<旧車シリーズ 612>


MAZDA E2000 (EVA12)


 
1964年1月に登場したE2000は、2トン積みの本格キャブオーバー型トラックである。ポジション的には東洋工業初の4輪トラックとなったロンパー〜D2000の後継だが、横4灯のヘッドランプを採用するなど、そのキャビンスタイルは大きく進化を遂げている。全長はセミボンネットスタイルのD2000とほぼ同じ4685mmで、その分荷台長が延長されたことになる。逆にホイールベースは約300mm短縮され、最小回転半径は5.5mから5.1mへ改善した。エンジンはD2000から受け継いだ水冷直列4気筒1985ccOHVのVA型で、最高出力は81psである。ブレーキはクラス唯一のハイドロマスター付の2リーディング式である。
 E2000は標準車とロングボディ車のシンプルな構成でスタートしたが、のちにダブルタイヤ車、平床三方開車、ダンプ、ダブルキャブ車が追加されていく。また、1965年には2236ccガソリンエンジンを搭載するE2300、1967年には2522ccディーゼルエンジンを搭載するE2500が加わり、3トン〜3.5トン積みクラスまでカバーした。
 1968年12月のマイナーチェンジではフロントグリルのデザインを変更、安全対策でサイドマーカーが装着された。

 
 
E2000が搭載したVA型エンジンは、当時のマツダ商用車の中核ユニットで、あのT2000にも搭載されていました。'60年代も中盤となり、小型オート3輪が急激に衰退していく中で、このE2000が、ユーザーの4輪トラック移行の受け皿的な役割を担っていたことは想像に難くありません。そのためか、当時の写真資料などには、オート3輪に交じってこのEシリーズトラックが疾走している姿をよく見かけます。
 E2000という名前は、現在でもマツダの海外向けトラックに受け継がれています。


推定年式:1969
撮影時期:1980年12月
撮影場所:山口県徳山市住崎町にて