by リュージョン

木登り
樹液採集に行って、先行者がいると大抵ダメ。でもちょっと待って。上の方に樹皮めくれがあってクワガタのお尻が見えることがあるでしょ。それを採ろう。ハシゴなんて無くても木登りで。
猿の木登りを見ていると、長い腕と短い足を武器に、身体を幹から離したまま駆け上がっていく。ああ、人間も足が短かったらなあと思う。しかし我々も手足を使って登るしかない。私の結論は、軽い体重と腕力、コレに尽きる。要は校庭の登り棒と同じ要領で懸垂で登るのだ。
まずは体の軽量化。私は階段登り1,000段以上を日課にしている。標高200mの里山に毎日登っている計算だ。少なくとも太らない。他の軽い運動と組み合わせ、食べすぎに注意すればたやすく体重は減る。長時間里山を歩いても疲れない身軽な体は、普段の生活も快適だ。
次はちょっとだけ腕力。場所を見つけて1日おきに懸垂を20回〜30回やっておく。全然上がらない人でも、おでぶでなければ大丈夫。すぐに10回ぐらいは出来るようになるし、手の豆がかわいくなってくせになる。
懸垂1回のリフトはたかが40cm、10回やっても4mしか登れない。それでも高さ5mの樹液に手が届くのだ。苦労しても安いものではないか。
さて本番だ。ぐいぐい登って下を見ると結構コワイ!口にライト、片手で体を支え利き手でクワガタを素早く掻き出そう。もたもたしていると息が荒くなり筋力の限界で震えが来る。こんな時は落ちる前にさっさと降りよう。
本気で高く登るばかりではない。グイっと懸垂して少し登るだけでも別世界という場所は無数にある。コレを全然しない人も無数にいる。だからこそ、やればクワガタに一歩近づくんだと思う。
細いアベマキ太いクヌギ上に居るのなら登って採る

細い木なら容易に登れるが、手が回らないほど太い木は登るのが大変

採集道具
ピンセットとライトと掻き出し棒。これが樹液採集の定番道具だが、掻き出し棒がすぐになくなってしまうのには閉口する。そこでワイヤーハンガーを曲げて、無くならない掻き出し棒を作ってみた。すこぶる快調である。ウレタンゴムの尻手をつけて尻ポケットに入れておけば、穴を後退するクワガタにも瞬間対応できる。細目のものならその場で手で曲げて、曲がった穴の奥のクワガタにも対応できる。
次は「山菜堀り」という道具。鋭くて平らなスコップで、片側にギザ歯がついている。これが、藪を軽く払ったり根元周辺のクワガタを掘り出したりするのにやたらに便利なのだ。腰にもフィットして邪魔にならないのもいい。
そしてライト。電池の持ちがいいLEDライトの時代になったが、皆さんの意見を聞くと、遠くを照らせる従来型の方が採集向きとのこと。私も大小の電球式マグライトを信頼して使っている。定番のマグライトAA(単三2本用のやつ)にはバイトアタッチメントというのをつけて口でくわえられるようにしている。口にライト、右手に掻き出し棒、左手にピンセットで穴の中ののクワガタを攻める時にバッチリ。よだれが出るけどね。
採集道具一式中央の2つがLong Live掻き出し棒。
先の曲がった部分で穴の中のクワの尻を手前に押す
左端が山菜堀り、その右がバイトアタッチメント付きのマグライト


海水浴
海水浴で知らない土地に行って、泳ぎ疲れたら後ろの林を見て歩こう。松林ばかりではないはず。 いつもと違ったクワガタが出迎えてくれる。採って戻れば浜辺で寝ていた同行者がびっくりするのも面白い。
海根太海ヒラタ
左が海辺のネブトクワガタ。採りに来る人も居ないのだろう、道具ナシで素手で結構取れる。隙間にはザクザク詰まっているのが見えるが…。
右がネブトと同じ木で採れた海辺のヒラタクワガタ。泳いだり釣りしたり虫採ったり、夏の1日は短すぎる。


河川敷
夏本番ともなると河川敷はものすごい草丈で、見ただけで入る気が失せるが、クワガタには安全な環境である。踏み跡をたどって柳の木に行ってみよう。虫は小さいが、沢山採れるのが魅力だ。
ウェーダーを履いて中州に渡ったり、ボートで川側から柳を攻めたりと、やたら遠回りな採集方法を思い巡らすのも楽しいが、夏の川は不意の増水が多いので安全第一で臨もう。
河川敷は工事で木が全部伐採されたり、新しい中州に柳が成長したり、流木が溜まったり、長い目で見ていると人と虫との攻防が面白い。不法菜園やホームレスの盛衰がこれに絡み、ドラマは複雑に動く。そんな中、いつもどこかでクワガタが生き延び、そこそこ採れることを願う。
川ヒラタナイトウォーカーズの3人でふらっと出かけた河川敷の柳でヒラタクワガタが57頭採れた。画像はその一部。でも大きくて60mm(ToT)


パン
クワガタ採集で何がパンだって?まあ聞いてください。
今年私が随分お世話になったクヌギ林が切られてマンションになってしまった。そこには樹液ダラダラの木があって爆走小僧A君など一度にヒラタ9頭採ったと喜んでいたのに。音を立てて泡を吹きながら樹液が湧き出してくる様子は思い出となってしまった。
神こんな木をどれだけ知っているかで採集成果が大きく左右されるのだが、なかなか見つからないものだ。
私は樹液の出方の差はそこを支配している酵母の種類の差ではないかと考えている。酒でもパンでも無数の種類から発酵力や香りで選抜された酵母を使っている。樹液ダラダラの木にはとてもパワフルな酵母が付いているということだ。
その酵母を採取(採集ではない^o^)、増殖させて、今流行の天然酵母パンにしたらなんかすごいぞ、と非常に遠回りな構想を持ちつつ果たせずにいる。「樹液パン」とか名づけて売り出したらバカ売れかも、と思っていたら、白神のブナの樹液から採った天然酵母のパンというのをWEBで見てがっくり。以前、冷蔵庫で餌をやりながら天然酵母を増やしている近所の人を見て、世の中には変わった人が居るもんだと思っていたが、今では樹液パンを夢見ているバカは私ではないか。夏休みの宿題なんかにいいネタだと思うのだが、誰かトライしてくわ馬鹿で結果をレポートして下さい。

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