9月11日

 思い切って場所をかえて有名どころのN峠の散策となった。この日は地元でも有名なM氏(この人があの70ミリのスジブトを採った人だ)に車に乗せていってもらい、マルバネを探した。同じ道を行ったりきたりで優に4時間は過ぎた。時折黒い物体を見て「ハッ」とするがほとんどがサソリモドキ(写真右下 ちなみにこいつら三匹集まっていったい何をしているのだろうか?)でたまにヒラタやオオゴキブリなどがいる。地元の人によると「ここ6日間見ないなー」といっていた。M氏も「一夏で5頭採れればいいほうだよ」といっていた。
 「もう帰ろうか」のM氏の言葉で僕は「今日もだめか」と思い帰り道を下っているとなにやら左に大きな黒い物体が歩いているのが眼にはいった。

 僕はM氏に「ストープッ」といって車から降りた。内心「どうせサソリモドキだろうな」と思い近くに行くとそれは紛れもなくマルバネクワガタの♀だった。ついに手にしたその個体はずしりと重かった。そしてこの日は終わった。結果マルバネ1♀

9月12日

 泣いても笑ってもこの日が最終日だ。「なんとしてもオスを採らなければ」と思うと頭からそのことが離れない。夕方にトラップの回収をした。スジブトがたくさんストッキングから出てきた。後ネブトなんかもちらほら入っていた。
 そして夜再びN峠に行く。 この日は11時からの捜索となった。しかし、行けども行けどもいるのはサソリモドキばかり。M氏は明日仕事があるので12時で引き上げていった。だから僕は一人で同じ道を歩いた。行ったり来たりの連続で「どうせおらへんねやろ」と文句をたれながら歩いているとサソリモドキに出くわした。「またこいついか〜」と腹が立って、偶然前をライトで照らすとそこにはなんとマルバネクワガタ(写真右)がいた。また♀だったがうれしかった。またやる気になり探したがかれこれ6時間ぶっ通しで歩き続けた足は限界に達していた。そのまま追加できず夜が明けた。M氏が5時半に車で迎えに来てくれるのを待っていた。そして時間通りに到着しそれに乗り込んだ。


 「結局オスは採れんかったなー」と思い窓を眺めていた僕の目に飛び込んできたものは紛れもないマルバネの♂が崖から降りてくるシーンだった。「やったー雄だ」 あわてて車を降りそれを掴んだ。全身の疲れが取れた気分だった。死ぬほどうれしかった。マルバネの発生は例年になく早かった。マルバネの道路採集は、PM10時〜AM2時ごろがベストだと感じた。日没から発生木を離れて道路にたどり着くのが大体その時間帯だから。これで僕の奄美での採集は幕を閉じた。今回の奄美での採集も満足のいくものとなった。しかしシカの長歯形を採りたかった。来年こそは・・・。

結果N峠 マルバネ1♂1♀ A山 スジブト3♂ ヒラタ1♂2♀ ネブト3♂1♀ T スジブト3♀ ヒラタ1♂ ネブト1♀