ポルノグラフィティ

私は、どうやら男女問わず、高めのしっかり出ているよく通る声が好きなようである(もちろん例外も多数)。沖縄系の女声ボーカルの声が好きなのも、けっこうその要素が大きいんではないだろうか。男声にもその傾向はあり、最近感動したのはヒッパレに出ていたオペラの人。(余談だが、この番組、もっとうまい人をたくさん出して欲しいなあ。素人のカラオケではつまんない。世間ではやっている(けどあまりうまくなかったりする(笑))曲を、上手な人が歌ったり、意外な人が歌ったりすると実に面白い。ローリーのモーニング娘。を聞き逃したのは悔しい。上手な、というのとは違うが、Kinki Kidsの「フラワー」を加山雄三が歌ったときは、まさに持ち歌のようで、これまた面白かった。以上余談であった)
最近、ポルノグラフィティをかなり気に入っているのも、ボーカルの声が、上述のような私の嗜好にあっているという点が大きいのは確かだろう。しかしそれ以上に、歌詞の要素が大きい。以下自分なりに、歌詞のどの様なところに惹かれたのか、少々考察してみることにする。

彼らがブレイクした曲「アポロ」は、くさい言い方をすれば、夢や理想を持ちつづける事を歌っている(こういうくくり方はすきではないんだがこの際我慢してくださいませ(^^;)。その「夢や理想の追求」の象徴として、「アポロ計画」を掲げているのだ。
たとえば、まず冒頭がいきなり
 ぼくらの生まれてくるずっとずっと前にはもう
 アポロ11号は月に行ったって言うのに

という歌詞である。あるいは、曲中にもアポロ計画が本気で月を目指したことを「愛の理想みたいだね」と歌うくだりがある。
アポロ計画は、少なくとも当時においては科学と技術の進歩の象徴であり、当時に子供であった人間にとっては、宇宙への、また科学への無邪気な憧れの象徴的な存在であった。しかるに、そのころから既に30年。現在は、各種先端技術とその背景にある科学というものに非常に懐疑的な風潮が広がっており、「進歩」という物を素直に語れなくなっている。このような状況の中で、進歩への全面的な肯定とも受け取れる「アポロ」は、非常に珍しく、また懐かしく、面白く響いた。
もちろん、現在のそのままの延長に明るい未来を描いていることに対し、違和感や抵抗を感じない部分も無いでもない。しかし、良いではないか。夢として、理想として、せめてファンタジーとしてだけでも明るい未来を描く事も出来ずに、何が楽しかろう。
*違和感といえば、
 このままのスピードで世界がまわったら
 アポロ100号はどこまでゆけるんだろう

というくだりが、現在形なのもちょっと気になる(^^;

もう一つ、惹かれる理由として、歌詞中に漂うSF臭(それも少々古臭…古典的な(笑))も挙げられよう。たとえば、「アポロ」の中には、このような台詞がある。
 空を覆う巨大な広告塔には
 美人が意味ありげな微笑

これはまさに「ブレードランナー」の世界ではないか。
また、「ヒトリノ夜」には、
 想像していたよりも未来はとても現実的だね
 車もしばらく空を走る予定もなさそうさ

という歌詞がある。これらはいずれも、昭和30から40年代ごろに未来の(21世紀の)イメージとして語られていたものである。このあたりの懐かしい「憧れ」をストレートに語っているところが、私の心の中のどこかをくすぐっているように思われる。

(2000.04.07全然練れていないがとりあえず)


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