MAZDA 767B・787・787B

 マツダにとって国内耐久への参戦は永年のルマンチャレンジプログラムの一環であった。英国人デザイナー、ナイジェル・ストラウド設計によるマツダ初の本格的なCカー「757」は、89年には4ローターマシンの767Bと進化し、翌90年には新開発のR26Bエンジンとカーボンモノコックを得て787となる。NAのため予選グリッドはいつも後方であり、決勝ではシンプルな構造のロータリーエンジンの無類の耐久性を生かし、長いレースの終盤にジワッと上位に進出していくという戦い方をとっていた。しかし、その戦いぶりに変化が生じたのが91年の787B。5月の富士1000kmで垣間見せたその速さは完全にポルシェ勢をとらえ、その1ヶ月後の「何か」を十分に予感させるものであった…。

 JSPCではマツダスピードが2台の最新ワークスマシンを走らせ、旧型マシンをプライベータ−の静マツレーシングとカタヤマレーシングがエントリーさせていた。片山・従野・寺田の日本人トリオにケネディ、デュドネといった古くからマツダに縁の深いドライバー達がそのステアリングを握っていた。とにかく甲高いロータリーサウンドが特徴で、2台並んでメインストレートを通過するとスタンドでは会話が不可能なくらい。仮に姿は見えなくとも、FISCOのどこのコーナーを通過しているかはその音でだいたい判断が付いた。

 ところで、伝統的にマツダが厳密にはグループC規定ではなくIMSA−GTP規定に準拠したマシンを用意してきたのは、このアメリカのプロトタイプレギュレーションの方が最低重量で有利になるからである。常にイコールコンディションを目指し、毎レースごとにレギュレーションの見直しを行ない勢力の均衡を図るアメリカンレースはエントラントにとっても公平な環境を創りやすいし、だいいち興行としても素晴らしいものがある。レギュレーションひとつ決定するのにも参加する大自動車メーカーの権限(=利益勘定)が絡む日本のレース界にあっては是非見習って欲しい感覚である。


<MAZDA 787B>
 

<MAZDA 787>

 

<MAZDA 767B>
 

           

<MAZDA 757>

  




 

【お断り】
本ページの掲載画像は、下記より引用させて頂きました
◆JSPC大会パンフレット◆