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歴史屋の電脳化一フランス奮闘篇

パソコン基本装備
デジカメ
 スキャナ
画像処理
テキスト入力

最近の若い方は(こういう言い方が身に付く人生の暮れ方!)、自由自在にパソコンを操り、おじさんたちをくやしがらせます。けれども、操作だけが情報化ではない!フランスというフィールドに降り立ち、歴史資料を探し回り、解読している研究者にとって、情報機器=デジタル装備は、必要と言うより、不可欠そのものです。さあ、あなたも始めてみよう、地獄のデジタル装備バトル、涙なしには読めないフランス奮闘篇。
まず、史料のコピー、デジタル入力の全体的な状況を簡単に述べます。
パリの全国文書館では、自分で写真を撮ることが出来ます。事前に撮影室の予約をしておいて、撮影室を利用します。ここには、反射傘、三脚、資料支えがあり、本格的な撮影ができます。コピーは、冊子体になったものは不可。一枚一枚独立したもののみ申請して許可を得た上で可。ただし、史料の性質・状態によっては、独立したものでも不可。
フランス国立図書館では、自分で写真を撮ることは出来ません。コピーを依頼するか、写真サーヴィスに依頼するか、デジタル画像を印刷するかしか方法はありません。
現代史資料センター(フォンテンヌブロー)コピーもできますし、写真を自分の机で撮影することもできます。
大学図書館では、書籍の貸し出しを行っています。図書館内にコピーサーヴィスがあります。また、大学の近所にも、安いコピー屋があります。
地方(県・市町村)文書館、図書館は、かなり条件にばらつきがあります。イゼール県文書館(グルノーブル)には、撮影室があり(ただし、部屋があるというだけで、特別の装備はありません)、写真撮影は自由です。グルノーブル市図書館は、写真撮影、コピーは一切できません。唯一、マイクロ化してもらう方法のみがあります。ただし、このマイクロ化の申請→見積もり→払い込み→実行→送付、あるいは手渡しまでの間、時間がかかります。約3週間ということです。なんとかならないかなーー。


デジタル用必須アイテム
変圧器(トランス)
AC充電器+バッテリ一

非デジタル必須アイテム
ペーパーウェイト
クリップ 
三脚
リュックサック(あるいは、パソコン専用バッグ) 
キ一ボ一ド保護フィルム

主要ハードウェア
ノート型パソコン
デジタルカメラ(あるいは、通常の銀塩カメラ)
メディア(スマートメディア、メディアスティックなど)
ストレージ(外付けハードディスク or CD-R or CD-RW or MO or Zipp)
スキャナ一

主要ソフトウェア
フォトレタッチソフト(PHOTOSHOPなど)
テキストエディタ一(JEditなど)
パソコン内蔵のクラウン仏和(あるいは、ロワイヤル仏和)

2 デジタル装備用必須アイテム
2-1 変圧器(トランス)
 フランスの電圧は220Vですから、パソコン、デジタルカメラ内蔵バッテリーなどの充電には、精密機器用変圧器が必要になります。マッキントッシュのパソコン内蔵バッテリーは、220Vに接続しても大丈夫です。ウィンドウズ系は、対応しているものといないものとがあり、要チェックです。ただし、電源への差し込みの形態が日本と異なりますので、アダプターが必要です。これは、絶対に忘れないように。

2-2 AC充電器(付属品)+デジタルカメラ内蔵バッテリ一
 デジタルカメラ内蔵バッテリーの場合、撮影角度などを決めたり、パソコンに画像を転送している間に、たちまち電池が消耗してしまいます。できれば、複数のバッテリーを用意し、撮影と並行して充電しておけば、つぎつぎに取り替えることができます。文書館や、図書館の閉館時間を気にしながら、40分もバッテリーの充電をしていると、つい焦ってしまいます。ただし、メーカーによっては、精密機器用変圧器と接続して充電する場合の動作確認がされていない、ということもあります。火を噴く危険性がある、とも言われました。今のところは、何ともありませんが、いささか心配ではあります。

