スーパー耐久シリーズ2008  第5戦

OKAYAMA 500km Race


9月6日(土)〜7日(日) @岡山国際サーキット


(画像提供:こーぢさん)



 
4月の鈴鹿戦で幕を開けたスーパー耐久シリーズ2008は、7月の十勝24時間で第4戦まで終了。全7戦のシーズンの折り返し地点を過ぎ、第5戦の岡山国際戦から後半戦に突入します。

 この岡山国際サーキットを舞台としたスーパー耐久レースは、長らく400kmレースとして開催されていたのですが、昨年からレース距離が100kmほど延長され、より耐久色の濃い「500kmレース」として行われることになりました。


 国内外の量産車をベースにした改造車両で争われるこのスーパー耐久レースに、現在唯一のマツダ車として参戦しているマシンが
マツダRX−7。このシリーズの中でも最も多彩なマシンバラエティを誇る「ST−3」クラスに属しています。
 かつてはこのクラスで無敵を誇り、一時代を築いたRX−7も、ここ数年はライバルマシンの台頭や、性能調整を目的としたレギュレーション変更などの結果、相対的な戦闘力低下に見舞われ、2006年の年間チャンピオン獲得を最後に、昨年、今年となかなかシリーズポイント争いの主導権が握れない状況が続いています。

 その昔、RX−7がクラス最強だった時代に唯一の死角と言われていたのが燃費。
 
ホンダプレリュードホンダS2000BMW M3といった当時のライバル勢に対して、給油のためのピットイン回数が増えてしまい、コース上では圧倒的な速さを見せながらもクラス優勝をさらわれるシーンを幾度となく見せつけられたものです。
 その後、レギュレーション改正で全車2回のピットインが義務付けられ、ピット回数のハンデは解消したものの、ガソリン消費量の多さはトータルの給油時間が長くなることを意味し、その分のマージンをコース上で稼いでおかねばならないという宿命は常に付きまといました。ところがここ最近は、RX−7の頼みの綱だった一発の速さにおいても、ライバル勢の後塵を拝するケースが増えてきているのです。

 そうした不利な状況を反映してか、2008年にシーズンエントリーしたRX−7は実質1台のみというところまで勢力が衰退。そして、マツダロータリーのお膝元・広島に程近いここ岡山国際サーキットに姿を見せたRX−7も、スポット参戦組を含めてたったの3台。
 生産中止から早6年が経過しているという事実を考慮しても、このS耐でRX−7が絶大な存在感を示していた時代を知る者からすると、寂しい限りの状況です。


 しかし、そんな逆境などはね退け、サーキットで活躍を見せるMAZDAのマシンを力強く応援すべく、今年もWW2は、ST‐3クラスに
#78・WW2 RX−7でスポット参戦するチームテスタスポーツへのサポート活動を行っていきます。
 

 



<スタート進行>
 13:00〜13:20


 今年の公式予選では、年1回のスポット参戦チームというハンデを克服し、
クラス2位というかつてない好位置を獲得しサプライズを巻き起こした#78・WW2 RX−7
 助っ人として加入した檜井保孝選手と、我がチームきってのアタッカー・伊藤弘史選手の両ドライバーの合算タイムによる殊勲の結果で、チームが目標としていたRX−7勢のトップを獲得しただけでなく 開幕4連勝中のクラス最強マシン・フェアレディZや、レース巧者のBMW M3を全車蹴散らすという、極めて痛快な予選結果でした。

 そして、総合12位というグリッドポジションは、ST−2クラスやST−1クラスのマシンの何台かを従えるほど、途方もなく前方のグリッド。
 決勝前のスタート進行を迎えるダミーグリッドの周辺の風景も、毎年チームメンバーが通い慣れた最終コーナー寄りのいつもの雰囲気ではなく、その反対側、もう少しでコントロールラインに手が届くという未踏のエリアでした。
 前方よりも後方に見えるマシンの数の方が多いだけで思わず落ち着きを失ってしまいそうなのに、フロントローのマシンさえ余裕で視界に入る6列目のポジションとあっては、私達に興奮するなというほうが無理な状況です(笑)。

 しかし、このダミーグリッドに辿り着くまでの僅かな時間に起こった一連の出来事は、この過去最高のグリッド位置を放棄せざるを得ないと覚悟したほど、リスキーな綱渡りを強いられるものでした。



■天候急変と大混乱■

 
思えばその兆候は、朝の30分間のフリー走行を終えた頃からありました。

 決勝日を迎えた岡山国際サーキットは朝から穏やかな好天に包まれていたものの、1コーナー方面の遠く彼方の空だけはどんよりと暗く、どこかスカッとしない雰囲気を醸し出していたのです。
 この様子を見て、
T−eMさんが携帯サイトで周辺の気象情報を収集すると、岡山県の周辺一帯は見事なまでに雨雲に包囲されており、むしろここサーキットで雨が降っていないことが不思議に思えるほど。


インタビューを受ける直前の様子

 そして、その嫌な予感は現実のものとなります。

 11時50分から始まったピットウォークの途中、それまで持ち堪えていた空が遂に大粒の雨を落とし始め、瞬く間にピットロードは水浸しになっていったのです。この天候の急変に、それまでピットエリアを闊歩していた大勢の観客達もさっと潮が引くように姿を消していきました。

 今回のピットウォークの時間では、3人のドライバーが初のTV取材を受けるなど、従来とは趣きの違った時間を過ごすことになった私達のピットでしたが、その余韻に浸っている暇はなくなり、チームは慌ててマシンをピット内に押し戻し、じっと空模様を見つめます。

