中国地方のコルリクワガタ
December 1, 2001

by tsuu3@田中

・はじめに

 ヤクザ映画と言えば高倉健か菅原文太である。あ、鶴田浩二を入れないと切られるかもしれないので入れておこう(^^;
そして、菅原文太と言えば、「仁義なき戦い」であろう。
ストーリーはいまいち良く覚えていないが(きっとお決まりのパターンじゃろか)、背中の登り竜の入れ墨と、あの広島弁は記憶から抜けない。あの、「じゃけ〜」である。
広島弁は響きが強烈で、頭の上から足のつま先まで、響く印象がある!単なる思いこみかもしれないが・・・
関西に越してきた頃、関西弁はかなり強烈な印象であった。それでもやはり広島弁の非では無いように思えてしまう。やはり映画の印象が強いのだろうか?実際に自分の周りに広島出身者がいないからなのかもしれない。実は、菅原文太みたいな話し方する人はまれだったりするかもしれない?どうなのだろうか?
 兎に角、広島とは自分にとってちょっと特別な、別格な謎めいた場所なのである・・・

 では虫はどうか。広島には何か特徴的な虫がいただろうか。変わったクワガタがいたのだろうか。菅原文太のようなクワガタがいるだろうか。いやそんな話は聞いたことが無い(爆)しかし、私にとってとても気になるクワガタが広島にいる。そしてそれはやはり小型種なのだが(笑)
 そのクワガタはコルリクワガタで有る。では何が気になるのかと言うと、それは色である。中国地方、氷ノ山や大山など広島に比較的近い地方の山のキンキコルリクワガタの色はメタリックグリーンか、薄いメタリックブルーである。ところが、私の所持している広島産のコルリクワガタは黒いのである。ミナミコルリにそっくりな黒いコルリクワガタなのである。
 これが気になって気になって、自分で実際に採集してみたくてしょうがなかった。と思いながら2年が過ぎてしまった2001年の年の瀬、やっとの事で採集のチャンスが訪れた。

  

・採集

 朝5時半に家を出発し、目的の山の登山口に到着したのは9時である。結構近いなと感じた。当初の予定では10時から登山と思っていたのである。高速でスピードを出しすぎたかな。ナビが今日はおりこうさんだったからなな(笑)
 登山口は既に大規模なブナ林である。登山を開始しながら、登山道脇の材を見て行く。成虫も幼虫も入っていなかったが産卵マークを確認する。コルリはいるようだ。採集痕も有り、採集に来ている人もいるようだ。

 


尾根から周りの山々を展望

 とりあえず最初の山頂を目指す。さほどきつくも無く短時間で山頂に到着。しかし、ブナは何処に行ってしまったのか・・・・(^^;;;
おかげで眺めがすこぶる良い。広島にこんなに広大なブナ林があったのか。ぜんぜん認識が違っていた。もっと小規模なブナ林だとばかり思っていた。これならば、大山や扇ノ山にも劣らないとても立派なブナ林だ。
 ごつごつした岩肌の尾根を歩き、次の目的の山頂を目指す。天気は曇りで登山者はいない。結局すれ違った登山者は、カップル1組、おじさん1人、おばさん2人だけ。午後になると誰にも会わず、ちょっと怖い感じがした。クマか、化けもんが出るんじゃないだろうか?なんてね。

 


若い純ブナ林

 尾根を進み小ピークを過ぎるとブナ林だ。かなり若い純ブナ林である。気持ちが良い。扇ノ山のブナ林もかなり若いが、こちらはさらに若いようだ。元気に大きく育って欲しいものである。南斜面は殆ど伐採されていることから、この部分だけが復活したか、植林されたのかもしれない。もちろん落ち枝は無く採集に適した場所ではない。さらにずんずん進むと、今度はしっかりしたブナとミズナラの混成林となった。ここからは伐採されなかったようだ。
 ここならいるかな?しばし時間をかけて探したが、コルリは見つからなかった。乾燥気味で、コルリの好む材が無い。やっとの思いで産卵マークを見つけたが、幼虫すら入っていない。結構きつい(^^;;