3 ノート型パソコン
女性や高齢者でなくても、パソコンを長時間もって回るためには、2kg程度が限度でしょう。できたら、最近流行のVaioのノートパソコン並に1kg以下で、バッテリー持続時間が6時間以上、スペックがフル装備に近いもの。となると、いまのところ、条件にかなうノート型パソコンはありません。Win系ではVaio、Macintoshでは、PB2400でしょう。私は、Macユーザーなので、以前は、PB230を使用していましたが、Macがビールを呑んで(じゃなくって〜、ビールがキーボードにかかって)死んでしまいました。次に購入したPB1400は、シャルルドゴール空港で美女に見とれているうちに、スーツケースごと消失してしまいました。鮮やかなプロの手口!などと感心している場合ではないって。結局、悪銭身につかず、とあきらめ、目下、PB2400-240を使用しています。これは、マックのノートパソコンとしては例外的に軽い(とはいえ、バッテリー装備で、1.8kg、FDドライバーもCDドライバーも全て外付け)。そのためか、どうか、その後、このシリーズは、後追いなし。おいおい、ジョブズ、しっかりしてくれ、Winごときに負けるな、などと切歯扼腕しても、もはや遅い。アメリカ人男性のマッチョみたいなビジネスマンしか念頭に置いていないノート型パソコンに対して、「金も力もなかりけり」の色男、色女が断固として「差別反対」と抗議すべきでありましょう。
閑話休題。ノート型パソコンを買う際、メモリーを奢ること。100MB以上に増設しましょう。今は、メモリーは大した値段ではないし、画像を処理する際、非力なコンピュータほど悲しいものはありません。メモリーを惜しんでいると、その他の性能がいくら高速でも、フリーズしたり、様々な不具合の原因となります。「安物買いの銭失い」にならないよう。内蔵ハードディスクも、できるだけ容量の大きいものに。最近は、内蔵・外付けハードディスクともGB単位となり、これも値段が下がりました。昔、NEC純正の40MBの外付けハードディスクを買い、なにに使っていいのか、呆然としたことがあります。「去年の雪今いずこ」。本体はそこそこでも、内蔵メモリーと、内蔵ハードディスク、この二つは、お大尽なみにおごりましょう。よっ!紀伊国屋!

4 デジタルカメラ
最近、急激に画素数を増し、普通の銀塩フィルムカメラを追い上げています。300万画素のデジタルカメラが、10万円以下で買えるようになりました。画素数だけではなく、CCDの大きさも画質に影響します。小生は、リコーのRDC-7というデジタルカメラを愛用しています。どんなデジタル装備でも同じことが言えますが、実際に手にとって、自分にあったものかどうか、確かめること。特に、重さは重要な要素です。実際に、手に持って、しばらく操作してみてください。また、歴史史料を連続的に撮っていく上で、ファインダー、液晶画面などが見やすいものがよい。

5 スキャナー
最近、マックの周辺機器も大きく様変わりし、廉価・軽量なUSB接続のスキャナーが次々と発売されています。Win系では、当たり前の構図でしょう。スキャナーは、先程から述べてきたコピーと同じような役割、つまり、史料を画像として取り込むことができます。その上で、レタッチソフトを使って、適正な画像情報を得ることができます。
それと同時に、スキャナーから活字史料を取り込み、OCRソフトと呼ばれる画像→テキスト情報変換ソフトで、テキストに変換することができます。こうすれば、大量の活字史料をキーボードから入力する時間と手間を省けます。(PS:というのは、理論上のこと。これまで、様々なOCRソフトを使用して、どれほどの時間をかけて、文字化け退治に血道を上げてきたことか。なによりも、スキャナー自体の解像度、つぎに史料の濃度、傾き、などの条件で、世にも不思議な文字列が出現することになります。さらに、フランス語の場合、もっと悲惨で、アクサンの類がまともに読んでもらえない。ちょっとフォントが違うと考えられないような文字に変換されてしまいます。たとえば eアクサンテギュは、99%、数字の6に化けてしまいます。もしこれがクリアされれば、日々たまりゆくルモンドを文字情報に変換して、データベースソフトに落とし込み、たちまち、切り抜きの苦行から解放されるのに!)

