私のマツダ試乗記@2001

MPV
@NAVI SPORTS
V62500cc)



Car Introduction

 かつて北米で好評を博した元祖「マルチ・パーパス・ビークル」のMPV。1999年6月にデビューした2代目MPVはFFベースのシャシーとなって大きく生まれ変わりました。
 ミニバンの先駆け的存在となった初代ではどこか実用車っぽい雰囲気がありましたが、新型は都会的でスタイリッシュなデザインへと変貌を遂げています。と同時に、レッドやホワイトというソリッドな色合いがよく似合う、若々しいクルマになったともいえるでしょう。

 3列シートの室内は乗車定員を7名として完全ウォークスルー対応としています。後席用には狭い場所での昇降に便利なスライドドアを採用したほか、前後左右のスライド機構によってベンチシートとしてもキャプテンシートとしても使えるセカンドシートや、床下への完全収納や後ろ向きへの反転が可能なサードシートなど、「
KARAKURIシート」と名付けられた新発想シートによって多彩な室内アレンジを可能としています。
 こうした機能性の高さに加え、先代から大きく向上した内装の質感と低価格さが魅力となって大ヒットし、日本のミニバン市場に一大旋風を巻き起こしたことは記憶に新しいところです。

 エンジンは
2500cc2000ccの2種類のDOHCを搭載。2500ccはフォード製のV型6気筒(GY型)、2000ccはマツダ製の直列4気筒(FS型)で、いずれもレギュラーガソリン仕様となっています。これに組み合わされるトランスミッションは、コラムシフトタイプの電子制御4速オートマチックで、マツダ独自のスロープコントロール機能付きです。
 駆動方式は、2000cc車は2WD(FF)オンリーですが、2500cc車では全てのグレードで4WDが選択できます。この4WDは
ロータリーブレードカップリング式というもので、通常の舗装路ではほぼFFの状態で走行し、フロントタイヤのスリップ状況に応じて後輪へエンジントルクを伝える仕組みとなっています。また、走行中でも瞬時に駆動配分を50:50に固定できる電磁クラッチ式の4WDロック機構を備えています。
 




Major Equipments
 <’00年式 MPV 
@NAVI SPORTS 2WD>

 ○運転席&助手席SRSエアバッグ
 △頭部保護機能付SRSサイドエアバック
 ○4W−ABS(4輪アンチロックブレーキ)
 ○EBD(電子制御制動力配分システム)&ブレーキアシスト

 ○自動反転機構付パワーウィンドー(ワンタッチ機構&タイマー機構付)
 ○プリテンショナー&ロードリミッター機構付ELR3点式フロントシートベルト
 ○ALR(チャイルドシート固定)機構付ELR3点式セカンドシートベルト
 ○リアラゲッジ電源ソケット

 ●スポイラー(フロント・サイド・リア・ルーフ)
 ●UVカットガラス(全面)
 ●ダークティンティッドガラス(リアドア、リアクオーター、リアゲート)
 ○ワンタッチ電動格納リモコン式カラードドアミラー
 ●フロントフォグランプ
 ○電波式キーレスエントリーシステム
 ○スライドドアイージークロージャー
 ○アルデヒド除去機能付エアフィルター
 ○ツインエアコン(フロントフルオート)
 ○寒冷地仕様(大型バッテリー+強化ワイパーモーター)

 
●マツダテレマティックス対応DVDナビゲーション
 ●パワーアンプ&ハイクオリティ9スピーカーシステム

  (○…全車共通標準装備 △…メーカーオプション装備 ●…当該グレード装備)






My Impression (Test Drive at Yamaguchi-Mazda Tokuyama in January.2001 )


 一般に「RV系のクルマ」と聞くと、背が高くて腰高なイメージがあるのですが、ミニバンは運転席に乗り込む際も普通の乗用車感覚で違和感なく乗り込めて、運転感覚そのものも乗用車に近く、それでいてアイポイントが高くて見晴らしが良いなどの利点があります。MPVもまさにその通りのクルマです。
 私が乗り込んですぐに感心したのはステアリングホイールで、大きさ・角度・位置ともに絶妙であり、思わず楽しいドライブを予感させてくれるものでした。また、ウィンドウ下端の高さが低く、助手席側のサイド視界が良好なことも大きな安心感につながっています。


 さすがに1.8mを超える全幅を誇るだけあって、室内空間の広さに不満はありません(^^)。しかし、不思議なことにこのクルマを外から眺めるとそれほどの車幅を感じないのです。立体感のあるフロント周りのデザインと、引き締まった顔付きが奏功しているのでしょうか・・・、一瞬「これって5ナンバーだっけ?」と思わせるほどです。

 初代MPVとの大きな違いを感じるのは
スライドドアの採用です。スイングドアにも操作感の軽さなどの利点はあったはずですが、やはり狭い場所での乗降性を考慮すると、スライドドア採用による恩恵は計り知れないものがあるでしょう。スライドレールを目立たせないように、リアウィンド下端のラインに合わせて設置しているのも「マル」ですね。
 慣れないスライドドアを開けて乗り込むと、2列目のシートは
左右両側にアームレストの付くゆったりサイズのシートで、2脚間のウォークスルーも楽々とできます。私は、ミニバンや1BOXなど多人数乗車できるクルマでは後席乗員の快適性をとくに重視したいので、このキャプテンシートは見事に「合格」ですね。さらに、左側のセカンドシートは左右にもスライドできるので、セカンドシートに乗員がいる状態でもサードシートへの乗降が簡単にできることも見逃せないポイントです。
 そのサードシートはベンチタイプで、さすがに前2列のキャプテンシートと比べると快適性は劣りますが、サイズの不満はないでしょう。欲をいえばここに格納式のセンターアームレストが付けば、最後席の2名までしっかりと寛げる体制がとれて完璧なのですが、このサードシートには後ろ向きに反転させて使用する役目があるために、設置は困難なのでしょうね。