 時刻は12時30分。コースイン開始の時間があと30分後に迫っていました。

 実は、朝から雲行きに不安を感じつつも、私達は楽観的に考え、ウェットのレースなど全く想定していませんでした。ま、実のところは無理矢理意識の中から排除していたという方が正しいのですが・・・。
 よって、この期に及んでも「まさか」との思いは強く、再び電話やWebを駆使して周辺の気象情報をかき集めますが、入手情報は何れもこのまま降雨が続くことを連想させるネガティブなものばかり・・・。檜井選手が某大会関係者から入手した有力情報もその例に漏れず、暫くは止みそうにないとの内容でした。
 最終的にはこの一報が決め手となり、ついにチームは檜井選手を中心にひとつの決断を下します。

 それは、ブレーキパッドの再交換レインタイヤの準備
 
 今回、チームは予選の余勢をかって、フリー走行終了後にブレーキパッドをより制動力の高いタイプに変更するチャレンジをしていました。しかし、目前に広がるようなウェット路面を想定した場合、従来のコントローラブルなタイプの方が有利であることは疑いようがなく、再交換を決めたわけですが、パッドとローターをセット交換する必要があったため、ピットは慌しくその作業に着手しました。
 また、レインタイヤに至っては前述の通り、完全に想定外の事態。悪いことにチームは昨年タイヤ銘柄を変更したばかりで、ピットには練習走行で使い込んだ1セット分しか手持ちのタイヤがなく、止む無く決勝直前になってタイヤサービスに駆け込み新品を1セット調達することになりました。


 こうして皮剥きもされていないヨコハマの真新しいタイヤが私達のピットに運び込まれた頃、ブレーキパッドとローターの交換作業はまだ続いていました。作業自体の難易度というより、エンジンのウォームアップやコクピット準備と作業が輻輳すること、そして何よりも時間的猶予が殆どないことがチームに焦りとプレッシャーを与えます。
 決勝のダミーグリッドに向かうためのピットロード出口オープンは
13時
 そこから出口がクローズされる
13時5分までの5分の間にマシンを送り出すことができなければ、華やかなダミーグリッドへの道は閉ざされ、その瞬間にピットスタートが決まってしまいます。
 例年であればとっくにスタートドライバーが乗り込み、じっと待機しているはずの時間帯に、私達のマシンはまだジャッキアップされて黙々と作業中という危機的状況。まさに時間との戦いで、残り時間をカウントダウンする私の声にも思わず力が入ります。

 そして、コースイン開始まで5分となった
12時55分に、ようやく交換作業は完了。
 しかし、すぐにでも着手すべきタイヤ装着をチームはまだ迷っていました。なぜなら私達は、競技長の
ウェットレース宣言がない限り雨用タイヤの装着が許されないとのルール解釈から、ギリギリのタイミングまでその宣言の行方を見届けていたのです。

 結局、13時直前になってもウェットレース宣言がされた確証をつかめず、チームは予選時にマーキングされたスリックタイヤを装着して、雨の中マシンをダミーグリッドへ向かわせることにしました。となればダミーグリッド上でのタイヤ交換作業が発生するため、檜井選手を送り出すとすぐ、溝付きタイヤ4本とエアボンベを携えたチームクルーがピットレーンへと飛び出していきます。

 
ちょうどその頃、皮肉にもに私達の目に入ってきたのは、遠く霞むコントロールタワー上に掲げられた「WET RACE」のボード(-.-)。
 ピットアウト直前まで散々ヤキモキさせられた上に、何故コースインが始まったのを見計らったようにボードが提示されるのか、私達にとってはおおよそ合点がいかない大会側の動きでしたが、後で規則書を熟読してみると、雨用タイヤの使用制限はドライタイヤほど厳格ではなく、公式予選のセッションを除けば、ウェットレース宣言とは無関係で使用可能であるらしいことが判明・・・。またもや、実体験を通して正しいレギュレーション解釈を学ぶハメになりました。

 しかし、結論から言えば、規則の誤解からピットで雨用タイヤに交換するチャンスを失ったことは、その後の私達のレーススケジュールに何ら影響を及ぼすことはありませんでした。なぜなら、ピットアウトの直後にパタッと雨は止み、陽射しまでも復活。直前までの降雨がまるで嘘のように、スタート進行の間に路面が急速に乾いていったのです。ダミーグリッド上のタイヤ交換は不要となり、緊急配備したタイヤとボンベはそのまま撤収の途につきました。


準備したウェットタイヤとともにグリッドから退散


 突然の降雨に端を発した30分間ほどの騒ぎを振り返ってみると、そこに残ったのはブレーキパッドが従来のものに戻されたという一つの結果。
 決勝レースでも果敢に攻めの走りを標榜していたこと、またその実現をWW2メンバーの献身的な貢献が支えたことを考えると、新パッドのお蔵入りは無念としか言いようがありませんが、その間に強いられた綱渡りの作業を思えば、総合12位という過去最高のダミーグリッド位置を放棄することなく、決勝レースに臨むことができただけでも良しとすべきかもしれません。

 Aドライバーの檜井選手にスタートを託された78号車は、実績あるブレーキパッドと共に、長い長い500kmの戦いへと旅立っていきました。


≪決勝レース≫


<スタート直後>
 〜13:30

 昨年からレース距離が500kmに延長され、総周回数が135周となった岡山戦。
 私達チームテスタスポーツの今回の想定周回数は、総合トップから9周遅れの126周で、昨年を1周上回る数字です。
 チーム過去最速の予選タイムを引っ提げて臨む今回の決勝レースでは、走破周回数でも同様にチーム記録の更新を狙います。



