スーパー耐久シリーズ2001 第1戦

CP MINE 500km RACE


2001年4月1日(日) MINEサーキット(山口県)

RX−7全車完走!


 RX−7の2年連続のクラス3チャンピオン獲得と共に幕を閉じた2000年のスーパー耐久シリーズ。その最終戦・FUJIから約5ヶ月のインターバルを経て、新世紀のS耐の戦いの火蓋がいよいよ切って落とされました。

 2001年4月1日、決勝日の朝を迎えたMINEサーキットには、今年最初のメジャーレースを直前にして、随所で見応えのあるバトルを期待するレースファン達の熱い視線が注がれていました。



 今年のスーパー耐久シリーズの大きなトピックスは、シーズンオフのレギュレーション変更により、クラス区分が大幅に見直されたことに尽きます。
 クラス1およびグループNプラスを除く3つのクラスに変更が加えられ、クラス4の最大排気量の拡大と、駆動方式によるクラス2/クラス3の区分けが実施されました。

 
クラス3の我らがRX−7への影響も決して少なくなく、従来の「1601cc〜2500cc」区分から「2000cc〜3500ccの2WD車両」となったことで、クラス2から移行してきたBMW M3が、昨シーズンのプレリュードに代わって直接のライバル車となったのです。
 昨年、ドライ路面でさえあれば大半のクラス2マシンを食ってしまうほどの圧倒的な速さを見せてきたRX−7。この「一人勝ち」の状況を憂慮しての区分変更ともいえますが、これによって、路面状況の変化による同クラス内での有利/不利の発生は回避されたものの、燃費に優れる大排気量N/Aマシンが相手となることで、RX−7はより厳しいレース展開を強いられることは間違いないところです。

 とはいっても、非・主流派であるロータリーエンジン車にとって、マシンレギュレーションに振り回されることは珍しいことではありません。現に10年前、N1耐久シリーズ発足当時にはあのスカイラインGT−Rと同クラスとされていたのですから…。きっと今シーズンのRX−7も逆境を跳ね返して、素晴らしい活躍を見せてくれることでしょう。

クラス 新区分 対象車両 (参考)旧区分
3501cc以上 スカイラインGT-R 今年に同じ
2001〜3500cc(4WD) ランサー、インプレッサ 2501〜3500cc
2001〜3500cc(2WD) RX-7、BMW、シルビア 1601〜2500cc
2000cc以下 S2000、シビック 1600cc以下
Gr.N
プラス
2000cc以下(N/A)
競技専用品使用可
アルテッツア、インテグラ、
セリカ、アルファロメオ
今年に同じ

 今回のMINEラウンドには、昨年の開幕戦と同じく5台のRX−7が登場。その顔触れは、2年連続クラス3チャンピオンの#33・BPビスコガンマRX−7を筆頭に、一昨年のチャンピオンマシンを使用する#71・PowerMagiC RX−7、そして我々が応援する#18・SS.ROYAL RX−7。昨シーズンの途中から姿を消した#3・オゥルージュRX−7に代わって、#15・シーウェストアドバンRX−7を走らせているOKABE JIDOSHAが#14・KAGEISEN RX−7を投入し2台体制となりました。
 対するクラス3のライバル勢としては、噂されたシルビアの姿はなく、唯一、BMW M3が牧口エンジニアリングからエントリー。この結果、クラス3は全6台での争いとなりました。


<予選>
 2年連続のクラス3チャンピオン、#33・BPビスコガンマRX−7は今年からチーム名がI−deaプロジェクトに変更されましたが、ステアリング系のトラブルで予選のタイムアタックが不発に終わり指定席から脱落、代わってノントラブルの快走を見せた
#71・PowerMagiC RX−71分36秒6という堂々のクラスレコードタイムでクラス3のトップの座を確保しました。
 これに0.4秒遅れて#33・BPビスコガンマRX−7。注目の
#27・WAKO’S BMW M31分37秒7で食い下がりクラス3位をキープ。給油ピットインが最低2回は必要なRX−7勢に対し、BMWは1回で済むと見られており、決勝で#33が完全復調して昨年以上の韋駄天ぶりを発揮しない限り、RX−7勢にとってたった一台のこのライバルマシンが、とても厄介な存在となることが十分に予想されました。
 続いて#15と#14が仲良くクラス4位/5位に入り、我々WW2の応援する#18・SS.ROYAL RX−7は、昨年のタイムを1.8秒更新する素晴らしい走りを見せて総合21位で予選を終えました。