6 ストレージ
 パソコン本体にデータを蓄えるのは、一時的なものと心得よ。なぜなら、パソコン本体がクラッシュしたり、盗まれたり、落下しておシャカになったり、・・・・・・ありとあらゆる不幸な事態が予想されるからです。そんなことを考えたことがない人は、よほど楽観的な人か、強運の連続の人生だったかでしょう。私の場合、虫の知らせか、ビール事件の直前に、ほとんどのデータをCD-Rに焼いておいたのです。新しいパソコンを入手して、早速、このCDを起動し、次々にデータをドラッグ&コピーして、ほとんど回復することができました。このとき、無神論者の瓜生氏もその場で跪いて神に感謝し、イェルサレムへの巡礼を誓った、というのは嘘です。それくらいの感謝感激でした。
 さて、ストレージと呼ばれるデータを格納するための周辺機器、特にリムーバブルストレージと呼ばれるデータ格納機器にもいろいろな種類があって、選択に悩みます。リムーバブルストレージというのは、メディアと呼ばれるストレージ用のブツ(なんと日本語で呼んだらいいのやら。CD-Rの場合でしたら、データを焼き付けたCDです)が、取り外し可能で、一つのメディアに格納情報がいっぱいになると、そのメディアと新しいメディアを交換できるものを言います。たとえば、CD-R, MO, Zip, JAZZなどのことです。私は、もっぱら、CD-Rを使っています。
 もちろん、最近のように、ギガ単位の外付けハードディスクも大変廉価になっているので候補としてあげられます。ただ、他人とデータの受け渡しするとなると、リムーバブルストレージが断然有利です。ストレージを選択する際、メディアの値段も選択基準の一つになります。いまや、CD-Rのメディアは、1枚100円を切っています。CD-Rは、一回きりしか情報を焼き付けることができませんが、CD-RWは、何度も焼き付け可能です。
 日本では、MO(光磁気ディスク)がダントツです。しかし、奇妙なことに、フランスでは、Zip(あるいは、同系統のJAZZ)が圧倒的に人気があります。おそらく、Zipのメディアが安いからでしょう。CDとMOは650MB、Zipは100MB(フロッピー1枚が約1MBですから、CDとMOは、フロッピー65O枚、Zipが100枚となる勘定です)が標準です。この情報格納量も基準になります。しかし、考えてみると、色つき画像、ビデオ編集や音楽のような音声の場合はいざ知らず、歴史研究者の場合、圧倒的に文字情報ですから、フロッピーにこまめにバックアップしていれば、十分と思われます。あまり、大容量だと、50KB程度のファイルのバックアップを取るために、一々機器を立ち上げるのも面倒になってしまいます。さらに、他人とデータのやりとりをするとき、ウィルスに汚染されていないかどうか確認した方が、安全です。
フロッピーは、手軽なメディアとして根強い人気があります。しかし、マックの場合、iMacやiBookなどの新機種では、さっさとフロッピードライバーそのものをなくしてしまいました。PB2400も外付けで、内蔵型ではありません。フロッピーを消していいのか。 フロッピー(に限らず、ストレージ全体で言えることですが)で、データを格納する時のコツ。どのファイルが最新のファイルか、ちゃんと明示しておくこと。そうでないと、過去の同じようなファイルが次々にたまり、新しく編集したファイルを入れようとして、「同じ名前の古いファイル(あるいは同じファイル)があります。入れ替えますか」と聞かれて、どぎまぎしてしまいます。できればファイル名に日時、内容を簡潔に記入しておく方がよいでしょう。あるいは、versionをそのたびにファイル名に書き込むこと。

7 歴史史料を入力する:歴史史料を入力する場合、次のような場面を想定できます。
7-1 史料を見ながら、パソコンに入力する。
文書館・図書館で資料を手で写す。フランスの文書館や図書館に通った人には、見慣れた風景(小生は、写経と読んでいます)です。これは、これで、大事な作業と思われます。小生は、1983-86年の留学期間中、手写しで押し通しました。手で写している間に、資料を解読し、さまざまな構想を練っているからです。また、コピーを許す条件が結構厳しいので、基本的には、手で写すことを心がけた方がいいかもしれません。とはいえ、パソコンを使いながら論文作成をすることが多い昨今、これは、二度手間になります。
 最近は、ノート型パソコン持ち込み可、のところも多 く、電源も各机に取り付けられている箇所も増えています。ただし、地方によっては、電源が十分引き回されていないところもあります。グルノーブルの県文書館で、電源を若い女子学生と争ったことを思い出します。もちろん、こちらの負けでしたが。そこで、歴史史料を手写しから、カメラを使った画像入力に、さらに、デジタルカメラを使った画像入力に切り替えてみましょう。