 13時27分、ポールシッターの
#10・Cenote ADVAN Zを先頭に、いよいよレースはスタート。日曜午後の長丁場の戦いの火蓋が切って落とされました。
 昨年はオープニングラップでST−3クラスのZ33が5台も犠牲になる大アクシデントが発生しましたが、今年は比較的クリーンなスタートが切られたようです。

 そんな中、予選が不本意な結果に終わったマシンやドライバーにとってここは絶好の名誉挽回のチャンス。スタート直後の超接近戦の中で虎視眈々とポジションアップを狙っていきます。


◆ST‐3クラス順位◆

経過時間: 0H 02M  (周回:  1/135 LAPS)
      
総合11位 #39  TRACY SPORTS eeiA NSX 1LAPS
総合12位 #78  WW2 RX-7 1LAPS
総合15位 #333 エクセディ H.I.S. イングス Z 1LAPS
総合16位 #777 屏風浦工業 ニューテック Z 1LAPS
総合17位 #14  岡部自動車 ディクセル RX-7 1LAPS
総合19位 #27  FINA GSX ADVAN M3 1LAPS
総合20位 #15  岡部自動車 ディクセル Z 1LAPS
総合21位 #38  MSF&ケーズパワー NSX 1LAPS
総合22位 #113 UNIT Racing ☆ ings Z 1LAPS
総合24位 #19  高見沢整骨院☆真東☆TC神戸 Z33 1LAPS
総合25位 # 7   ドリームエンジェル アドバン RX-7 1LAPS


 

◆     ◆     ◆     ◆     ◆


 私達の#78・WW2 RX−7もアクシデントに巻き込まれることなくスタートを切りましたが、2周目ですぐ背後につけていたZ33勢2台に相次いでパスされ、ST−3クラスの2位から4位まで後退します。
 さらに、後続のクラス5位・
#14・岡部自動車
ディクセル RX−7以下の集団も僅差で連なっている状況で、はたして78号車はこのままズルズルと中位集団に飲み込まれてしまうのか・・・私は序盤の戦いの趨勢を占うべく、タイミングモニターを固唾を呑んで見守っていました。

 しかし、3周目以降、レースがひとまず落ち着きを見せ始めた頃から、状況は次第に変わっていきます。

 まず、一時は0.3秒差まで縮まった#14とのギャップを、スタートドライバーの檜井選手がラップタイムを1分44秒台に入れ、ひとまず0.6秒差まで押し戻します。
 これをきっかけにして形勢は逆転。
 すかさず#14も43秒台までペースを上げて追従の構えを見せるものの、檜井選手の駆る78号車はそれを上回る勢いでペースアップ。5周目には早くも42秒台をマークし、両車の差はあっという間に2秒まで拡大しました。
 
ここまでの状況を見る限り、スタート直後のポジションダウンは、タイヤが十分なグリップ力を発揮するまでやや時間を要したことによるものかもしれません。


 私は、今レースウィークを通じて好調な檜井選手と78号車のコンビネーションをもってすれば、決勝レースでも43秒台での安定した周回が可能なのでは?と大きな期待を寄せていました。
 果たして檜井選手は、フルタンク状態の序盤から早々に43秒台に突入しただけでなく、一昨年の78号車の予選タイムに匹敵する42秒台までマークするなど予想以上の速さを披露。これはST−3
クラス勢の中でも際立つハイペースで、この後の一大パフォーマンスを予感させるに十分なものでした。

 
土曜の公式予選で過去最高のクラス2位を獲得した78号車の勢いは、この決勝レース中も途切れることなく続いていたのです!


◆ST‐3クラス順位◆

経過時間: 0H 12M  (周回:  5/135 LAPS)
      
総合13位 #39  TRACY SPORTS eeiA NSX 5LAPS
総合14位 #333 エクセディ H.I.S. イングス Z 5LAPS
総合15位 #777 屏風浦工業 ニューテック Z 5LAPS
総合16位 #78  WW2 RX-7 5LAPS
総合17位 #14  岡部自動車 ディクセル RX-7 5LAPS
総合19位 #27  FINA GSX ADVAN M3 5LAPS
総合20位 #15  岡部自動車 ディクセル Z 5LAPS
総合21位 #113 UNIT Racing ☆ ings Z 5LAPS
総合23位 # 7   ドリームエンジェル アドバン RX-7 5LAPS
総合24位 #38  MSF&ケーズパワー NSX 5LAPS
総合25位 #19  高見沢整骨院☆真東☆TC神戸 Z33 5LAPS

 


オ-バーテイクショー、始まる

 
檜井選手は10周目に78号車の今レース中のベストタイムとなる1’42.949をマーク。
 すでにこの頃、後続の
#14・岡部自動車
ディクセル RX−7とのギャップは5秒以上も築かれ、逆に、一度は先行されたクラス3位の福山選手の#777・屏風浦工業ニューテックを0.3秒差まで追い詰めるという気迫の走りを見せていました。

 
すわ再逆転か?とチーム全員が早くも色めき立ちますが、ここで後方から追い上げるST−2クラスのマシンが両車の間に割って入り、バトルは一旦水入りとなりました。

 

クラス3位を走行する 
#777・屏風浦工業ニューテックZ
クラス5位を走行する
#14・岡部自動車ディクセルRX-7

 


