私が初期の日本車トミカの収集に明け暮れたのは小学生から中学生にかけての頃で、年代にすると’80年代の初頭でした。その一方で私はほぼ同時期に、街行く日本の旧車を写真に収める「旧車趣味」なるものをスタートさせていたのですが、じつは日本車トミカの初期ラインナップと、この旧車趣味の対象ゾーン(=’70年代迄の国産車)は偶然にもリンケージがとれたものでした。つまり、個性豊かな古い国産車をファインダー越しに追い掛けながら、一方ではそのクルマたちの分身的存在であるミニカーを自分のコレクションとして収集していたわけです。
以降、絶版トミカの探索を中心に情熱を燃やした私のトミカ収集が、80年代半ばを境にパッタリと途絶えてしまったのは、リアルタイムで次々にリリースされる新しいトミカが、次第に自分の旧車趣味のゾーンから外れていってしまったこととは決して無縁ではありません。
そして今、巷にはここ数年ちょっとしたミニチュアカーブームが到来しておりl、街の玩具屋さんのショーケースには、明らかに大人向けと思われる精巧なミニチュアモデルが居並ぶようになりました。この間、ブームに呼応するように、本家トミーから「復刻トミカ」と称し、日本車トミカの初期モデルがほぼ当時の仕様で再販されるなど、絶版トミカコレクターには受け入れ難い出来事も起きましたが、私はそうした動きにもあくまで静観を装いつつ、時折りリリースされるMAZDA車のトミカと、同じくMAZDAの古いレーシングカーのみに対象を絞り、細々とした(?)収集活動をしていました。ただ、昨今各メーカーから矢継ぎ早に登場する旧車のミニチュアカーには大変興味を惹かれていました。
そんな中でちょっとした縁があり、2004年から潟gミーテックがリリースした、国産旧車を対象にした新シリーズ、「トミカリミテッド・ヴィンテージ」の存在を知りました。
トミカリミテッドヴィンテージは対象年令を15歳以上とした完全なディスプレーモデルで、トミカよりやや小さめの1/64スケールながら、旧車特有のメッキモールやメッキグリルを巧みに再現した精密な造りが特徴であり、ごく普通の大衆車にもスポットを当てたマニアックな車種選択は、ミニカー好きかつ旧車好きの私を十分惹き付けるものがありました。さらに、本家トミカ譲りの多彩なバリエーション展開を持つことや、その多くが1/43スケールとなってしまう他メーカーの旧車シリーズよりも安価なこともあって、ついに20年ぶりの本格収集を決意したというわけなのです。
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