  


マダラクワガタ♀と幼虫

 おっ、赤材だ・・・素通り出来ない(^^;;;
マダラクワガタが出てきた。本日最初のクワガタである(^^)
マダラには贅沢なツヤハダ好みの材だが、ツヤハダはいない。でも初は嬉しい。よし、こうなったら、目的の山頂を目指してしまおう。しばし進むと、またまたブナの純林となった。今度はかなり太いブナも沢山ある。また、枝分かれした、太平洋側のブナと同じ特徴のブナも結構有り、面白いブナ林だ。さらに目的の山頂までずっとブナ林のようだ。
久しぶりに、素晴らしいブナ林である。これは凄い(@@)
 さて、本腰を入れて採集を開始。が、良い材が全然ない(^^;
なんなんだ・・・これだけ凄いブナ林だと言うのに・・・最近コルリは不調だからなぁ〜〜〜
マダラだけじゃ帰れないよ(^^;;

 


しょぼい材のコルリクワガタ♀

 こんなしょぼい材には入っていないよなぁ〜? お、いた♀だ。良かった。しかし、こんな材に入っていなくてもええんとちゃうか〜・・・
どうして、あのグレー枯れのチョークのような堅さの材が無いのだろうか?これだけブナが有ると言うのに・・・産卵マークも殆ど無いし、ろくな材も無い。厳しい。
こんな時は、ブナの葉をかき分け、古めの材を探しては削るしかない。
またまたやっと♀が出てきた。

 


コルリクワガタ♂

 これはやばい。この山は新芽採集は出来るのだろうか。こんな場所はかえって新芽の方が結構採れるんじゃんじゃなかろうか?などと考えながら、根掘りモード。
こういう場合の最後の手段はブナの木の根本近くを掘って、ぼろい材を探すに限る・・・
おぉ!やっと♂が出た。ウレピー(^^)

そろそろ下山しょ。3時を過ぎてしまった。
と、携帯にメールが入る。ビックリした。山頂は携帯が通じる場合が結構有るのじゃ。
しゃあげんさんからだ。続いて、k-sugano氏から電話が入る(@@)
なんか変だな(ボソ)
誰もいない山の頂上で、電話のベルが鳴る・・・そして、携帯からメールしたり、大声で電話したり。
 ・・・このようなシチュエーションでは、小松左京の「果てしなき流れの果に」を思い出す。私にとってSFの最高傑作である。ま、何故かは読んでいただくとして・・・

さて下山。
尾根を下り始めると、再びk-sugano氏から電話が入る。
「速報!雅子様、無事出産。女の子。以上。」
ありゃビックリ。とにかくおめでとうございます。
実は雅子様と私は同い年で、誕生日も近かったりする。ぜんぜん関係無いけどね(笑)
電話くれたk-sugano氏にも感謝(^^)

今回の採集結果。
コルリ:2♂4♀
マダラ:5♀

 

・おわりに

 ところで、コルリの♂だが・・・やっぱ黒い。
広島はキンキコルリだよね、でも黒い。大山や扇ノ山のコルリとは全く違う。ミナミコルリみたいだ。やっぱ、キンキコルリもミナミコルリも大差無いと言うことか?それとも、ミナミコルリは広島近辺からなのか??
 ここのコルリとミナミコルリの共通点を考えると・・・しょぼい材に入っている事ぐらいだ。 ますます謎が深まる、広島のキンキコルリであった。

 あ〜謎と言えば、菅原文太・・・・
実は広島の人ではなかったのである。今さっきわかった(^^;
なんと宮城県、つまり東北の人だったのである(@@)
なしてあんなに広島弁が上手なのか・・・ドラマとかでも広島弁だったように記憶しているが、違っていたかな?もしかして、出身が宮城で、育ちが広島なのじゃろか??

 それにしても、謎の深まる菅原文太・・・じゃなくて、広島のキンキコルリ。
 謎多い広島にはまた行くでしょ(^^)

 


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モーリーさんのクワガタ素材集(左上のオオクワガタです)を利用させて頂きました。
いつもありがとうございますm(__)m


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