講演の最後に扁平苔癬の口腔ケアの話がありましたが、ご講演の中で「マウスジェル」を使用していらっしゃるとのことですが、

1.  具体的にどのように処方されたのか?

2.  リンスと併用はされたのか?

3.  どのくらいで効果が得られたのか?

ということをお教えいただけませんでしょうか? 


1.2についての回答

院内(プロケア)での使用

あらかじめ残存歯を探針やエキスプローラーなどでディプラ-キングしたあと、コンクールマウスリンスを含ませた綿球で口腔粘膜や舌を清拭する。

器械的な歯面清掃が行える状態であれば、バイオエキストラマイルドペースト(現在販売中止)を用いてPTC・PMTCを行う。

特に痛みや出血をともなう粘膜は、コンクールマウスリンスをたっぷり含ませた綿球を患部にそっと押しつけるような感じで清拭した後、マウスジェルを塗布する。

自宅(セルフケア)での使用

界面活性剤(発泡剤)・エタノール・メントールなど口腔粘膜を刺激する成分が配合されている歯磨剤の使用はやめる。

ブラッシング時にはバイオエキストラマイルドペースト(現在販売中止)を使用する。

症状に応じて1日3回(食後又はブラッシング後)〜5回(食後又はブラッシング後+食間又は口渇が気になるとき)、コンクールマウスリンスで洗口する。

リンスで洗口した後、患部にコンクールマウスジェルを綿棒などで塗布する。(日中塗布する回数は症状に応じて加減するが、就寝前は必ず塗布する)


3についての回答

この患者さんは、症状が出てからすぐ紹介先の大学病院の口腔外科で扁平苔癬と診断されました。その後1年くらい、当院で洗口剤や軟膏を変えるなどなんとか試行錯誤しながらケアを行っていましたが、目立った効果は見られませんでした。

そこで、当時新発売されたバイオエキストラシリーズの製品に着目してまずプロケアで使用してみました。(「院内(プロケア)での使用」を参照のこと)

PMTCと粘膜ケアのあと、患者さんに感想を伺うと「ヒリヒリ感や歯肉が引きつる感じが楽になる」とのことでしたので、早速セルフケアでも使用していただくことにしました。

顕著な症状(ヒリヒリ感・歯肉が引きつる感じ)は、セルフケアにおいてもプロケア使用時同様に使用後すぐに和らいだようです。

約2週間後の来院時には、粘膜の発赤はまだありましたがそれまで来院時たびたび訴えていたつらい症状はずいぶん楽になったようでした。

さらに1ヶ月後には、患部がただれたような発赤状態から表面がツルンとした発赤に変わっていました。また、1年以上気になさっていた食事やブラッシング時の不快感が緩和されて日常生活でのストレスがほとんどなくなったとのことでした。

それから1年半ほど同じようなプロケアとセルフケアを継続して行ったところ、粘膜の発赤がほとんど目立たなくなっていました。

 

現在、バイオエキストラシリーズ製品は販売中止となったため、

それぞれ下記のように変更して使用しています。

 

◎Bエキストラマイルドペースト→コンクールマウスジェルとクリーニングジェルソフトを併用

◎Bエキストラマイルドリンス→コンクールマウスリンス

◎Bエキストラマウスジェル→コンクールマウスジェル

文責:波多野映子歯科衛生士