私のマツダ試乗記@2002

ATENZA
SEDAN 23E - Luxury Package
2300cc DOHC)



Car Introduction

 2000年秋に発売したSUV・トリビュート以来、約2年のブランクを経て、満を持してマツダが発表した3ナンバーサイズのニューカーがアテンザです。マツダのブランドDNAを余す所なく体現し、CDサイズカーの
グローバルスタンダードとなるべく、既存のコンポーネンツを一切捨てて、ボディはもちろん、エンジンやサスペンションなどすべてを一新して生まれてきた「意欲作」といえます。
 ボディはオーソドックスな4ドアの「セダン」、ステーションワゴンタイプの「スポーツワゴン」、そしてマツダのお家芸ともいえるスタイリッシュ5ドア「スポーツ」の3タイプのボディを揃えており、それぞれに2.3Lと2.0Lの直4エンジンが用意されています。

 アテンザの最大のアピールポイントは
「走りの良さ」であり、フロントサスペンションは、ぺリメータフレームにラバーマウントされたハイマウントダブルウィッシュボーン、リアサスペンションにはマツダ伝統のE型マルチリンクを採用。ストラット式より遥かに手の込んだ足回りで、綿密な解析により効果的な局所剛性の向上を施したボディと組み合わせることで、ハイレベルな操縦安定性と快適性の両立を狙ったものです。また、このリアサスペンションは、スプリング&ダンパーの配置を工夫して室内(荷室)側への張り出しを全く無くしており、広大なラゲッジスペースの確保に貢献している優れモノです。

 新開発の直列4気筒DOHCエンジンは、アルミエンジンブロック、4−2−1排気マニフォールド、前方吸気/後方排気搭載等の採用で、高い環境性能と動力性能を両立させることに成功しています。排ガスは
E−LEV(★★)を達成し、2.0Lは全車が低公害車優遇税制のグリーン税制に適合。2.3LはS−VT(連続可変位相バルブタイミング機構)やバランスシャフト&8カウンターウェイト、可変ダクト付きエアクリーナーの採用で178ps(131kW)の出力とフラットなトルク特性を得ています。トランスミッションは2.3Lがアクティブマチック付きEC−4AT、2.0Lは普通のEC−4ATとなり、MTの設定はありません。

 アテンザでは、エアコン、オーディオの操作系をインテグレートさせた
チタン調のセンターパネルを設置し、従来にない斬新なインテリアの雰囲気づくりにトライしています。と同時に、すべてのダイヤルやスイッチ、ノブ等には、人間工学に基づいた最適な位置配置や形状決定、操作感の統一が図られているところが目新しいところです。

 






Major Equipments
 <’02年式 アテンザ セダン 23E ラグジュアリーパッケージ>

 ○運転席&助手席デュアルステージSRSエアバッグ
 ●カーテンエアバッグ&サイドエアバッグ
 ○4W−ABS(4輪アンチロックブレーキ)
 ○EBD(電子制御制動力配分システム)
 △DSC&電子制御ブレーキアシスト
 ○4輪ディスクブレーキ(フロント:ベンチレーテッドディスク)
 ○フロント&リアスタビライザー

 ○パワーウィンドー(運転席ワンタッチ機構付)
 ○キーレスエントリー(アンサーバック、トランク連動)
 ●プリテンショナー&ロードリミッター機構付ELR3点式シートベルト
 ○リア中央席3点式シートベルト
 ○リア中央席ヘッドレスト(上下可動式)
 ○ワンタッチ電動格納リモコン式カラードドアミラー
 ●車速感応・間欠時間調整式フロントワイパー
 ●間欠式リアワイパー
 △レベリング機構付ディスチャージヘッドランプ