7-2 史料を普通のカメラ(銀塩カメラ)に撮影して、引き延ばす。
7-2-1 銀塩フィルム→サービスサイズに焼き付け→拡大コピー
 これは、デジタルでは、全くありません。アナログと言うべきでしょう。私の銀塩カメラ、Canon FII+ASA400の白黒フィルムの組み合わせで実践しております。確実に写っているかどうか、心配な方以外は、お奨めできます。写っているかどうかご心配の向きは、絞り・シャッター速度をいろいろ変えて、同一史料を複数撮影すること。フランスに行くお金のことを考えると、フィルム代など安いものです。かなり、条件の悪いところでも、絞り、シャッター速度、焦点距離さえあっていれば、もとの文字は復元できます。画像に関しても、この方法で撮影・現像・焼き付けして、カラーコピーで拡大複写すれば、かなりの程度、回復可能です。ただし、くれぐれも、少しずつ条件を変えて、複数枚数で同一画像を撮ること。それがいやだったら、出発前に時間を創って、室内でフラッシュなしでちゃんと撮れるよう、何度か練習することです。銀塩カメラのメリットは、解像度において、はるかにデジタルカメラを上回っているからです。
フィルムを現像して、サービスサイズに焼き付け、それをソルボンヌ周辺の安いコピー屋に持っていき、拡大コピーにかけます。ただし、画像をテキスト情報に変換することを考えると、この方法は、パソコンへの入力の際の参照テキスト作成となります。
7-2-2 銀塩フィルムを長尺で現像→スキャナーの透過フィルム用アタッチメントで取り込み
 スキャナーが最近小型軽量化しているので、携行できるならば、お奨めの一つです。銀塩カメラで撮影したフィルムを現像し、これをフィルムスキャナーに読みとらせ、さらにパソコンに取り込んで、フォトレタッチソフトを使って、見やすいものにする。ただし、フランスにデジタル装備、その他を運び込むことを考えると、スキャナーまで持っていくのは、相当しんどいことになりそうです。
7-3 史料をデジタルカメラで撮影して、パソコンに入力する。デジタルカメラ+メディア+フォトレタッチソフト
 史料を見ながら、パソコンに入力するのもいいのですが、条件さえ整えば、デジタルカメラで撮影し、自宅(あるいは、ホテル)でじっくり読み直すのも、時間の有効利用になります。
 最近のデジカメ(出歯亀を連想してしまうので、私はこの言葉をあまり使いません)、もとい、デジタルカメラは、画素数が急激に増えています。しかし、歴史史料を取る立場からすると、どんなにしゃっこだちしても、銀塩カメラ(普通のカメラのこと)にかないっこありません。しかし、そんなデジタルカメラでも、フォトレタッチソフト(代表的なソフトは、Photoshopです。今のところ、廉価機能制限のPhotoshop LEで十分です)と組み合わせると、大変な威力を発揮します。デジタルカメラで資料を撮る。その際、ちゃんと撮れているかどうか、すぐ確認できる(これが最大のメリットの一つ)。撮り貯めた画像をその場で、メディア(スマートメディア、あるいは、フラッシュスティック)からパソコンに取り込み、メディアを再フォーマットした上で、さらに撮影を続けます。お金に余裕がある方は、メディアをもう一枚準備しておくと、この作業を現場で省略できます。ただし、史料撮影だけやっていると、あとで何の史料かわからなくなるので、それぞれの史料映像ファイルの冒頭に、コメント(日付、場所、史料番号)を書いたフリップをまず撮影しておくと、便利です。ちなみに小生が使用しているデジタルカメラは、リコーのRDC-7という機種です。スマートメディア64MBをさしますと、動画5分32秒、高画質36枚、モノクロ570枚、音声136分、カラー画像307枚撮影、入力可能です。メディアは、これからつぎつぎと高性能化、大容量化するでしょう。