 その後、再び
#777・屏風浦工業ニューテック#78・WW2 RX−7のバトルが再開しますが、実はこれ、クラス2位の座を巡る争いに局面が変わっていました。
 なぜならこの時すでに、クラスポールからスタートし2位に陥落していた
#39・TRACY SPORTS eeiA NSXを、#777と#78は相次いでパスしてきていたのです。
 予選ではあと一歩届かなかった#39をコース上のバトルで堂々とオーバーテイクしたことは、ピットで78号車の走りを見守る私達自身にとっては大きなサプライズでした。
「NSXはタイヤがキツいので抜けるはず」とレース前に語った檜井選手の見事なまでの有言実行。私達はこれに大いに感動すると同時に、大きな自信と勇気をもらった気がしました。


 途中でST−4クラスの周回遅れの処理が入ったため、一時的に両車の差は開きますが、すぐにその間隔が詰まってしまうところを見ると、明らかに#78の方が余力がありそうな雰囲気です。 

 そんな檜井選手の快進撃の様子はタイミングモニター上でも手にとるように判りましたが、私達が何よりも驚いたのが、この頃には場内放送のライブ中継画面に78号車の姿が大映しになっていたこと!!
 正直、78号車の戦う様子をサインガードやタイミングモニター以外の情報源から得ることができるなんて、私達にとって俄かに信じられない出来事であり、メンバーの誰もが興奮を禁じ得ません(笑)。
 その証拠に、例年であればこの時間帯、チームメンバーはスタート前後の緊張から解放され、ピットやテント内で思い思いに休憩をとっているはずなのに、皆がピット内の小さなTVモニター前に集結し、固まったようにその映像に釘付けとなっていました。
 そこで、私がここぞとばかり、タイミングモニター用として準備してもらった大きな液晶モニターを同じチャンネルに切り替えて78号車の雄姿を大映しにすると、PIT内は歓声と笑顔に包まれました。


 
そして私達の興奮のボルテージは、23周目に最高潮に達します。

 クラス2位の#777と0.4秒差でコントロールラインを通過した78号車は、アットウッド入口で#777の真後ろまで迫り、続くバックストレートでは早々に大柄なZ33のスリップに入ります!
 これを嫌ってマシンをジワッと右に振った福山選手に対し、檜井選手は左側にマシンを振り、2台並んだままストレートエンドのヘアピンへ。アウト側のレコードラインをキープする78号車に対し、イン側の#777が僅かに鼻先を出した状態でコーナリングを開始しますが、ここで檜井選手はイン側の福山選手に対して一気にすっとマシンを寄せ、TVモニターを注視していた私達もすわ接触か!と思わず息を飲みます・・・。
 しかし檜井選手は、そのフェイントアクションに続けて、レコードライン上のグリップの有利さを生かし、福山選手のすぐアウト側にピタッと追従したまま右ヘアピンを併走。続く左のマイクナイトコーナーに、イン側を確保したままアプローチ! 
 
「おおっ!」と我々が声を上げる中、78号車はこの下りの左コーナーを見事に制し、#777を後ろに従えたまま続くウィリアムズコーナーを立ち上がっていったのです。

 TVモニターに映し出された#78のバトル、そしてオーバーテイクシーンに、私達は全員で大声を上げて
ガッツポーズ!!
 コース上での熾烈なバトルを制し、クラス2位の予選ポジションを見事に奪還。
 ピットで見守っていた私達は大興奮の最中にいましたが、それに加えて、檜井選手と福山選手が終始フェアでクリーンなバトルを展開してくれたことが何よりも爽快であり、誇らしく思えました。 


 ここでST−1/ST−2クラスのマシンにルーチンのピットストップの動きが出始めたため、モニターの中継画像から#78の姿は消えてしまいますが、なおも快調な檜井選手は追撃の手綱を全く緩めず、クラストップを単独走行する
#333・エクセディH.I.S.イングスZとの差を果敢に削り取っていきました。
 第1スティントの猛追劇もいよいよ大詰めを迎えます。



◆ST‐3クラス順位◆

経過時間: 0H 42M  (周回: 25/135 LAPS)
      
総合13位 #333 エクセディ H.I.S. イングス Z 25LAPS
総合15位 #78  WW2 RX-7 25LAPS
総合16位 #777 屏風浦工業 ニューテック Z 25LAPS
総合17位 #39  TRACY SPORTS eeiA NSX 25LAPS
総合18位 #113 UNIT Racing ☆ ings Z 25LAPS
総合19位 #14  岡部自動車 ディクセル RX-7 25LAPS
総合20位 #27  FINA GSX ADVAN M3 25LAPS
総合21位 #15  岡部自動車 ディクセル Z 25LAPS
総合23位 #38  MSF&ケーズパワー NSX 24LAPS
総合24位 #19  高見沢整骨院☆真東☆TC神戸 Z33 24LAPS
   
総合33位 # 7   ドリームエンジェル アドバン RX-7 21LAPS

 

 

<1時間20分経過>
 〜14:45〜


 今回、私は檜井選手の第1スティントの周回数を47周に設定していました。
 3日間の走行セッションからはじき出した燃費データに加え、過去の78号車の実績も考慮して導き出した「堅めの」数字でしたが、時折り42秒台に突入するほどの劇速ペースでの周回となると78号車には全く実績がないため、万一のガス欠発生も考慮に入れながら、チームは早目に1回目のピットストップの準備を開始します。