 ○AM/FMチューナー+4スピーカー+プリントアンテナ
 ●インダッシュ6連奏CDチェンジャーキット
 △BOSEサウンドシステム(サブウーハー付7スピーカー)
 ●オーディオリモコンスイッチ付ステアリング
 ●本革巻ステアリング&本革巻シフトノブ&本革巻パーキングレバー
 ●撥水フロントドアガラス&ドアミラー
 △撥水フロントガラス
 ●ブラックアウトメーター
 ●DVDナビゲーションシステム(マツダテレマティックス対応)
 ○フルオートエアコン(花粉フィルター付)
 ●デュアルエグゾーストパイプ
 ●205/55R16タイヤ&アルミホイール


  (○…全車共通標準装備 △…メーカーオプション装備 ●…当該グレード装備)

 

 

 

 

My Impression (Test Drive at Yamaguchi Mazda Toyuyama in June 2002 )

 5月20日の発売日を前に、早くから
「Zoom−Zoom」の音楽とともに大胆なティザーCMを打ち、すでに各ディーラーでその姿を拝むことができたアテンザですが、試乗待ち時間の長い土・日の展示会を避けて、こっそり平日にドライブしてきました。(^^♪

 今回試乗したのはアテンザセダンの「23Eラグジュアリーパッケージ」。2.3Lエンジンを搭載する23Eをベースに、DVDナビや16インチアルミホイールなどの装備を標準装着とした最上級グレードで、内装色はベージュの専用色となります。


 アテンザに乗り込んで最初に目に付くのは、センターコンソール部分のデザインでしょう。大きな
チタン調のパネルによってセンターコンソール付近まで覆われていて、従来のマツダ車とは違い、全体的にとてもすっきりした印象を受けます。そのインパネ前面には空調やオーディオの操作系が集約されており、上部に設けられた薄いディスプレイ部には、時計、オーディオ、空調の情報がまとめて表示されます。MPVやトリビュートのRV系で見せた大きな五角形を模ったデザインとは異なり、丸型をモチーフとした統一感のあるデザインで、3つあるエアコンの吹出し口は、風向調整自在の丸いルーバー形状となっており、とても目新しいアイテムです。



   

 個人的にMPVやトリビュートでも好印象だった明るいベージュ色の内装ですが、ミディアムクラスのセダンにもうまく採り入れられており、なかなかの雰囲気(=上質感)を醸し出しています。とかく色が明るいと全体がプラスティッキーに映りがちですが、2.3L車に標準装着されている本革巻き仕様のステアリングやシフトノブがうまくその辺をフォローしていると思います。惜しむらくはシート表面の起毛の質感がイマイチで、いっそのこと本革シートにした方が「ラグジュアリー」というグレード名には合っているかもしれません。

 この試乗車にはメーカーオプションの
BOSEスピーカーシステム(7スピーカー)が装着されていましたが、ちょっとFM放送を聞いてみただけでも十分な迫力があり、あまり音にうるさくない私にとっては全く不満がない完璧なパフォーマンスで、一番のオススメ装備だと感じました。


 アテンザでは安全装備も一気に充実し、リアの中央席にもELR3点式シートベルト可動式ヘッドレストが装備され、カーテンエアバック&サイドエアバックもセダンのほとんどのグレードに標準となっています。(20Fのみメーカーオプション設定)





 
L3型エンジンについてはとても洗練された印象を受けました。マツダ久々の新型直4エンジンですが、加速時にまず気付くのが、マツダの直4エンジン搭載車にありがちな「唸るような」エンジン音が全く聞こえず、うまく調律された澄んだサウンドが力強く聞こえてくることです。
 そして、発進の瞬間はやや穏やかですが、その後は低回転域から高回転域までしっかりトルクが出て、気持ちの良い加速をしてくれます。出足の加速感だけを強調すると渋滞のストップ&ゴーで疲れるし、全域で穏やか過ぎるとここ一番の加速でストレスが溜まるので、いろんな走行シーンを想定すると、このエンジンは性能の出し方が絶妙だと思います。
 ちなみに、この加速性能を2500cc・V6搭載の我が家のユーノス800と比較すると、おそらくほとんどの場面でこのアテンザの方が俊敏な加速を見せそうな雰囲気で、実用上の性能は勝っていると感じました。
 アクティブマチックATは、従来とは「+」「−」方向が逆になったそうですが、これは単に慣れの問題でしょう。私が驚いたのは
シフトのスムースさで、市街地巡航時にマニュアルモードで2〜4速へ強引に変速してみても、シフトショックらしきものは皆無に近かったです。(もっとも、今どきシフトショックなんて死語に近いのかもしれませんけど・・・)

