1979年か80年頃に書いた感想文。
変な表現や誤字脱字、意味不明な箇所、全部原文のまま。
(変換できなかった誤字も多数あった)

 7月9日     スター.ウォーズ

 『スター.ウォーズ』が公開されたのはH-市では大劇の70m/mパレスとOS-松竹座で7月1日からだった。T君は松竹座ではやくから前売り券(注1)を買ってきており、そのときもらったチラシをみせて私にみせてくれたりしたのでそれに刺激された私はチラシと前売り券がほしくなった。6月下旬だったと思うが、70m/mパレスでは『マニトウ』と『クワイヤ.ボーイズ』が公開されており、T君がそれをみにまいるということなので、私は彼にたのんで『スター.ウォーズ』の前売りを買ってきてもらった。この前売り券は当然70m/mパレスのものであったからT君は松竹座に、私は70m/mパレスに映画をみにいくことになる。

一学期の期末考査が7月3日か4日くらいまであったので私が映画館におもむくには7月9日の日曜日がつごうよかった。さて9日にはひとりで映画館まで行ってもよかったのだが、どうせなら誰かを誘おうと思って、同じクラスのN君に声をかけてみた。彼の返事はO.K。 あくる日の朝9時11分発の電車に乗るから、9時にA-市駅に待ち合わせをした。

だが、当日彼は来なかったのでる。電車の出る9時11分を過ぎてもまだ駅に姿を表わさなかった。彼の家に電話しようかと思ったが、電話番号をおぼえてなかってので、電話したくてもできなかった。しかたがないので私は9時25分の電車に乗ってひとりででかけたのである。N君が来なかった理由は、後で聞いたのだが、彼は前日の8日に、先生に言ったそうである。「あした、映画みにいくんや」A-市立N中学校では生徒同士で映画に行くことを禁止していたので、当然先生は「あかん」と言う。そこでバカ正直な彼はその言葉に忠実にしたがったのであった。予定が狂い、一人で見ることになったので、いささか心細かったが、たまにはひとりで映画を楽しむのもいいだろうと思ってH-市におもむいた。

映画についての予備知識も、この作品に限ってずいぶんあった。 制作ゲイリー.カーツ

監督ジョージ.ルーカス音楽ジョン.ウィリアムス、、、チラシで覚えた知識、そして劇中の登場人物のカオ、名まえはコカコーラのうらぶたにプリントしてあるのを見てだいたいおぼえていた。(注2)それでかなりリラックスして席にすわれた。ストーリーの展開もだいたい知ってるし、てきとうに場面をながめていればよいだろうと思っていたのだ。そして映画が始まったとたん、私はびっくりした。STAR WARSというタイトルのあとである。スクリーンの下の方からA Long Time Ago...という例のナレーションがもちあがってきた。あのような立体的なタイトルをみたのは初めてだったし、いきなりあのスター.ウォーズのタイトルが出てきたからなのだった。ーそして映画は『あっ』というまに終わってしまった。本当におもしろかった。どこがおもしろい、などと言われても困るが強いてあげれば全部である。音楽、特撮、物語、キャラクター、すべて文句のつけようがなかった。

だいいち14歳の私が自分の好きな映画にケチをつけるわけがない。2年後の現在でも全くその気持ちに変わりはない。おもしろい映画=良い映画である。キャラクターの中でも私がとくに好きだったのはオビ.ワン.ケノービ老師だった。あの服といい、白いヒゲといい、ライトサーベルのふりまわしかたといい、何とかっこいい老人であろうか!と感心しながらみていたものだ。

    May the force be with you! 名ゼリフだ。

そんなわけで、私はもう1回、みようと思ってずっとすわっていたのだが、その時、異変がおこったのである。何者かが肩をたたくので、ふりむいてみると、そこには意外な人物が立っていた。、、、T君である。そのとなりには私と同じ陸上部のY君が立っていた。T君がマッタケ座の前売り券を売りとばして70ミリパレスにくら変えしたのは知っていたが、まさか同じ日に映画館で顔をあわせるとは思いもよらなかった。私とT君とY君が3人仲良く次の回、映画を楽しんだことは言うまでもない。、、3人いっしょに帰りながら、いろいろな話をした。また、スター.ウォーズの話になった。 デス.スター。日本語でいうと『死の星』オモチャみたいなネーミングだと思う。英語でいっとるからカッコよくきこえるのだ。 ダース.ベイダー。何だ?あのマスクは。たぶんあのオッサンはおもしろおかしい顔で人に笑われてはイゲンがないので、あんなもんかぶっとるにちがいない。

『理力』これがいちばん、わからん。たぶん超能力の一種だろう。(のちに『ガンダム』に出てくる『ニュータイプ』もこの一種だろう)そーだ。そーだ。あのケノービ老人が切られたはずなのに消えうせたり、X翼戦闘機でルークがデス.スターにせめこんだときMay the force be with you! などとささやいたのも理力のせいにちがいない。たいしたもんだ。

ところでベイダーは最後はどうなんだ?オレは宇宙に飛び去ったままのように思ったが。

そうだ。オレもそう思ってたのだ。あれでは話の決着がつかんではないか。(注3)

ライト.サーベル。あれはいちばんカッコよかった。しかし何でベイダーのは赤でケノービ老人のは青だったのだ? しつこくなるのでこのへんでやめますが、こんな会話はべつに深い意味はないのです。ただ、映画にかんけいあることをしゃべっていたいだけだったのだ。そうこうするうち、電車はH-市からA-市まで着いてしまった。それから私たち3人は自転車で帰った。夕日は山の彼方に消えつつあった。自転車屋の前でY君と別れ、私とT君は消防署の前で別れた。家の門の前では父が水をまいていた。(注4)

もうカンペキに夏なのだなあ、夏休みが楽しみだ、などと思いながら自分の部屋に帰って映画のパンフレットを見た。読んだ。

1月4日に予告編を見て以来7カ月、ずっと気になっていた映画をみてしまったので、気がぬけてしまったようだった。

注1 前売り券とチラシは映画ファンのコレクションとして重要なアイテムだった。

 2 コカコーラのうらぶた。うーむ。瓶入りのコーラなんて懐かしいなぁ。 

 3 続編の『帝国の逆襲』の存在は、当時まだ知られていなかった。 

 4 前回の6月11日にも同じ描写がある。水を撒くのが好きなのね。お父さん。



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