 予選総合TOPはクラス1の#23・トトムFUJITSUBO・GTR。クラス2では新型インプレッサとランサーエボZが1台ずつ登場し注目を集めました。シビックに代わりS2000が中心となったクラス4ではベテラン・小幡 栄選手が好タイムをマーク。グループNプラスでは人気の織戸選手/飯田選手コンビのADVANアルテッツアがクラスTOPを獲得しました。

 ★今回出場したRX−7のグリッドでの勇姿はこちらから★


 レギュレーションの大幅変更によるオフシーズンのマシン製作の慌ただしさに加え、本州最西端への大遠征という事実も追い討ちをかけたのか、開幕戦MINEはやや少なめの全30台のエントリーとなりました。主要チームが出揃うと言われる次戦・仙台以降のシーズンの戦いを占う意味でも、このMINE500kmレースのスターティンググリッドには注目が集まります。

S耐第1戦・MINE 公式予選結果

1位(C1-1) トトムFUJITSUBO GTR 1'32.671
2位(C1-2) FALKEN GT−R 1'33.416
3位(C2-1) 三菱PUMAランサーEVOZ 1'33.643R
4位(C2-2) RSオガワADVANランサー 1'34.096R
5位(C3-1) PowerMagiC RX−7 1'36.647R
6位(C2-3) ファルケン・ランサー EVOY 1'36.714
7位(NP-1) ADVAN ALTEZZA 1'36.815R
8位(C2-4) RSオガワADVANランサー 1'36.845
9位(C2-5) アイフェルダンロップインプレッサ 1'36.858
10位(NP-2) MAZIORA ALTEZZA 1'36.897R
11位(C3-2) BPビスコガンマRX−7 1'37.030R
12位(NP-3) JIC クリスタルアルテッツア 1'37.524R
13位(C3-3) WAKO’S BMW M3 1'37.742R
14位(C2-6) JMC・ADVANランサー 1'37.785
15位(NP-4) REDLINE ALTEZZA 1'37.846
16位(C3-4) シーウェストアドバンRX−7 1'37.960
17位(C3-5) KAGEISEN RX−7 1'38.435
18位(NP-5) エンドレスアドバンアルテッツア 1'38.711
19位(C4-1) SPEED ED S2000 1'38.778R
20位(NP-6) 5ZIGEN INTEGRA 1'38.963
21位(C3-6) SS.ROYAL RX−7 1'39.086
22位(C4-2) フォワードS2000ED+CG 1'39.100R
23位(C4-3) アルゴラボ.YH.S2000 1'39.167R
24位(C4-4) C−WEST S2000 1'39.780
25位(C4-5) SPOON S2000 1'39.930
26位(NP-7) INGING CELICA 1'40.002
27位(NP-8) ALFA156ツインスパーク 1'40.191
28位(NP-9) GLADネッツ大分アルテッツア 1'40.486
29位(NP-10) SB寿ADVANアルテッツア 1'41.200
30位(C4-6) BPアドバンK’Zインテグラ 1'44.165
(R…クラスレコードタイム)

 



<決勝>

ローリング開始の瞬間


 春らしい陽気に包まれた決勝日、ときおり吹く風はやや冷たく感じるものの、昨年の開幕戦のような雨の気配は全くありません。
 155LAPのレースは12時25分にローリングを開始、完璧なドライ路面で500kmの戦いがスタートしました。


 全車無事にオープニングラップのコントロールラインを通過、レースは大きな混乱もなく序盤の戦いに突入していきました。その中で王者#33・BPビスコガンマRX−7は、期待通りに本来の速さを披露、先行するアルテッツアやランエボをキッチリと料理し、予選で失ったポジションを瞬く間に取り戻すことに成功しました。