1回目のPITインのスタンバイ

 昨晩から幾度となく打ち合わせた作業の内容と手順を再確認し、給油担当と消火器担当は耐火服姿へと変身。

 実は1回目のピットストップで行うタイヤ交換の本数は、檜井選手からの提案で、第1スティントでのタイヤの磨耗状況を踏まえて決定することにしていました。しかし、スタート直前の降雨によりピットが緊急作業に追われたため、事前にドライバーも含めた綿密な打ち合わせができず、思い描いていたストーリーは既に狂い始めていました。
 そこで、2回目のピットストップでタイヤを交換する予定がないことと、第2スティントを担当する伊藤選手本人の意向を重視し、定石通りの4輪交換とすることをここで決定しました。

 単純計算では、2輪交換にしてセーブした30秒弱の時間は、その後の80周でコンマ4秒ずつ失えば帳消しとなるわけで、特定のライバルと秒差を争う関係にない限りは、4輪交換してグリップマージンを確保した方が得策だとの判断でした。 
 しかしそれは裏を返せば、年1回のスポット参戦が決定的なハンデとなって、実のところはどのマシンが直接のライバルとなるのか、またそのチームとの実力関係がどうなのか想定し切れていないことを意味していました。毎年ほぼ白紙の状態からレースに臨まざるを得ず、結果的にいつも私達は孤独な戦いを強いられているのです。限りあるレースウィークの時間をフル活用し、意識して情報収集を進めない限り、いつまで経ってもこの状況からは抜け出せないことでしょう。
 これも檜井選手の加入によりチームの意識改革の必要性が浮き彫りになった例だと言えますね。


 さて、ここまでレースはセーフティーカーランもなく順調に経過しており、私が予めホワイトボードに記していたピットストップ予定時刻もほぼオンスケジュールの見込みです。 


モニター上半分の”固定表示枠”に鎮座!
檜井選手の劇走で総合9位まで浮上!!


 31周目に9秒ほどあったST−3クラストップの#333とのギャップは、見る見るうちに6秒、5秒、4秒・・・・と縮まり、1回目のピットストップまでのカウントダウンが進む中で、檜井選手はついに44周目に
0.501秒差にまで肉薄するという、素晴らしい猛追を見せてくれました。

 残念なことに、#333の背後に迫り来る#78の姿が再度場内のTVモニターに映し出されることはなく、その攻防の様子を具に知ることはできませんでしたが、ここまでクラストップ悠々と快走してきた#333に対して、バトルにバトルを重ねてポジションを挽回してきた#78。さすがに第1スティントの終盤までくると、檜井選手の手腕をもってしても、ランキング首位をひた走る常勝マシンを相手に、オーバーテイクを仕掛ける余地を見出すのは容易ではなかったことでしょう。

 しかし、タイミングモニターの経過を見ている限り、78号車がコース上で確実に王者を追い詰めていく過程はスタンドからも一目瞭然だったはず。
 スタートから1時間以上が経過し、やや膠着状態に入りつつあったレースの中でも、バトルの匂いを巧みに嗅ぎ分けられる熱心な観客や、常にレースの行方に注目し続ける関係者、そして当事者に対しても(笑)、その走り、その存在をしっかりとアピールできたことでしょう。




ピットストップの果てに■

 スタートから1時間20分が経過した14時49分、檜井選手は予定通り47周を消化して私達のピットに帰還してきました。幸い、両隣りのチームとピットタイミングが被ることはなく、予めマーキングしていた定位置にマシンは停止。すぐにドライバー交代と給油作業が開始されます。

いよっ、千両役者!!
檜井選手から伊藤選手へ交代

 今回、給油時のトランスポンダー交換にも耐火服の着用が周知徹底されていたため、私達のチームでは第3スティントを走る新宅選手がレーシングスーツ姿でこの作業を担当します。
 従来から正規ピット作業の対象外とされていたこのトランスポンダー交換。給油中の作業も可となった代わりに要求されたこの装着ルールに対し、予備の耐火スーツのない私達のチームはドライバーまでフル動員して対処します(笑)。

 90L近く入ったフルタンク給油が終わると、マシンは直ちにジャッキアップ。タイヤ交換とクールスーツ用の氷の交換作業に移ります。
 タイヤ交換はフロントからリアの順。前夜遅くまでピットレーンで練習した通り、外されたタイヤやナットはサポートメンバーが手際良く片付けていきます。

 予定した作業を全て滞りなく終えて、伊藤選手にGoサインが出されたのが14時51分。私達のピットストップの所要時間は約2分という結果となりました。

 

◆     ◆     ◆     ◆     ◆



 伊藤選手が私達のピットを後にし、78号車が48周目の周回を開始した時、私達のクラス順位は7位と表示されていました。この時点ではまだピットストップを行っていないマシンもあり、暫定の順位に過ぎませんが、第1スティントでは後続マシンが僅差で一列に続く状況だったことから、私達のピットロスタイムがその順位関係にどう影響を与えたかが大変気になるところです。

 そんな中、ドライブを開始したばかりの伊藤選手からピットへ突然連絡が入ります。

 ちょうどコース上を通過するマシンの爆音にかき消され、聞き取れたのは
「タイヤが・・・」という言葉だけ。不確定な情報にピットはトラブル発生の懸念を高めます。
 実際のところ、フレッシュタイヤを得た伊藤選手のラップタイムは我々が期待したペースまで上がっておらず、とりわけコースイン直後は46秒台から47秒台あたりを行き来する状態でした。

 この78号車の思わぬ失速の隙を突くように、井入選手に交代した
#39・TRACY SPORTS eeiA NSXと、小林選手の駆る#27・FINA ADVAN M3が、44秒から45秒台のハイペースでひたひたと背後に迫り、ペースの上がらない78号車を次々にオーバーテイクしていきました。

