S (高橋一穂組) | 10 |
6位 | #18 | SS.ROYAL RX−7(伊藤隆文組) | 10 |
※ #47はBB4プレリュード、#62はS2000 |
しかし、今回のTI戦では我々にとって少しショッキングな事実も明らかになりました。 N1耐久と呼ばれていた時代から長年、SSロイヤルチームのドライバーを務めてきた新宅文亮選手の名前が、今回ドライバーラインナップから消えてしまったのです。 チームは代役として、過去に18号車をドライブした経験のある梶岡悟選手を再起用し、伊藤選手・新田選手と共に今回のTI戦を戦いました。 SF広島主催のTI走行会では、いつも18号車を持ち込みデモ走行を披露してくれたSSロイヤルチーム。毎回そのドライバー役を務めていた新宅選手は、マシンの都合がつかない時も必ず姿を見せ、参加者へのドライビングアドバイスを忘れませんでした。 その新宅選手のいない18号車のコクピットとエントリーリストに、我々は正直、違和感を覚えずにはいられませんでした。 昨年10月にWW2ステッカーを直接手渡し、我々の思いを託した新宅選手。記念すべきWW2初完走の瞬間を、この英田の地で一緒に迎えたかったことは言うまでもありません…。 WW2の次なる目標は表彰台です。 依然、残りシーズンの参戦計画の不透明なSSロイヤルチ−ムですが、前半戦の2戦を戦い終えて徐々に調子は上向いてきており、応援する側としても一刻も早く次なる戦いに挑んでもらいたいところです。 そして、過酷なレースをステディに戦い抜き、あのグリーンのレーシングスーツが表彰台の上で小躍りするその瞬間を待ちたいと思います。 …願わくば新宅選手とともに…。 |