 レース序盤、30LAPを迎える頃の順位は、独走する2台のスカイラインGT−Rに、やや遅れながらもPUMAエボZが単独で果敢に追走。少し離れてエボYとニューインプレッサが続いています。予選2位からスタートした#1・FALKEN GTRが、バトルの末に#23・トトムFUJITSUBOをパスしてTOPに立った後は、目立った動きのない先頭集団の展開でしたが、エボZの速さとニューインプレッサの好走はかなり印象的でした。
 そのボクサーサウンドの余韻の中、
#33・BPビスコガンマ6位で続き、#71・PowerMagiCがその直後を追走し7位。この2台は前後の集団とはやや離れており、暫くそのままのポジションをキープし続けました。
 これに対し、中段のRX−7勢にはやや大きな動きがあり、#15・シーウエストは他クラスのバトルに手を焼きながらも12位までポジションアップ、逆に今回がデビューレースとなる#14・KAGEISENは、スタート直後こそは#15に追走する動きを見せていたものの、マイナートラブルが起こったのか突如順位を落とし、18位前後での走行となりました。


 中段からスタートした#18・SS.ROYAL RX−7は、オープニングラップの混乱を回避して手堅い周回を重ねました。このため一時は28番手までポジションを下げたものの、前方のS2000やアルテッツアのバトルを慎重にさばきながらポジションを回復、20LAPを過ぎた頃にはスタート当初の21番手まで復帰してきました。

 RX−7勢にとって気になる存在の#27・WAKO’S BMWは、Nプラスクラスの激しいTOP争いを繰り広げる2台のアルテッツアの後方で10位を単独走行。#33・BPビスコガンマとのタイム差は28LAP経過時点で約23秒となり、この差はこの後もジワリジワリと広がっていきました。




 クラス3の展開に動きがあったのは、155LAPのレースがほぼ1/3時点を迎える50LAP目前。
 この時点で
#33・ビスコガンマRX−7#27・WAKO’S BMWに対して稼ぎ出したマージンは40秒以上。2回のPITストップを挟んだ3つのスティントで、このタイム差を着実に積み重ねさえすれば・・・、そう、勝算は十分にあったのです。しかし、

 49LAP目の1コーナー立ち上がりで#33が突如スローダウン!

 懸命の走りで稼ぎ出したマージンを、ほぼ1周にわたるスロー走行で空しく吐き出しながら、#33は無念のピットイン・・・理由は「ガス欠」でした。ドライ路面でペースが非常に速いレース展開に加え、ポジションリカバリーのための無理な激走が祟ったのか、この50LAP前の予想外のガス欠発生は致命的でした。失ったマージン以上に、レースの前途に垂れ込める不安。#33は果たして残りの距離(=105LAP前後)を1回給油で乗り切れるのか・・・?

 この時点でライバル#27・WAKO’S BMWの前方を走行しているRX−7は
#71・PowerMagiCのみ。あくまでもステディに周回を重ねるBMW。このクルマにトラブルでも発生しない限り、今時点で後方を走行しているRX−7は、事実上すでに勝負権を失ったに等しいわけです。そればかりか、徐々に燃料の軽くなったBMWは逆に牙を剥き始め、同じ1回給油組のアルテッツア勢を簡単に抜き去り、総合順位を大きく上げ始めたのです。


 やがて全てのRX−7が一回目の給油を終え、ノンストップで遥か先行するBMWをそれぞれのペースで追い上げるはずでしたが、今度はその先鋒役となるはずの#71・PowerMagiC
ペースが一向に上がりません。
 
序盤は1分38秒台まで記録したラップタイムが40秒さえ切れない状態が続き、コンスタントに39秒〜40秒で周回するBMWとの差は逆に開いていく一方となりました。(レース後の情報によると2速ギアを失ったらしい・・・) 

 
一方、無念のガス欠スロー走行で序盤のマージンを使い果たしたばかりか、逆に絶望的な1LAP遅れにまで後退した#33・BPビスコガンマRX−7は、やがてコース上でBMWを抜き返して同LAPに持ち込み、3km以上先を周回する背後のライバルへの追撃を遅まきながら開始していました。
 一見、勝ち目の少ない追撃にも見えますが、こうして決して諦めずにライバルへプレッシャーをかけ続けることは戦いの鉄則ですし、この先BMWにトラブルが起きないとも限りません。