前後にも、左右にも(^^)   蓋付きシートサイドBOX

 エンジンは低速時にややトルクが細いような印象もありますが、その吹け上がりは全くストレスを感じさせず、2名程度の乗車人数では街中をスイスイと走り抜けることができます。
 唯一不満点があるとすれば、加速時に車内に侵入してくるエンジン音でしょうか・・・。一定速度で巡航する場合の静粛性は問題ないのですが、例えば高速道路の合流のように本気の全開加速でなくても、周囲のクルマの流れに乗るために30〜40キロの速度域で少しアクセルを踏込んだような場合に、
「グワァ〜〜ッ」と唸るようなエンジン音が容赦なく聞こえてきます。
 私のように、KF型(ランティス)〜KL型(ユーノス800)とマツダ製V6エンジンに慣れ親しんだ人間からすれば、この2500ccのGY型は「V6」というコトバから連想する音質や音量には少し物足りないところがあります。ボディまで含めた大掛かりな遮音対策は難しいとしても、侵入してくる音質をチューニングすればいくらか印象は変わるかもしれません。

 試乗したクルマは限定車の「@NAVIスポーツ2WD」で、そのベースグレードはスポイラー類がすべて標準装備となる「スポーツ」です。私は今流行りの過剰なまでのエアロパーツは好きではありませんが、このMPVの純正スポイラーは嫌味がなく、足元をキリッと引き締める視覚的効果があってイイと思います。
 この「スポーツ」は15インチタイヤが中心のMPVの中にあって、最上級の「L」とともに
215/60R16タイヤを履くグレードですが、偏平率アップ(65→60)によるゴツゴツ感などの弊害については、同乗したセールス氏からその感想を求められるまで、私は少しも意識することはありませんでした。
 ハンドリングで特に目立った印象はありませんでしたが、今回試乗した2WD車では前後共に装着されているスタビライザーが4WD車ではフロントのみとなるため、もし試乗すれば両車のコーナリングの違いが感じられるかもしれません。
 ともあれ、普段ならハンドリング性能に人一倍敏感な私をして、そんなコトも一切忘れてゆったりと走る気にさせた時点で、このMPVの「勝ち」でしょうか・・・(^^)。

気持ち良いインパネ周り

 こうしてわざわざ室内の写真を撮って載せるくらいに、私はこの暖かみのあるベージュの内装がタイヘンお気に入りです。この新型MPVを最も強く印象付けるポイントで、ドアを開けた瞬間に漂う、明るくて落ち付きのある上質な雰囲気は、まさに「最高の時間(とき)を運ぶもの」というコピーにピッタリです。最上級グレードであるLパッケージには標準装備である「木目調インストルメントパネル」をディーラーオプションで装着すれば、かなりゴージャスな室内空間が完成します。全10色のボディカラーのうちで、ブラックやシルバー系を選ぶと自動的に内装色はグレーとなるのですが、私なら最初にベージュの内装色ありきで、それに合わせてボディカラーやグレードを選んでしまいそうですね(^^)。


 MPVといえばもうひとつ、サザンのナンバーをアレンジした、軽快で心地良いTV−CMを忘れることはできませんね。家族全員あるいは気の合う仲間達とトビキリの楽しい時間を共有する、そんなシチュエーションがとても良く似合うクルマだと思います。
 価格帯は、2WDが
207万8千円(2000cc B)という、5ナンバーサイズのクルマとも十分にラップする低価格から始まって266万8千円(2500cc L)まで。4WDは2500ccオンリーとなり254万8千円(G)から291万8千円(L)までというゾーンで、高い価格がネックだった初代のMPVからは想像できないような魅力ある価格です。最近軒並みに他社のライバル車が低価格バージョンをリリースし始めたのも、このMPVのプライスインパクトが非常に大きかったことの証明でしょうね。
 今後もパワートレイン系を中心にコツコツと改良を重ねていけば、ミニバン先駆者としての地位を揺るぎないものにする、素晴らしいクルマに成長すると思います。


◆Nukupeeの総合評価◆
(MPV SPORTS 2WD)
私のお気に入り度 ★★★★★★★★☆☆
(10点中8点)
私だったらこうする ●Lパッケージにのみ装備されるオートクルーズ機構を、他のグレードでも選択可能とする
●サードシートの反転機能の代わりにセンターアームレストを装備する

●エンジンの遮音性をもう少しだけ改善する


Major Spec
 <’00年式 MPV @NAVI SPORTS 2WD>
全 長 4750mm
全 幅 1830mm
全 高 1745mm
ホイールベース 2840mm
車両重量 1640kg
最小回転半径 5.7m
10・15モード燃費 8.6km/L
   
エンジン形式 GY型
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
内径×行程 81.×79.5mm
排気量 2494cc
圧縮比  9.7
最大出力 125kW(170ps)/6250rpm
最大トルク 207kN(21.1kg‐m)/5000rpm
燃料およびタンク容量 無鉛レギュラー・65L
   
懸架方式 マクファーソン式(前)・トーションビーム式(後)
スタビライザー トーションバー式(前・後)
主ブレーキ形式(前) ベンチレーテッドディスク
主ブレーキ形式(後) リーディング・トレーリング
タイヤ 215/60R16 95H
ホイール ×6JJ
   
車両本体価格
264万8千円(@NAVI スポーツ・2WD)
スポーツ・2WDは249万8千円〜