 こと
ハンドリングに関しては「スゴイ」の一言ですね。最近のマツダ車は車種を問わず、意図的に軽快なハンドリングを演出しているのですが、アテンザにおいてはこれをオールニューシャシーで一から丹念に練り上げてきたわけですから、このクルマの到達点が高いことは容易に想像できたのですが、ハッキリ言って想像以上の出来栄えでした(^^)。
 走り出した瞬間にハッキリと感じる
車体の剛性感は、このクルマ特有の走りの世界を充分に予感させるものです。実際、路面の凹凸をうまく吸収しながら安定して直進し、ひとたびハンドルを切ればドライバーの意思通りに気持ちよく回頭を始めていく。なかでも一番のハイライトは、比較的路面の良い道路で左右にレーンチェンジを試みた時で、どんな速度域であってもアテンザはピタッと路面に吸い付くように気持ち良くラインをトレースしていきます。
 ボディ剛性的に最も優位なセダンボディだったとはいえ、シリーズ全体では平均的なハイトの55タイヤでこのパフォーマンスですから、きっとこのクルマの走りのポテンシャルの高さは相当なものでしょう。17インチの45タイヤを標準装着する「スポーツ」や「スポーツワゴン」(23S)の走りにもつい期待をしてしまいますね。


 アテンザは走り始めたその瞬間から、マツダの開発者がさかんに自動車雑誌で語っているような素晴らしいダイナミクス性能を示してくれました。逆にいえば、このクルマは実際に走らせてみないとその魅力の半分も味わえない、というのもまた事実です。見た目の印象第一で勝負するライバルが多い中でやや苦戦をするかもしれませんが、マツダにはZEHI地道なアピールを続けてもらって、アテンザが持つ基本性能の高さを一人でも多くの人に味わってもらえたらと思います。

 それと、アテンザシリーズ全体はスポーティなイメージを前面に押し出していて、TV−CMに登場するSPORT(23S)やワゴンではそれをよく体現していると思いますが、スポーティグレードを持たないこのセダンについては、少しくらい価格は上がっても、もっと高級感を出したグレードがあってもいいと思います。今後の熟成にもZEHI期待しましょう。




◆Nukupeeの総合評価◆
(アテンザセダン・23E−L)
私のお気に入り度 ★★★★★★★☆☆☆
(10点中7点)
私だったらこうする ●黒い内装色に本革シートや電動シートを奢った
   高級感のあるグレードを追加する
●23Eラグジュアリーパッケージでもグレーの内装色を
   選択可能にする


Major Spec
 <’02年式 アテンザ セダン 23E ラグジュアリーパッケージ>  
全 長 4670mm
全 幅 1780mm
全 高 1430mm
ホイールベース 2675mm
車両重量 1340kg
最小回転半径 5.4m
10・15モード燃費 11.6km/L
   
エンジン形式 L3−VE型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
内径×行程 87.5×94.0mm
排気量 2260cc
圧縮比  10.6
最大出力 131kW(178ps)/6500rpm
最大トルク 215kN(21.9kg‐m)/4000rpm
燃料およびタンク容量 無鉛プレミアム・60L
   
懸架方式(前/後) ダブルウィッシュボーン式/マルチリンク式
スタビライザー トーションバー式(前後)
主ブレーキ形式(前) ベンチレーテッドディスク
主ブレーキ形式(後) ディスク
タイヤ 205/55R16 89V
   
   
車両本体価格
236万円〜