 レース中盤のクラス3は、唯一39秒台を連発する#33・BPビスコガンマに対し、#27・BMWが40秒台で応戦。その他のRX−7は全車42秒〜43秒で周回を重ねていました。


 しかし、懸命の追走を続ける#33・BPビスコガンマRX−7に再度不運が降り掛かりました。
 なんと、2回目のピットイン直前にも再び、ガス欠によるスロー走行を強いられたのです。まさに悪夢の再来・・・さらに、コース復帰後にピットレーンの速度違反として10秒ピットストップのペナルティを命じられ、これにて万事休す。

 今回のRX−7の戦いは、事実上ここに終わりを告げてしまったわけです・・・。

 一方、他のクラスではトラブルに見舞われるマシンが続出し、目まぐるしいレース展開になりました。#1・FALKEN GT−Rが90周目でリタイヤ、代わってトップに踊り出た#23・トトムFUJITSUBOもハブトラブルで長いピットインを強いられ、なんと今回がデビューレースの#2・アイフェルダンロップインプレッサが一時総合TOPを走行するという大波乱。そのインプレッサを追い詰めてパスした#11・PUMAランサーEVOZがその直後に炎上しリタイヤするというオマケ付きで、クラス2ではランサー勢が全車リタイヤという非常事態になっていました。



 こうして16:40過ぎ、ハブの修復を終えてコース復帰を果たした
#23・トトムFUJITSUBO GT−Rが「定位置」の総合1位に返り咲いたところで、4時間を越える500kmの長い戦いはチェッカーとなりました。

 例年のように、ゴール直前までGT−R同士が秒差のTOP争いを演じるという派手なドラマこそなかったものの、今年からデビューした新型マシン勢のポテンシャルの高さを垣間見ることができたレースでした。また、随所に見られたクラスを超えたバトルは、各車の勢力均衡を物語っており、次戦以降の戦いが大いに注目されるところです。
 クラス3はなんと唯一全車が完走。残念ながらRX−7勢はBMWとの戦いに敗れ、虚しくクラス2位〜6位を占める結果となりました。


 
昨年のクラス3でのライバルだったプレリュードとは違い、ラップタイムが拮抗し、かつピットイン回数が少なく済む大きなアドバンテージを持つBMW M3。このマシンにRX−7が対抗するには、ミスのない緻密なレースを展開することと、何よりもその速さに一層磨きをかけることしかないでしょう。

 
優勝した牧口エンジニアリングは、なんと次戦からは新型M3を登場させるという噂です。
 RX−7勢はより一層気合いを入れて臨む必要がありそうですね!

 

クラス3の表彰台 ★★選手はBP号の隣りがお好き(^^)


S耐第1戦・MINE 正式決勝結果

1位(C1-1) トトムFUJITSUBO GTR 155LAPS
2位(C2-1) アイフェルダンロップインプレッサ +1'03.959
3位(C3-1) WAKO’S BMW M3 1LAP
4位(NP-1) ADVAN ALTEZZA 1LAP
5位(NP-2) REDLINE ALTEZZA 2LAPS
6位(C3-2) BPビスコガンマRX−7 2LAPS
7位(NP-3) JIC クリスタルアルテッツア 3LAPS
8位(C3-3) PowerMagiC RX−7 3LAPS
9位(C3-4) シーウェストアドバンRX−7 3LAPS
10位(C4-1) アルゴラボ.YH.S2000 4LAPS
11位(C4-2) フォワードS2000ED+CG 4LAPS
12位(C3-5) KAGEISEN RX−7 5LAPS
13位(NP-4) MAZIORA ALTEZZA 5LAPS
14位(C4-3) C−WEST S2000 6LAPS
15位(C4-4) SPEED ED S2000 6LAPS
16位(C3-6) SS.ROYAL RX−7 8LAPS
17位(NP-5) GLADネッツ大分アルテッツア 21LAPS
(完走17台)