栃木産オオクワガタの大顎形状の比較

by なべ


TYPE  A 
TYPE B 
TYPE O 

栃木県のオオクワガタの生息状況は、ほぼ県全域に渡り分布してる様である。
しかし、どこでも当り前に採れる訳ではなく、極めて局地的な発生と思われる。

クワガタブームと共に、オオクワガタにも多くの関心が集まり、今まではひっそりと息づいて来た環境に沢山の採集者が訪れる様になった。その結果、生息状況の把握は飛躍的に伸びたものの、一方で生息環境の破壊という脾肉な結果をもたらしてしまったのも事実である。

かくのごとく言う私もまた、その採集者の一人であり、オオクワガタの持つ魅力、または魔力と言った様なものに盗りつかれた一人でもある。
今回この様な記事を書くに当たり、いたずらに採集者をあおる様で気がとがめるが、私が今現在飼育している個体に一様の違いが見られるので、紹介させて頂くことにした。



TYPE A と TYPE B は、同地区において採集したもののF1個体である。

TYPE A 
大顎 
前胸 
TYPE B 
大顎 
前胸 
      

ご覧頂ければ解るように、同地区における採集にも関わらず、大顎にこの様な違いが出たのは誠に興味深い。
この様な事は何故起こるのだろうか。憶測でいうなれば、単なる個体差、或いは放虫による混血などが考えられるが、この様な同産地における大顎の形状変異は他産地でも起きているようである。

累代飼育が盛んに行われている現在、放虫における混血の可能性は、何処の産地においても否定することは出来なくなった。
しかしオオクワガタ自体が、他のクワガタの様に亜種によって区別されている訳ではないので、混血云々の議論は全く空しいと云わざるを得ないのではないだろうか。

次に載せる TYPE O は、TYPE A・B とは別地区の個体である。

しかしながら全体のバランスや大顎の形状などは、丁度 TYPE A・B の中間に位置している様にも見える。
森や尾根が隣接している訳でもなく、個体間の行き来ができる程近くもないので、栃木産の特徴が出ているのではないだろうか。

TYPE O 
大顎 
前胸 

結局のところ、単なる個体差と言うことで落ち着くと思うのだが、どうにもこの大顎は、いい年をした大人達のココロを掴んで放さない様である。

そしてその魅力は、モラルある大人達を単なるエゴイストにも変えてしまう魔力も持っている様だ。

これからもこの大顎に魅せられた者たちが、各地で採集に飛び交うことだろう。
くれぐれも程々に、採集を楽しんでいこうではないか。(^^;;