<旧車シリーズ 834>


DAIHATSU CM8型


 
1962年、ダイハツのオート3輪の最終進化形となるCM/CO型が登場した。ショートボディが特徴的な1.5トン積み車はBM型からCM型となり、水冷V型2気筒1135ccのGMA型(最高出力35ps)は、それまで2トン積みのBO型に搭載されていた水冷直列4気筒1490ccのFA型(同68ps)に換装された。ハイラインやV100にも搭載されたこの1.5Lエンジンは、8.2の圧縮比で最高出力68ps/最大トルク11.5kgmというクラス最強のスペックを発生した。トランスミッションは前進4段コラムシフトで、最高速度は100km/hに達した。また、このCM型からフロントドラムブレーキが装着され、ようやく1.5トン積み車も全輪制動化された。
 1958年登場のPM/PO型以来、ルーフ部までカバーする全鋼製のフルキャビンがダイハツ号の特徴のひとつに挙げられるが、CM型はCO型よりも荷台幅が狭いため、全幅はほぼキャビン幅に等しい1700mmに収まっている。2.97mという長めのホイールベースながら、最小回転半径は僅か3.92mで、抜群の取り回し性を誇ったのもCM型の特長であった。
 CM型では荷台長8尺/10尺、そして一方開き/三方開きの荷台バリエーションがあった。


 
この鮮やかな日通カラーのCM8型は配送中の実働車で、その昔、家族旅行で訪れた有田町内で偶然遭遇したものです。水冷4気筒化を機に導入されたアイビーブルーのボディカラーも、さすがにこのカラーリングではその面影すらありません。実は驚くべきことに、この時は有田町内を走行中の約15分間で、立て続けに3台もの日通カラーのダイハツ号と路上で遭遇したのです。私はそれらのダイハツ号たちが信号で停まるまで父に追い掛けてもらい、その都度、助手席からダッシュして撮影を繰り返しました。三輪車好きとしては思わずシビれてしまう、旅先での午後のひと時でした。

推定年式:1968
撮影時期:1983年8月
撮影場所:佐賀県有田町にて