ビールと煙草

1.

やまもとへ。
いやー、夏だね。暑いねぇ。ビールがうまいね。ほんとにいい季節になったね。
ところで、こんな話を知っているかい?ビールの本場、ドイツの話なんだ。
あの国ではビールの原材料は法律で決まっていて、キツイ制限があるらしい。

「ビールは麦芽とポップから造る。これ以外の成分は却下。」だ、そうだ。

「他になんか余計なもの入れたらビールだなんて認めんからな。」

「我が国はガンコなんだからな。」

「覚悟しとけよ。法律違反だからな。」

と、いうわけだ。職人肌で、プライドが高い。さすが、ビールを発明した国。
ところが、日本のビールのなかには、その他にも原材料として、米、コーン、スターチなんてのが入っている。ほとんどの日本国産ビールはそうだ。
たとえばキリンラガービールをドイツ国内において「これはビールだ」と言って販売すれば、法律違反になるわけですね。
ちなみに、ドイツにアサヒスーパードライを持ち込んで、たとえばベルリンの市街地で、警官の来るのを待ち、ドイツ語で「これは、ビールだ!」と声高く宣言し、腰に左手を当てて、右手で缶を持ち、頭を45度空に向けて、グビイイイッツ!と飲んだら、どうなるのだろうか?
背後には日の丸とドイツ国旗とドイツ語で書いた看板を掲げて欲しい。
唄い文句は「原材料:麦芽、ポップ、米、コーン、スターチ。」「これはビールだ!」
はたして、逮捕されるだろうか?
「電波少年」だっけ?松本明子に是非とも、やってもらいたい。

2.

煙草の広告に対する規制はヨーロッパではたいへんにきびしい。たしか、テレビにも新聞にも煙草を載せてはいけないはずだ。
何年か前の事、フランスで、F-1のウィリアムズチームに、煙草の広告に関して、有罪判決が下った。なにしてるわけでない。ただ、その車体がテレビに長時間映っただけである。自動車レースでトップを走れば、いっぱい画面に出るのはあたりまえである。そしてスポンサーが煙草会社である以上、そのロゴがカラーリングされてるのもあたりまえである。しかも、フランス国内ではなく、よその国で開催されたレースである。しかし、これにフランスの嫌煙団体は告訴し、判決が下されたのだ。有罪である以上、警察は法と秩序を守るために活動しないわけにいかない。当然、ウィリアムズチームが入国すれば、その場で逮捕されてしまうのだ。
事態はF-1フランスグランプリの中止問題にまで発展した。結局、中止にはならなかったんだけどね。どんな措置がとられたのか、くわしくは知らないけど。

「煙草は健康に悪い。」

「肺癌になる可能性は吸わない人に比べて格段に高い。」

「吸わない人の身にもなれ!」

「エチケットを守れ!」

ここまでは、納得できますな。しかし、

「我々は煙草の広告を見たくない。」

「あんなものは許せん、訴えてやる!」

「逮捕だ!逮捕!」

あー怖い。日本人で良かった。
嫌煙団体の人も、まさかこんな事態になろうとは考えもしなかっただろう。きっとスポーツとしてのF-1は観戦したかった人もいたに違いない。
でも、一度ふりあげた拳は、簡単におろせないのだ。

こちらは「電波少年」の入り込む余地は絶対にないですな。即、逮捕だ。


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