私のマツダ試乗記@2001

TRIBUTE
GL-X 4WD
V63000cc)



Car Introduction

 2000年10月に発表、11月から発売開始されたトリビュートは、マツダがフォードと共同開発した初の本格SUVです。「トリビュートリンク」と称し、映画・音楽・ファッションなどの他業界と手を組みトリビュートブランドを発信する新しい試みが注目されています。
 フォード版の名称は「エスケープ」で、2000年の12月には日本フォードからも国内向けにリリースされました。
 トリビュートはこれまでのSUVにない「スポーティな操縦安定性」を鍛えたのが特徴で、フロントにはL字型ロアアームを備えたマクファーソン式ストラット、リアには新開発のマルチリンク式サスペンションを採用し、優れたハンドリングと乗り心地を両立させています。

 エンジンはフォード製ユニットで、直列4気筒2000cc(G−LEV認定)とV型6気筒3000cc(E−LEV認定)の2種類を搭載。駆動方式は2WD(FF)が直4の2リッターのみに、4WDは2リッター、3リッター両方のエンジンに組み合わされます。
 RBC方式の4WDは、通常はFFに近い状態としながら、前後輪の回転差の発生を感知して自動的にトルクを後輪に伝え始めるという自然な切替え感覚が特徴。ロックスイッチを操作して前後輪のトルク配分を瞬時に50:50に固定できる電磁式ロックを備えています。
 全車トランスミッションは4ATのみ、乗車定員は5名とされています。
 






Major Equipments
 <’00年式 トリビュート GL−X 4WD>

 ○運転席&助手席SRSエアバッグ
 ●頭部保護機能付SRSサイドエアバック
 ○4W−ABS(4輪アンチロックブレーキ)
 ○EBD(電子制御制動力配分システム)
 ●RBC(ロータリーブレードカップリング)式4WD

 ○パワーウィンドー(運転席自動反転機構付)
 ●キーレスエントリー
 ○バックル・プリテンショナー&ロードリミッター機構付シートベルト
 ○運転席アームレスト
 ○座面フリップアップ&脱着機構
 ○トップテザー付ISO−FIX対応シート固定機構(後席)
 ○リアラゲッジ電源ソケット

 ●AM/FMチューナー+7スピーカー
 △マツダテレマティックス対応DVDナビゲーション
 ○リアガラスハッチゲート
 ○UVカットガラス
 ●ダークティンティッドガラス
 ●ワンタッチ電動格納カラードドアミラー
 ●本革巻きステアリングホイール
 ○アンサーバック機能付キーレスエントリーシステム
 ○花粉フィルター付オートエアコン
 ○寒冷地仕様(大型バッテリー+強化ワイパーモーター)

 ●ホイールアーチモール&サイドクラディングパネル


  (○…全車共通標準装備 △…メーカーオプション装備 ●…当該グレード装備)

 

My Impression (Test Drive at Mazda efini Yamaguchi in February 2001 )

 昨年暮れの直4・2000cc(LX)試乗に続いて、やっと真打ちのV6・3000cc(GL−X)に試乗する機会がやって来ました。はたして、「スポーツ・エンターテイメントSUV」を主張するトリビュートの本領発揮となりますか?

 トリビュートの基本装備については直4・2000ccモデル試乗時にある程度述べたので、ここではV6・3000ccモデルの特徴を中心にします。

 V6搭載車のトップグレード、このGL−Xの外観上の特徴といえば
オーバーフェンダー。これによって全幅は35ミリほど増加しますが、もともとビッグな全幅を誇るトリビュートですから、その影響は微々たるものと言い切れます。だいたい、試乗するコースは広い郊外道路なのでその影響は感じないですし、さりとてわざわざ狭いショッピングモールの地下駐車場などにピカピカの新車を乗り入れる勇気もありませんでした(^^)。でもただひとつ言えるのは、高い着座位置から生まれる高いアイポイントは、幅広ボディを扱う際に絶大なアドバンテージとなり得るということです。とくにこのトリビュートは運転席からボンネットの両端がよく見えるので、意外と不安なく走れるのです。
 それよりも、このオーバーフェンダーを境界として利用するカタチで、GL−Xグレードには全6種類の
ツートーンのボディカラーが専用に設定されていることも見逃せません。したがって、TV−CMやカタログにさかんに登場しているパッションレッド/ムーンライトグレーのツートーンのクルマも必然的に、V6・4WDのGL−Xであるということになります。私はこのツートーンは結構好きなのですが、せっかくの粋なボディカラーが特定のグレード(しかも最高グレード)でしか選択できないとは、至極残念な設定ですね。私はせめてイメージカラーは複数のグレード(できれば全グレード)で選択可能にしておくべきだと思うのですが・・・。

