あの子とお揃いのマフラーだった。
いつも帰りは二人並んで帰った。
でもあの人はあの子を見ていた。
あの子とお揃いの髪型だった。
肩より少し長めのストレート
だけどあの人はあの子を好きになった。
春になった。
首を出して、髪を切った。
いつもの帰り道だった。
あの子と一緒だった。
あの人は振り返った。
あの子に笑いかけた。
私にも微笑んでくれた。
あの人が笑ってくれた。
あの人が話してくれた。
あの人が呼んでくれた。
あの人が...
夢から覚めた
外はまだ冬景色。
あの子とお揃いのマフラーをまいた。
あの子が笑ってこっちへやってくる。
私とお揃いのマフラーをまいて。
マフラーをはずした。
春になった。
髪を切った。
あの人があの子と歩いてく。
それが、夢の中と同じ微笑みでも
それが、私へ向けられていないと知っていても
正夢になんてならないと分かっていても
私は鉢の外には出られない。
2004/2/24