<旧車シリーズ 837>


KUROGANE KE型


 
戦前にオート3輪の三大メーカーの一つとして知られた日本内燃機鰍ヘ、戦時中に軍需品の製造に深く関わった後、1946年に民需産業へ転換、1949年には一旦解散して新たに日本内燃機製造鰍ニして再出発するが、終戦後にはいち早くオート3輪の製造を再開していた。オート3輪市場ではまだ空冷の単気筒エンジンが主流だった中で、戦前から空冷V型2気筒エンジンを搭載していたくろがね号の技術イメージは高く、順調に販売台数を伸ばして1954年には年産1万台を超えるほどのピークを迎えている。
 当初は戦前型の復活生産からスタートしたくろがね号も、市場の活性化とともに年々進化を遂げ、1951年には750kg積みのKE型/1トン積みのKD型にフロントキャブと幌屋根が装着され、エンジンはサイドバルブ式からOHV式となっている。平板を接合して形作られたキャビンは極めて無骨なイメージのもので、まだ雨風からドライバーを十分守れるものではなかった。曲面デザインを採り入れた鋼板プレス製キャビンとなるのは、その後1955年式の登場まで待たなければならなかった。

 
実働状態にメンテされているというこのくろがね号は、一見するとKD型のように思えるのですが、説明パネルには「最大積載量750kg」と記載されているので、ここではKE型としておきます。この写真はシャッタースピードを誤設定してしまったので、そのうち再訪したいと思います(涙)。
 余談ですが、ここの博物館の説明パネルの一部には、本Category-Qの解説文がそのまま転載されていたりして、大変興味深いですよ(笑)。
 


指定年式:1954
撮影時期:2004年7月
撮影場所:福岡県福岡市東区西戸崎 日本の名車歴史館にて