NN in PEI 2001
Prince Edward Island #1
June & July '01


Prince Edward島について

 カナダで Atlantic provinces「大西洋州」と呼ばれるのは、東からニューファンドランド、ノバ・スコシア、プリンス・エドワード島、そしてニュー・ブランズウィックの4州、maritime provinces「湾岸州」はそこからニューファンドランドを除いた3つの州を指す。PEIは、セントローレンス湾に浮かぶ、のどかな漁業と農業の島だ。
 6月25日、ノバ・スコシアのハリファクス空港から車でPEIに来る途中「赤道と北極の中間点」なる場所を通過した。つまり北緯45度線ということですよね。調べてみると、島の位置は北緯45.5度から47度くらい、州面積はおよそ5,600平方キロメートル、東端から西端までが230キロほどらしい。人口は島全体で約13万人、州都シャーロットタウンの人口が3万人余り。
 PEIがAnne of Green Gables「赤毛のアン」の島であるだけでなくカナダ発祥の地であることを、ここに来るまで知らなかった。ドラマティックなアメリカ合衆国の歴史と比較すると、カナダの歴史は地味で穏やかだ。これは国民性についても言えることかもしれない。
 写真はカナダ本土からの橋、コンフェデレーション・ブリジ。

Charlottetown

  • The IslandCam 現在のシャーロットタウン
    ライヴ・カメラからの眺め。

 これがカナダ建国の歴史的建物、プロヴィンス・ハウス。
 1864年、カナダのfoundersたちがこの建物に集まり、第1回の議会が開かれた。彼らは国創りについて討議し、イギリスがこれを承認した。カナダという国の誕生は1867年7月1日。この日は毎年Canada Dayとして、全国でお祝いの行事が行われる。私たちも湾越しに、シャーロットタウン港の花火を見物することができた。

 オープンしたばかりのFounders Hall(建国者会館?)で面白いフィルムを見た。建国に立ち会ったニューヨーカー夫婦が「カナダの皆さん、独立おめでとう。」と話しかける。するとカナダ人が「え、独立?オレたち、独立なんかしてないよ。」と答えるのだ。続いてニューヨーカーが「あのー、大統領はだれでしたっけ?」「大統領?、首相ならいるけど。」

 The Confederation イギリス自治領カナダ連邦、というのがこの国の在り方だ。ただし、ケベック州のように独自の方針を持つ州もある。
 第1回議会の時、創始者たちは港からこのグレート・ジョージ通りをプロヴィンス・ハウスへと向かった。その時、この道は独特の赤い泥土のままだったそうだ。ずぶずぶ。

 カナダ連邦には少しずつ各provinceが加わり、ニューファンドランドは1947年、イヌイットの土地である最北の Nunavut ナヌヴィットは1999年に正式な州となった。

Cavendish

 さて、これが Green Gables グリーン・ゲイブルス。いつかは来るだろうと思っていたけれど、ついにその時が来たわけですね。
 AnneがLucy Maud Montgomery (1874-1942) モンゴメリの作ったお話の主人公であることを考えると、Cavendish (アンの物語ではAvonleaと呼ばれる村)に Green Gables があるのは不思議なことなのだが、親戚が住んでいたこの家が彼女の創作モデルになったらしい。彼女が祖父母と暮らした家のごく近くであり、Lovers Lane 恋人の小径と Haunted Woods お化けの森も保存されている。アンの部屋にあるのは、壊れた石盤とふくらんだ袖のドレス。

 これは New London(1874年当時は Clifton)にあるモンゴメリの生家。父方、母方いずれの先祖たちも、その100年ほど前にスコットランドからやって来た。
 アメリカにpilgrim fathersが到着した17世紀以降、北アメリカ大陸にはヨーロッパ人が続々と移住した。Nova ScotiaやNew Brunswickはいずれも「新・・・」を意味する地名だ。PEIにはスコットランド系らしく、Macのつく姓の人が本当に多い。モンゴメリの祖父母もMacneillマクニール。

 赤毛のアン原稿は1907年、この郵便局からボストンの出版社L.C.Page Co.に送られた。郵便局内部はモンゴメリ博物館になっており、直筆原稿などが展示されている。

 キャベンディシュ墓地にあるモンゴメリのお墓。この丘を下ると、お化けの森とグリーン・ゲイブルスはすぐ近くだ。
 伝記によると、赤毛のアンシリーズは必ずしも年代通りに書かれたものではない。第一次世界大戦時を描いたRilla of Ingleside『アンの娘リラ』の出版は1921年だが、それよりも以前のアン一家が登場するAnne of Windy Poplars『アンの幸福』は1936年、Anne of Ingleside『炉辺荘のアン』は1939年に出されている。また、シリーズを書き続けることをモンゴメリが必ずしも楽しんでいたとは言えないらしい。けれど、彼女が作り出した世界を通して、どれほど多くの少女が成長したことだろう。

参考:Lucy Maud Montgomery Mollie Gillen (Fitzhenry & Whiteside Limited, 1999)


Prince Edward Island #2


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