<旧車シリーズ 832>


DAIHATSU SK型


 
1946年、500kg積みのSE型でオート3輪の生産を再開した発動機製造鰍ヘ、早くも1949年には空冷2気筒エンジン搭載の新型車・SH型を発売した。SH型は油圧ブレーキを初めて採用、ダイナモはベルト駆動となり、ノッキング防止のため長距離登坂増力装置が導入された。
 1952年に登場したSK型は、SF型/SH型の後継にあたる500kg積みモデルで、エンジンは単気筒736ccのGP750型で、最高出力は14.5ps、始動は従来通りのキック式である。写真のSK型にはフロントスクリーンや幌が装着されているが、これはまだ後付け色が強い過渡的な仕様である。この点、同じく
1952年発売の1トン積み・SN/SSN型は平鋼板製のフロントカウルを当初から備えており、戦前型オート3輪に付きまとった「オートバイ+荷台」のイメージからの本格脱却が図られ始めていた。おりしも、それから数年の間にオート3輪市場は最盛期を迎える。1トン積み以上の主力クラスでは多気筒エンジンや水冷式エンジンの登場で高性能化が急速に進んでいくが、その一方で、低価格が強く求められる500kg〜750kg積みクラスでは、依然として旧来の空冷単気筒エンジンが暫く主役の座に居座っていた。
 
 
SK型のダイハツ号は過去にNo.806でも紹介済みですが、現車は珍しいウィンドシールド付であり、しかも当時のナンバーが付いた貴重な実動車ということで、再度登場となりました。
 私は旧車誌で既に何度か見ていたこの個体に、2004年のNYMでやっと会えたわけですが、ラッキーなことに、このクルマがパレードランに出動する瞬間に立ち会うことができました。周囲の注目の中、オーナーさんが何度かキックを繰り返してようやく目覚めた発動機製造ご自慢の単気筒エンジン、「バタバタバタバタ・・・」という特徴的なサウンドを残して走り去ったその勇姿を、おそらく私は一生忘れることはないでしょう。


推定年式:1952
撮影時期:2004年1月
撮影場所:東京都江東区青梅 ニューイヤーミーティング会場にて