研究者ウ゛ィザの取得手続きについて


 東京都港区広尾(関西では神戸)のフランス大使館領事部で、Protocol d'acceuilを入手することから、手続きは始まります.必要な事項を記入の上、受け入れ先のProfesseur(前から顔なじみとか、フランスに研究しにおいでなさい、とか言ってくれた人)にこのProtocol d'acceuilを送付します.
 もし、相手のProfesseurが、よく事情をご存知の方でしたら、ただちに、相手方の研究機関→居住予定の地区を管轄しているPrefectureへと、書類をまわしてもらうことになるはずです。法改正以来、すでに、6年経っていますから、研究機関に対して、この手続きについての周知徹底がおこなわれているはずです。念のため、まず、相手の方に、手続きについて、きちんと説明されることをお勧めいたします。私が申請した時(1999年)、まず受け入れ教授にProtocol d'acceuilを送り、受け入れ機関のサイン・印とPrefectureのcachetの取得を依頼したところ、そんな入管みたいな仕事はしない、と断られて、えらいことになりました。その後の経過は、別項の通り(明治大学法学部村上一博先生の手記)です。なお、肝心なことは、居住予定の地区を管轄しているPrefectureのcachetをもらうのであり、居住が定まらないうちにPrefectureのcachetをもらい、その後、そのPrefectureが管轄する地区とは異なる所に居住すると、ややこしいことになるそうです。この点は、駒沢大学の佐々木真先生が詳しく述べておられます。http://plaza12.mbn.or.jp/~Makoto_Sasaki/Carte_de_Sejour.htmをご覧ください。

ウ゛ィザ取得の例外
私のケースは、レアケースです。受け入れ機関がちゃんとした手続きをしてくれないため、港区のフランス大使館領事部で、受け入れ機関のサイン・印のみの状態で送り返されてきたProtocol d'acceuilを提出し、Prefectureのcachetが得られなかった事情を説明しました。領事部は、長いこと上司とおぼしき人と電話で相談していましたが、仕方がないということで、ヴィザを発給してくれました。フランス入国後、私は、Prefecture(Val de Marne県の県庁Creteil)に行って、 carte de sejourの申請をおこなおうとしました。その際、窓口で、Protocol d'acceuilにPrefectureのcachetがないということを指摘され、その間の事情を説明したところ、Protocol d'acceuilにPrefectureのcachetがなくてヴィザを発給するはずがない、と言っていました。しかし、現にヴィザはあるので、窓口係官は、長いことどこかに電話をかけていました。おそらく、内務省か、外務省の管轄部局、あるいは、警視庁かもしれません。その上で、OKということで、cachetをもらえました。別紙ではなく、日本駐在フランス大使館領事部でもらったProtocol d'acceuilの右肩に押したように思われます。しかし、その後に、つぎの3が待っていました。

滞在許可証carte de sejourの取得
いささか、ややこしいことなので、前後関係、細部は忘れてしまいましたが、フランス入国後、戸籍謄本を日本大使館(あるいは、日本人会)で、法定翻訳をしてもらった記憶があります。それを持って、上記のcarte de sejour申請時に、妻の分、子どもの分の上記法定翻訳を申請時に一緒に提出しました。その後、パリ南郊のMontrougeにある外国人受け入れ保険施設からconvocationが送られてきて、私、妻、子どもは、一緒に健康診断を受け、その健康診断書類とパスポートを持って、再びPrefectureへ行き、ようやく全員carte de sejourをもらうことができました。研究者の奥様が研究者であれば、同一の手続きとなり、相手方にヴィザの取得に要するPrefectureのcachetを押してもらい、carte de sejourを取得する手続きをとります。しかし、奥様が研究者でない場合、奥様の身分上の証明がないことになります。この件に関して、フランス大使館領事部に確認された方がよろしいかと存じます。おそらく、戸籍謄本を婚姻証明書として翻訳するのであろうと思われます。このヴィザと、居住を証明する書類(家賃、EDF/GDF、France Telecom)を持って、Prefectureで、carte de sejourを作成してもらいました。
以上まとめますと、居住地を決定する→受け入れ教授にProtocol d'acceuilを送付して受け入れ機関のサインや印をもらう→受け入れ機関を通じてPrefectureのサイン・印をもらう(パリ市内居住予定であれば警視庁、その他であれば、その県の県庁所在地のPrefecture)→ Protocol d'acceuilを手元に返送してもらう→フランス大使館領事部でヴィザをもらう→Protocol d'acceuilと居住証明書類とを持って、Prefecture(パリ市内ならばPrefecture de Police)に出頭する→Montrougeにある外国人受け入れ保険施設からconvocationがくる→健康診断書類が送付される→ヴィザ付きパスポート+健康診断所を持ってPrefectureに申請する→carte de sejour取得
という過程です。
こういう面倒な過程となったのは、フランスの大学が外国人を受け入れて、成果が上がるように、これまでの雇用関係となる研究者(すなわち有給)と、雇用関係にない招待研究者(無給)とを同一カテゴリーScientifiqueに入れ、健康診断等の費用をCNRSが負担するということになったと聞いております。ですから、手続きが、後者(私のような場合)の研究者は、前者並みのややこしい手続きを要することになったとのことです。その上で、健康診断の手数料がただになるだけなのですから、どうも割りにあわない不合理な改正だと思います。とはいえ、いまだに、法改正がないとすれば、上記の手続きを踏まざるを得ないようです。

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