なかなかイイでしょ? ツートーン



 V6エンジンについては
「とてもパワフルで頼もしい」印象を受けました。直4では必要にして十分というごくノーマルな性能でしたが、こちらはプラスαを感じさせるとても刺激的なエンジンでした。交差点を左折して前方が開けたので試しにアクセル全開をしたところ、全く予期していなかった強烈な加速Gが訪れ、軽々と巨体を引っ張っていき、あっという間に車速がはね上がりました。今までマツダのRV車に試乗して一度も感じたことがなかった素晴らしい加速性能はホントに特筆モノでした。これまでこのテのクルマのハンドルを握る時に無意識のうちに諦めていた「動力性能」をしっかりと思い出させてくれるクルマですね。おそらくフル乗車しても大きなストレスを感じずに済むはずです。惜しむらくは、高速道路の合流レーンとか、ごく限られた場所でしか合法的にこの豪快な加速感を味わえる場所がないですね・・・。
 エンジンについて難点を挙げるとすればそれは「騒音」でしょう。ひとたび加速モードに入った瞬間にV6の静かさはどこへやら、直4の場合と同様、「ワイルド」とも形容し難い大きなノイズが容赦なく侵入してきます。ま、V6の場合はそれに見合うだけのパワー&トルクが伴なう分、許容できる気もしますが、低速で加減速を繰り返す状況や、ワインディングを楽しむ時などにマイナスポイントとなるかもしれません。

 さて、このクルマの一番のウリである
ハンドリングの良さに関しては、直4・2000ccの試乗時にも感じた「イイ雰囲気」が、このV6・3リッターモデルではよりダイレクトな主張として明確に伝わってきます。ステアリング操作に対する反応にダルさはなく、旋回時に発生するロールも節度感や安心感を伴なうものなので、少なくともステアリングを右に左に操作している間は、クルマの絶対的なサイズや重心高など一切忘れさせてくれる、そんな俊敏な身のこなしを見せてくれます。
 巷の自動車雑誌のトリビュート試乗記では、そのハンドリングの良さが必ずと言っていいほど述べられていますが、これは決してライターがメーカー側の謳い文句に同調し美辞麗句を並べたものではなく、紛れもない事実であることがよく理解できます。
 カタログ記載上は全く同じ仕様の足廻りを持つ直4でこれほどまでの好印象が得られなかったのは、タイヤサイズの細さが車重の軽さをも相殺してしまっていることと、相対的に非力なエンジンでありドライバーのアクセルオンに対する出力レスポンスで劣る分、「操る楽しさ」をスポイルしていたということでしょう。 

 その他気になった点について。直4への試乗時も感じたのですが、トリビュートでは
コラムATのシフトインジケータが、最近のマツダAT車と異なり非・独立タイプで、速度計の下方に設置された小窓の中に、トリップメータ表示とともにシフトポジションが横並びで表示されます。この表示がとても見難く、シフトポジションが瞬時に把握できません。とくに私のように、ATでも頻繁にシフトチェンジやHOLDスイッチのオン・オフを繰り返す人間にとっては、ほんの10分〜20分のドライブでもかなり不便に感じました。仮に、ある程度慣れたとしても、シフトレバーのストローク方向(上下方向)と、ATインジケータ表示方向(左右方向)が直交する現象は決して気持ちの良いものではありません。せっかくワインディング走行が楽しそうなSUVなのに、ちょっとしたシフトポジションの把握し辛さがその美点をスポイルしてしまいかねませんね。ここは是非、縦方向で大きく表示するカタチに統一してもらいたいと思います。

 じつは車内の使い勝手についてさらに細かくチェックしたかったのですが、私がたっぷりと時間をかけてトリビュートのドライブを堪能したものですから、ディーラーへ戻ると試乗待ちのお客さんが待機していて、早々にクルマを明け渡すこととなったのでした。(^^ゞ

 最後にまとめの一言。
V6に乗らずしてトリビュートを語ってはいけません(笑)。


◆Nukupeeの総合評価◆
(トリビュート・GL−X 4WD)
私のお気に入り度 ★★★★★★★☆☆☆
(10点中7点)
私だったらこうする ●3リッターV6車にもFF・2WDモデルを設定し、上質なハイウェイクルーザーとしての用途を提案する
●ツートーンのボディカラーを2000cc車にも展開する


Major Spec
 <’00年式 トリビュート GL−X 4WD>  (黄文字は2リッター車との相違点)
全 長 4395mm
全 幅 1825mm
全 高 1760mm
ホイールベース 2620mm
車両重量 1510kg
最小回転半径 5.6
10・15モード燃費 8.4km/L
   
エンジン形式 AJ型
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
内径×行程 89.×79.5mm
排気量 2967cc
圧縮比  10.0
最大出力 149kW(203ps)/6000rpm
最大トルク 265kN(27.0kg‐m)/4700rpm
燃料およびタンク容量 無鉛レギュラー・61L
   
懸架方式 マクファーソン式(前)・マルチリンク式(後)
スタビライザー トーションバー式(前)
主ブレーキ形式(前) ベンチレーテッドディスク
主ブレーキ形式(後) リーディング・トレーリング
タイヤ 235/70R16 105S
ホイール ×7JJ
   
車両本体価格
254万8千円〜