 

クラス4位に浮上した 
#39・TRACY SPORTS eeiA NSX
クラス5位に浮上した
#27・FINA ADVAN M3


 一時はこのままズルズル後退してしまうことも心配されましたが、幸いにも伊藤選手はその後すぐにペースアップに転じ、10周目を消化する頃には44秒台での周回を開始。私達の不安を一掃してくれました。
 このタイムペースはほぼ想定通りのもので、この時点で大半のライバル勢とほぼ同等。即ち、ポジションキープには十分なペースでした。
 但し、全車が1回目のピットストップメニューを消化したところであらためて順位を整理してみると、背後に従えていたはずの
#777・屏風浦工業 ニューテック Zや、#15・岡部自動車 ディクセル Zにも先行され、順位はクラス6位まで後退していました。
 これはどう考えてもピットタイムの差が出た結果と言わざるを得ません・・・。

 私達は今回、マシンの単発の速さで大きく躍進し、ようやくその存在を誇示することができましたが、レギュラー参戦している常連チームに対して、ピット作業も含めた総合力の勝負となるとまだまだその力量不足・経験不足は明らかで、ダイレクトに勝負を挑める状況にはないことを痛感しました。




<2時間50分経過>
 〜16:15〜


 伊藤選手が快調に44秒台のラップタイムを刻み続けていた頃、ここまで大きな波乱のなかったST−3クラスの上位勢にちょっとした動きがありました。

 スタート後の第1スティントでは檜井選手の78号車とのバトルに敗れたものの、ピットストップで再逆転し、再びクラス2位まで浮上していた
#777・屏風浦工業 ニューテック Zが、90周目を過ぎたあたりで突如ピットイン。マシンは頭からガレージ内へ入り、修復に暫く時間を要する結果となり、上位争いからは全に脱落してしまいました。
 最終的に#777は、レース序盤からピットインを繰り返して大きく遅れをとっていた
#7・ドリームエンジェル アドバン RX−7に次ぐ、クラス10位の位置まで後退しました。


 これで伊藤選手と78号車は労せずしてクラス5位まで復帰。
 その後、
#15・岡部自動車 ディクセルZが早めに2回目のピットストップを行なったため、スルスルとクラス4位まで浮上して、最後のピットインの時を迎えることになりました。


◆ST‐3クラス順位◆

経過時間: 2H 45M  (周回:  95/135 LAPS)
      
総合 9位 #333 エクセディ H.I.S. イングス Z 91LAPS
総合10位 #39  TRACY SPORTS eeiA NSX 91LAPS
総合11位 #27  FINA GSX ADVAN M3 91LAPS
総合13位 #78  WW2 RX-7 91LAPS
総合16位 #113 UNIT Racing ☆ ings Z 91LAPS
総合17位 #15  岡部自動車 ディクセル Z 91LAPS
総合19位 #38  MSF&ケーズパワー NSX 90LAPS
総合20位 #14  岡部自動車 ディクセル RX-7 90LAPS
総合22位 #19  高見沢整骨院☆真東☆TC神戸 Z33 90LAPS
総合26位 #777 屏風浦工業 ニューテック Z 87LAPS
   
総合32位 # 7   ドリームエンジェル アドバン RX-7 77LAPS

 

 


■一周早くピットイン

 78号車の2回目のピットストップメニューは、燃料給油とドライバー交代のみで、タイヤの交換予定はありません。メンバー総動員でフルメニューをこなした1回目に比べると、これに備える人員にも若干の余裕が生まれています。
 但し、残念なことに耐火服の必要枚数は1回目と何ら変わらないので(笑)、今度は第1スティントを走り終えた檜井選手がトランスポンダーの交換作業を担当します。

 これに先立って私は、第1スティントの激走を終えてピット裏のテント内で一息ついていた檜井選手に
「次のピットで作業があるのでスーツは脱がないでください」と釘を刺し、いざピットストップの直前になると「違反になるので他の作業には一切手を出さないでくださいね」と繰り返しレクチャー。今回の私達のレースを盛り上げてくれた最大の功労者に対し、なんという罰当たりな指図なんでしょう・・・。
 それでも温厚な檜井選手は私の指示に真摯に耳を傾けてくれましたが、ピット作業に関するレギュレーションについては初耳だったご様子。S耐で幾多のマシンを自在に操ってきた檜井選手も、さすがにピット作業のヘルパー経験はなかったでしょうから、無理もありませんね(笑)。


 実はここでちょっとした誤算が判明・・・。

 この頃、すでにピットストップの予定時間までは残り10分を切り、コース上の伊藤選手にはピットインまでの残り周回数が提示されていたのですが、タイミングモニターの情報と照合すると、サインガードでの提示周回数が計画に対して1周ほど少ない(早い)のです。伊藤選手の周回数は
48周の予定で、78号車としてのトータル95周目で入ってくる算段だったのですが、このまま行くと94周目で入ってきます・・・。
 つい今しがた、檜井選手がアウトラップとフォーメーションラップを含めた上で
47周をクリアする実績を残したばかりであり、伊藤選手はまず間違いなくそれ以上の周回が可能なはず。しかも、ずっと快調なペースを維持できているだけに、少なくとも所定の周回数は消化してもらいたいというのが私の思いでした。
 しかし、すでに残り数周のカウントダウンに入っているドライバーとピットに対し、この期に及んで余計な混乱を与えることを避け、私はあえて是正措置はとらずにこのまま経過を見守る選択をしました。

