M.タランドス採卵法

「産まない・育たない」と言われていたタランドスも、最近では当たり前のように
採卵成功の声が聞かれるようになりました。
そこにはひとつの大きなヒント・・・否、答えと言ってもよい「カワラ菌」があります。
採卵〜幼虫飼育まで、カワラ菌床にて飼育することで、かなり安定した成果が上がっていますので
ここに簡単ではありますが、報告させて頂きます。

 産卵の特徴

タランドスは材(または菌床ビン)に突坑し、木屑で産卵床を作ってその中に卵を纏めて産みます。
極端な時には、直径3cm内に5個以上も並べることもあります。
産卵スイッチが入ると、1〜2週間は潜りっぱなしで、餌も食べずに産卵に集中します。
ですから、齧りカスは見えているが餌も毎日減っているという場合には、産卵していない可能性が大です。
幾度か成功/失敗を経験されますと、齧りカスの細かさから、その違いを見てとれるようになります。


産卵セットその1(人口カワラ材)
 ・マットは渇き気味で、少量(足場程度)でもよい。
 ・カワラ材の皮を剥いで、1日ほど乾燥させる。(カワラ材はそのままだと水分過多な場合が多い)
 ・材に突坑誘導用の穴をあける。
 ・マットの高さと突坑用の穴が合わさるようにセット。
 ・飼育温度25度前後。

 

産卵セットその2(カワラ菌床ビン(菌床産卵))
 ・上記「人口カワラ材セット」の、材の代わりに太めの菌糸ビンを横に置く(はやり突坑用の穴を開ける)
 ・菌床は植菌後(購入後)、または詰替え後、2週間以上寝かせてから使用する方が
  卵も孵化しやすく、その後の幼虫も暴れないようです。



早ければ翌日にも突坑を開始し、2週間以内には卵を確認する事ができるかと思います。
その一方で、WILD固体にも関わらず、3ヶ月以上も潜らない/産まないという♀もいます。
うまく産卵しない場合は、材と菌糸を入れ替えてみるとか、温度を20〜28度の間で変えてみてください。
産卵スイッチが入る場合があります。

 割り出し

何より緑色の卵が見たいですから卵で取り出したいところですが、そうすると無事に孵化しない事が多いようです。
だからといって孵化後までノンビリかまえていると、WILD固体に付く大きなダニに吸われてしまう危険が伴います。
卵で取り出した場合、ティッシュや高品質マットを孵化用ベッドとすることで、人口孵化率も高いようです。
色々試されてみるのも楽しいかと思います。(初めから試したくないって!?^^;)
菌床産卵ですと、ガラス面に産んでくれた場合には、あの緑色の卵〜孵化まで確認できるので両得ですかね!
緑色で有名なタランドスの卵ですが、実は「産んだ直後はベージュ色で、半日後に緑になる」のです!
う〜ん、神秘ですね。
そんな変化を楽しむ意味からも、個人的には菌床で孵化後の採卵をお勧めします。

 幼虫飼育

もう当然、カワラ菌床ビンによる飼育です。
かなりの安定した確立で羽化までもっていけます。
むしろ、カワラ菌自体を劣化させない管理の方が難しいくらいです。
これさえクリア出来れば、幼虫は充分に大きくなってくれます。

 ・明らかに、容器の大きさに伴って成長が違いますので、大き目のビンを使いましょう!(その分餌も必要だけど)
 ・詰め替え後、充分に菌が回ってから使用しましょう。(早いと暴れてやせてしまいます)
 ・カワラは皮膜がゴムのように硬く発水も多いので、窒息や水滴による事故に気をつけましょう。
  (水滴が空気穴を埋めたり、蓋から落ちて幼虫投入穴を水没させたりすることもあります)

以上、簡単ではありますが、タランドスの採卵〜幼虫飼育について触れてみました。
採卵難種として扱われてきたタランドスも、普通種と呼ばれる日はそう遠くないようです。
皆さんのブリーディングの成功を祈願しております。

筆:ひらりゅう
画像提供・情報協力:あわゆき氏( Light Snow Labo )


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