<旧車シリーズ 107>


DATSUN SEDAN (113)


 1955年(昭和30年)1月、日産自動車は戦後初の新型乗用車となるダットサンセダン(110型)を発表する。トラックと共通のラダーフレームをベースに前輪を縦置きのリーフスプリングとしたシャシーに、ダットサンDB型/DS型譲りのサイドバルブ860cc4気筒エンジンを搭載するコンベンショナルなメカニズムだが、オールプレス成型となったモダンなボディデザインはは高く評価され、第2回毎日工業デザイン賞を受賞した。同年12月にはエンジンや操向装置、計器盤等に50箇所もの小改良を加えて112型となり、翌1956年6月に登場した113型では、4段のフロアシフトをコラムシフトに改め、チューブレスタイヤをオプション設定した。また、従来は関西以西向けを三菱重工へ発注していたボディが、この113型からは完全に日産自製のものとなった。
 1957年には1000ccエンジンを搭載した210型がデビューするが、113型もその後モディファイを受けて114型〜115型へと進化し、廉価版モデルとして販売が継続された。


 ダットサン110系/210系はフロントマスクの違いで概ね年式が判別できますが、112型および113型の特徴といえば、このメッキのハーモニカグリルです。もはや最初期の110型はほとんど現存が期待できないため、このユニークなグリルを持つ個体は、事実上110系/210系で最古の部類に属すると言ってもよいでしょう。114型/210型以降では廃止された平面フロントガラスも含めて、このクルマには初期型ならではの静かな迫力を感じます。

推定年式:1956
撮影時期:1989年1月
撮影場所:東京都新宿区神宮外苑 '89ニューイヤーミーティング会場にて