 第1スティントの檜井選手の手に汗握る攻防以来、ついついタイミングモニター前に居座ってしまい、例年に比べてもピット内での動きが少なかった私。
 その合間を見てピットストップ準備の声掛けは忘れなかったのですが、もう少し機敏に動き回ってピットとサインガードとのコミュニケーションを密にしていれば・・・と反省することしきりです。


最大の功労者・檜井選手は、トランスポンダー交換係。
ドライバーは伊藤選手から新宅選手へ



 こうして16時15分、47周を走り終えた伊藤選手が78号車をピットロードに滑り込ませ、チームテスタスポーツは最後のルーチンピットストップを行いました。
 予定の給油量は60L。想定されるマシンのガソリン残量、そして、走行燃費の良い新宅選手ということを考慮すると、少なくとも5L以上は余分に入れてしまう計算になりますが、万一セーフティーカーが入って周回が数周増えた場合でも追加ピットストップを回避できるよう、最低限のマージンを確保するという考えに基づいています。
 結論からいえば、第1スティントでの燃料消費の実績を加味し、もう少しカット方向に振ることはできたかもしれませんが・・・。

 但し、この2回目のピットストップでは、事前に懸念されていた通りドライバー交代にやや手間取ってしまい、給油作業の方が遥かに早く完了してしまいました。
 最後にGOサインを出すのもドライバーのスタンバイ待ちという状況になってしまったため、結果的には給油量を少なめにしてもピット作業時間の短縮には寄与できなかったことになります。

 

 

   


<3時間40分経過時点>
 〜17:02〜


■稼ぎ切れなかったマージン

 アンカーの新宅選手にバトンが渡った時点で、後続のクラス6位・#14・岡部自動車ディクセルRX−7との差は約70秒。

 しかし、あと32周の周回を残してのこのタイムギャップは、両者の平均的なラップタイムデータを考慮に入れると、逃げ切りにはやや不安を残すものでした。
 さらに、クラス7位で続く
113・UNIT Racing☆ings Zが1分43秒台という驚異的なペースで猛追を開始していたことも私達にとっては不安材料の一つでした。

 伊藤選手が47周を走り切ったタイヤでコースインした新宅選手のラップタイムは、走り出して暫くは49秒台から48秒台を行き来し、私が想定していた47秒台まではあと一歩のところでした。
 しかし幸いなことに、追いすがる杉林選手の
#14・岡部自動車ディクセルRX−7も決してマシンが完調ではない様子で、ラップタイムは45秒台が精一杯といった状況。ただ、そんな状況でも45〜46秒台をコンスタントに並べてくるあたり、獲物を追いかける執念がこちらにもヒシヒシと伝わってきました。
 その#14をまもなく射的距離内にとらえようとしている伊橋選手の
#113・UNIT Racing☆ings Zも含め、私達の78号車が格好の標的になっていることはまず間違いありません。 


 新宅選手はタイヤの磨耗状況に寄らずコンスタントなラップタイムが刻めるため、チームはタイヤ交換を行なわず、作業のタイムロスをセーブする作戦をとっています。レース終盤の荒れた路面状況でも、ミスなく着実に周回を重ねられることは完走に向けた重要なポイントの一つであり、チームは新宅選手に全幅の信頼を置いてチェッカーまでの最終スティントを任せていました。

 レースもいよいよ大詰めという局面を迎え、1台だけ抜きん出たハイぺースで走行する#113に攻略されるのは時間の問題で仕方ないとしても、せめて同じRX−7勢の中でのトップを堅持したままでチェッカーを受けたいというのがチームの願いでした。

猛烈な追い上げを見せた
#113・UNIT Racing☆ings Z


 新宅選手も私達のそうした思いに応えるように、113周目に伊橋選手にパスされクラス6位にドロップした直後の周に、第3スティントでのベストタイムとなる
1分47秒301のタイムをマーク。ここまで一方的に差を詰められていた局面にも少しだけ打開の兆しが見えました。このペースをずっとキープすれば逃げ切りも不可能ではなく、一転して希望的観測も芽生えてきました。

 しかし、ほんの数周に過ぎないのですが、青旗で他クラスのマシンに進路を譲る際に50秒台までラップタイムを落とした周回があり、その隙を衝くように、杉林選手がまんまと10秒近いギャップを一気に削り取ってしまいました。
 一方で、#14のラップタイムが45秒台〜46秒台の範囲にきっちりと収まり、78号車ほど変動しないところを見ると、タイムロスをミニマムに抑えた抜かれ方ができていることは明らかで、ここは百戦錬磨のチーム・ドライバーの方に軍配が上がったと言わざるを得ません。

 この結果、ゴールまで残り13周の時点で#14とのギャップはジャスト13秒に。
 状況的に1周あたり1秒のマージンではあまりにもキツく、ゴールまであと僅か6周という時点で、ついに78号車はペースに勝る#14にテール・トゥ・ノーズに持ち込まれ、クラス7位までポジションダウンすることになりました。

 ここまで今レースウィークを通じて、3台参戦しているRX−7勢の中で常に先陣を切ってきた78号車でしたが、残念ながら最後の最後でレギュラー参戦チームに先を越される結果となってしまいました。

 

 

◆ST‐3クラス順位◆

経過時間: 3H 35M  (周回:  129/135 LAPS)
      