8 画像の処理
 自宅(ホテル)にもどり、パソコンの中に収納された画像を、まず、CD-R、あるいは、外付けハードディスクなどの外付けストレージに移し替える作業を行います。これは、面倒な作業ですが、パソコン本体を盗まれたり、本体がなんらかの理由で破壊されたり、クラッシュしたりしたときに、どれほどこの作業が必須のものであったか、身にしみるものです。もし、パソコンがクラッシュしたら、頭の中は真っ白、そして、転ばぬ先の杖、後悔先に立たず、覆水盆に返らず、あらゆることわざが、どっと押し寄せることになります。そのときは、もう遅い!ですから、バックアップ作業は必ず行うこと。
次に、史料画像をフォトレタッチソフトで見ていく方法です。PHOTOSHOP LE (P-LEと省略します)で説明します。まず、P-LEを起動します。次に、ファイル→開く→書類あるいはデスクトップ(いずれかに、収納した史料画像ファイルがあります)→開く→それぞれの画像のアイコン→お目当ての画像→開く(ダブルクリック)→画像がでてくる
ここから、レタッチが始まります。
--画像が小さく、周りが大きい場合:イメージ→切り抜き→パレットツールの切り抜きをクリック→切り抜きの端にポインターを持っていき、対角線の方向にポインターをクリックしたまま移動する→イメージ→切り抜き
--白黒でこの画像を適正な明るさと鮮明さで見る:イメージ→モード→グレースケール→カラーの情報を破棄しますか→はい→イメージ→色調補正→明るさ・コントラスト→適当な明るさとコントラストを得る
--カラーでこの画像を適正な明るさと鮮明さで見る:イメージ→モード→色調補正→明るさ・コントラスト→適当な明るさとコントラストを得る
この結果、目的の史料画像を鮮明な状態で見ることができます。

9 画像からテキスト情報へ
ここで、一工夫。
画像のウィンドウを画面の半分ほどに縮めた上で、テキストエディター、あるいは、ワープロソフトを起動します。こちらも画面の半分ほどに、縮めてやります。すると、史料画像を見ながら、史料をテキストとして入力できます。
さらに、私は、同時に仏和辞典を立ち上げます。都合3つのソフトを立ち上げることになります。こういう同時作業を行うためにも、メモリーが潤沢でないといけないのです。この辞書は意味を検索するだけのものではありません。クラウン仏和辞典+検索ソフトCeDarを組み合わせます。CeDarを立ち上げると、前方一致、後方一致という欄があり、史料の中の読みにくい単語の先頭部分、あるいは後方部分を入力して検索すると、候補がでてきます。この中で、文脈から適正な単語を選んでいきます。この前方一致・後方一致検索がいかに有効か。昔、手書き資料を読み始めた頃、20万語収録綴り字辞典なるものを買い求め、手書きのにょろにょろ文字と綴り字辞典とを首っ引きで見比べていました。人間の目は、不思議なもので、最初は、何の意味も持たない線が、ああら不思議、文字となって見えるようになります。目下、手書き史料のテキスト情報化が科学研究費の重点研究の一つとなっています。これが完成したならば、手書き史料を主に利用する歴史研究者の仕事は、一気に軽減されるでしょう。(詳しくは、『人文科学と情報処理』)

10 テキスト情報から論文へ
このプロセスは、最終段階の作業です。史料のテキスト情報を入力したテキストエディター、あるいは、ワープロソフトを立ち上げ、そのウィンドウを画面の半分ほどに縮めます。他方で、論文作成用のテキストエディター、あるいは、ワープロソフトを立ち上げ、やはり画面の半分ほどにウィンドウを縮めます。こうすることで、必要な資料を論文の中に自由に取り込む、あるいは参照できます。さらに、INSPIRATIONのようなアイディアプロセッサーソフト、あるいは、ワープロソフトのアウトライン機能で、全体的な見取り図を常に視覚化すると論文の構成が楽になります。


 

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