『野生の馬を愛した少女』 ポール・ゴーブル
部族はいつもバッファローの群を追いかけ、あちこちへ移動していました。住まいであるティピ・テントその他の持ち物を運ぶのに、たくさんの馬を飼いました。バッファローを狩るため、速い馬たちを訓練しました。
彼らの村にはひとり、馬の大好きな少女がいました。少女はよく、鳥が日の出の歌をさえずる夜明けに起き出したものです。そして馬を水飲み場へ導きました。少女がやさしく話しかけると、馬たちはみなついていきました。
あの子は何か時別な方法で馬と心を通わせている、と人々は気づきました。少女は馬たちがどの草を一番気に入るのか、真冬の吹雪から馬たちが身を守れる場所はどこなのかを知っていました。馬が傷つけば、少女が手当をしました。
毎日お母さんを助けて水を運びたきぎを集める時、少女は早く馬たちの所へ行こうと大急ぎでした。草地で馬と一緒に過ごしながら、用心深い少女が家を見失うほど遠くへ行くことはありませんでした。
ある暑い日、太陽がちょうど真上にきた頃、少女は眠くなりました。そして毛布を広げ、横になりました。花々の中で馬たちが食んだり、ゆっくり動き回るのを聞いているのはこころよいものです。すぐに少女は寝入ってしまいました。
遠い雷のとどろきはかすかで、少女は目覚めませんでした。怒ったような雲がうねりながら広がり始め、雲の下の暗闇の中では稲妻が光っていました。けれどそよ風と雨のにおいは、少女をすやすや眠らせていました。
試訳中
updated 09/17/03