総合 8位 #333 エクセディ H.I.S. イングス Z 122LAPS
総合 9位 #39  TRACY SPORTS eeiA NSX 122LAPS
総合10位 #27  FINA GSX ADVAN M3 122LAPS
総合12位 #15  岡部自動車 ディクセル Z 122LAPS
総合13位 #113 UNIT Racing ☆ ings Z 121LAPS
総合14位 #14  岡部自動車 ディクセル RX-7 121LAPS
総合15位 #78  WW2 RX-7 121LAPS
総合17位 #38  MSF&ケーズパワー NSX 120LAPS
総合20位 #19  高見沢整骨院☆真東☆TC神戸 Z33 118LAPS
   
総合27位 #777 屏風浦工業 ニューテック Z 110LAPS
総合29位 # 7   ドリームエンジェル アドバン RX-7 104LAPS




 



<ゴール>
 〜17:18〜

 レース開始からもうすぐ4時間になろうかという17時14分、長い長い500kmレースのチェッカーがついに振り下ろされました。

 スタート直前の降雨で、一時は荒れ模様の天候も覚悟したほどでしたが、結局はWET RACEの宣言ボードを嘲笑うかのような好天となり、終始ドライコンディションの下での戦いとなりました。
 総合トップで長丁場500kmの戦いを制したのは、ST−1クラスでランキングトップをひた走る
#28・PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE予選でフロントローを独占したZ33勢を逆転してのZ4クーペのワン・ツーフィニッシュでした。


 そして私達の78号車も、新宅選手の手堅いドライブで、
総合15位クラス7位のポジションで無事チェッカーを受けました。
 総周回数は総合トップから9周遅れの
126周で、距離にして466km余りを走破。当初の計画通り、昨年のこのレースでの周回数を1周ほど上回ることができました。ゴールまで残り数周のところで最後のラップダウンを喫しているので、127周到達も目前まで迫っていたことになります。

 これで、チームテスタスポーツと78号車は、2001年のデビュー戦以来続けてきた連続完走・連続ポイントゲットの記録を
11戦」まで延ばしました。


126周を走破してゴール!!




■得たものの大きさ■

 さて、決勝レースのリザルトだけを見れば、奇しくも昨年と全く同じクラス7位に終わった私達。しかし、そこに至るまでの過程の違いは歴然としていました。
 クラス16台中の14位からスタートし、トラブルで後退していくマシンを食いものにしてひたすら這い上がるだけだった昨年に対し、今年は全11台中の2位からスタート。レース中盤までは堂々と上位集団の一角を占めながら、結局は細かいミスが積み重なり、力尽きてこの位置まで陥落してしまったのです。
 その内容を考慮すると、これは間違いなく大きな飛躍と言って良いでしょう。

 昨年までであれば、自力ではまず簡単に辿り着けないと思い込んでいた上位のポジションからレースに参加し、そのポジションに相応しい走りを見せ、手に汗握る素晴らしいバトルの主役まで演じたそのシーンは、チームメンバー全員の記憶の中にしっかりと刻まれ
、これまでのチームの7年間の足跡の中でも極めてスペシャルな一頁として加えられることになるでしょう。
 と同時に、これは私達がこれまでマイペースで地道に進めてきたマシン作り、チーム体制の整備が決して間違っていなかったことを証明するもので、メンバー全員に大きな自信と誇りをもたらすことになりました。

 もちろん、今回の78号車の飛躍の原動力となったのは、助っ人として加入した檜井選手であり、彼の素晴らしいパフォーマンスなしには決して成し得なかったことは疑う余地がありません。その功績はいくら称えても称え過ぎることはなく、本当に感謝の一言に尽きます。

 しかし、私達が得たものはそうした表面的な事実だけに止まりません。
 国内外のトップカテゴリーのレース経験の豊富な檜井選手と過ごしたレースウィークを通じて、私達は随所で今後チームが大きくブレークスルーしていくための数多くのヒント、示唆を与えてもらったことにも感謝しなくてはならないのです。


 来年はこれらを糧にどう飛躍するか、チ-ムテスタスポーツの今後に注目です。




チームメンバー&ゲストの皆さんで恒例の記念撮影

 



■コンセプトの再認識■

 今年、チームテスタスポーツと#78・WW2 RX−7が、このスーパー耐久岡山戦においていつになくその存在を強くアピールしたことは、レース中のモニター画面を78号が暫し独り占めしたという客観的事実からも明らかです。正直なところ、ここまで自分達が活躍できるとは全く予想していませんでした。

 昨年、ようやくライバルと戦えるだけのマシンとチーム体制を実現したことに続いて、今年は予選・決勝を通じて上位マシンと堂々と伍した走行をすることができ、また、見る人に興奮や感動を与える素晴らしいバトルまで披露することができました。
 これは、マツダのワークス復帰を最終ゴールに据えながら、今なおサーキットを疾走するマツダの現役プライベートマシンを少しでも輝かせてあげたい、という私達WW2のコンセプトに見事に合致した結果といえます。S耐参戦から7年、通算での11レース目にしてようやく、私達WW2が思い描いていた夢の一部が叶ったといっても過言ではありません。

 ここ数年で最強の布陣を敷いてレースサポートに臨み、メンバーの献身的な後方支援も得ながらレースウィークを戦い抜いた私達は、今回その意気込みに見合っただけの達成感・満足感を得ることができたと思います。
 来年は決勝でも良いリザルトを残すという、より高い目標にチャレンジすることになりそうですが、その達成の瞬間をこれまで通りのチーム全員の明るい笑顔の輪の中で迎えることができるよう、WW2として全力を尽くしていきたいと思います。


(おわり)