<旧車シリーズ 707>


MAZDA FAMILIA TRUCK (BSA55)


 
東洋工業は1960年代に入って4輪トラックのラインナップを急速に拡充していく。ボンネット型では350kg積みのB360と1トン積みのB1500、キャブオーバー型では1〜1.5トン積みのD1100、2トン積みのD1500が存在し、オート3輪で築いた幅広い機種体系が、4輪の代替モデルで埋められつつあった。これに500kg積みのファミリアトラックが加わる。
 バンの発売開始から遅れること1年、1964年12月に登場したファミリアトラックは、ファミリアシリーズに共通するフラットデッキスタイルを踏襲したスタイリッシュなトラックである。アルミ合金製の直列4気筒782ccOHVエンジンは、セダンではのちに圧縮比を高めて最高出力が45psまで向上するが、商用車系では圧縮比は当初のまま据え置かれ、さらにトラックではエンジン特性を低回転型に再チューンして搭載していた。そのため最高出力は37psに留まったが、クラス最大級の積載量を誇っていた。また、足廻りは車検から車検までのメンテナンスフリーを謳い文句としていた。
 1967年にはファミリアシリーズに角型2灯ヘッドランプを採用した1000シリーズが加わるが、最も展開の遅れた1000トラック(BPA55型)だけは丸型2灯ヘッドランプを踏襲した。


 
ファミリアトラックといえば二代目以降の角目2灯のトラックを連想するのですが、初代にもしっかりトラックがラインナップされていました。よく観察すると、初代ファミリアの特徴的なデザインのひとつであるショルダー部分の鋭いプレスラインが、トラックの荷台部分にまできちんと繋がっていて、クルマ全体としての統一感があることがわかります。当時の日本にはこんなデザインの主張がある個性的な商用車が沢山存在していたんですよね。

推定年式:1965
撮影時期:1981年1月
撮影場所:山口県防府市植松にて